会社には100人弱がいて、事務員の自分が毎日全員の席を回り、よくお店でやられるガン型検温機で体温を測り記録している。
普通の会社は報告義務とか機械の設置とかで対応しているだろうけど、最初に社長命令でこの仕組みになって以来もう一年三ヶ月ほどやらされ続けている。
社員に書類を配布するなど、とにかく席を回って話しかける行為に苦手意識があった自分にとってこの作業は人生最大の苦痛で、慣れることはなくどんどん無理になっていく。
他人に左右される要素が多いのがストレスを増やしていて、まず定時制ではないから出社がバラバラで、一日に何度も何度も何度も席を立って、他の仕事に追われながら「まだ測っていない人」を意識し続けなければならない。
夕方に遅刻して来る人なんかは、その人だけを測りに席の間を縫って行くのが気まずい。だから結構諦めたり測ったふりで記録してすませるが、その罪悪感やバレた時への恐怖がストレスを日々募らせる。
出社時刻に席へ行ってみても既に会議や喫煙でいない。電話中やオンライン会議中、仕事の会話中も話しかけられない。検温しますと言っても集中力が大層お高いようで気付かれず何度も呼んだり、無反応のまま測ったり。
いざ測っても髪の毛や汗で上手く測れない。最初は測り直しを頼んでいたがもう面倒だから適当な体温を言っている。稀に基準値を超えるとガン型ではなくワキに挟む体温計で測り直させるが、ちゃんと測ると平熱だから大騒ぎされたりする。大体、基準値を超えたところで「帰ってください」と上司先輩に言えるか?
やっと退社して解放されたかと思うと次の朝にはまたリセットされて、また100人近くを測る。朝一で検温を開始する前に中々踏ん切りがつかず立ち上がれない日も多い。精神が良くない日だと涙が出てきて、一通り終えてからトイレで大号泣したことも何度もある。
最初は「コロナは夏(2020)には終わるだろうし」と希望を持って耐えていた。が、一向に終わることはなく、ワクチンを二度打ち終えるのは2022年になる気配がある。ワクチンを打ったところで検温の習慣を誰がいつどのような理由で止めてくれるだろうか。
こんなのは形でしかないと自分以外も気付いているだろう。それでもなんとなく安心感と「やってる感」を得るためにいつまでも続く気がしてならない。
とにかく転職すればいいのだけど、この失業全盛期にどこへ転職すればいいのか。今は職があるだけ恵まれていると分かっているからこそこの会社を手放せずにいる。
こんな思いをしている事務員が他にもいるだろうかと検索しても全然探し出せない。でもレストランや病院で客相手に日々検温している人も地獄を見ているのかもしれない。
同じ思いをしている人にしかこの地獄は伝わりづらい。だからどうかこのエントリが同志の目に触れて欲しい。
明日が来ればまた検温しなきゃいけない日で、死にたいよな。出来るだけ適当に意識を保って、精神リソースを割かないようにして、どうにか生き延びような。
上司に相談してそんな業務はやめさせてもらったほうがいいよね。 介護施設じゃないんだから一人づつ責任持って検温するのが当然だし、全部対面で確認なんて感染リスク高まるから結...
玄関に検温計置いてればいいのでは