田舎に住む自分が、仕事の為に地方都市の市役所だか県庁だったかに行ったとき、そのすぐ後ろにでかい公園があった。
遊具の有無は覚えてないけど、とにかく広くて芝生が青くて、親がレジャーシートを敷いて遊ぶ子供を見守っているような公園だったから、優雅だなと思ったのを覚えてる。
さてもう一件いかないと、と車に乗って、これまた広い道に出ようと公園をぐるっと一回りしたとき、五台前くらいの車が何かを避けるように、ゆっくりと反対車線に大きく膨らんだ。
片側一車線だけどとても広いその道路の、反対車線には車が無かった。
ずっと続く道の奥には、こっちへ向かって来る車は見えなかった。
それでその、五台前くらいにいた車の後続車も、その後ろも、その後ろも、続いた先にいる自分の前を走っていた車も、道を大きく膨らんでさっさと走っていった。
大きな、ファミリー向けの車も。
それで、本当に田舎の山の中から出てきた自分は「あっ、イタチが死んでるんだ」と思った。
だって朝も道路で死んでるのを見たし、数か月前には申し訳ない事に自分も轢いてしまった。夜中に。
「道路で動物が死んでたら電話を掛けて回収してもらうけど、こんな都会だとどういう処理になるのかな」
と呑気に考えながら自分も前の車に習って道を膨らむと、そこにいたのは生きている子供だった。
二歳だか三歳くらいの、髪の毛がくるくると巻いてる赤ちゃん上がりの子供が指をくわえながら、車道をとろとろと歩いていた。
ぎょっとして、道に車を止めて子供に駆け寄ると「誰だよ」みたいな目で自分を見た。
「お名前は?」と聞いても動きを止めたまま何も言わなくて、この年の子が話せるのか話せないのかもわからない。自分の周りには子供が少ないので。
そうこうしている間にも車はどんどん自分達を追い越していくし、周りを見渡してもこの子の親が見当たらない。
公園から道路までは階段を六段くらい降りないといけないから、「こんな小さくても階段降りれんだな」とどうでも良い事を少し考えていた。
とりあえず自分も予定が入ってるので、何も言わない子供を抱き上げて公園の階段を上がる。
一応「ごめんね、だっこするね」と声を掛けたけど、うんともすんとも言わない。
知らない人がこうするのは良くないとは思うけど、捕捉していないと急に車の方に走って行きそうで怖かった。
久しぶりに抱き上げる子供は柔らかくて、その先に骨の感触がして、猫みたいだと思った。猫ももう何年も触ってないけど。
入口近くにいたお母さん二人に「この子を知りませんか」と言うとすげえ不審な顔された。仕方ないと思う。
それでも説明をすれば一緒に考えてくれて、ああだこうだと降ろした子供に話し掛けてくれている時に、少し離れたところから「あら、〇〇ちゃん」と声が掛かった。
まるで何でもないような顔をして、だけど自分の事を「誰だお前」みたいな目をしているように思えた。
まあ自分の孫が知らない人といたらそう思うだろうし、「迷子になってました」とだけ言って公園を出た。
車に戻って発進して、目的地に向かう途中で気付く。
なんで前にいた車は、ほぼ赤ちゃんみたいな子供が車道にいたのに保護しなかったんだろう。
公園に入っていった車はおそらく家族連れで、お父さんやお母さんは何も思わなかったんだろうか。
そうでなくても、単身者でも、老人でも、若くても、LGBTでもなんでも、何も思わなかったのか。
思えばこの年、道で倒れてる子供を見かけて車を止めたことがある。
登校中の小学生がすっ転んで頭打って泣いてたのを、周りの小学生が取り囲んでる所だった。虐めではないと思う、知らんけど。
これも、自分が声を掛けるまで誰も助けなかった。
泣いてる小学生に駆け寄った時、背広を着た眼鏡の中年男性が自分を見つめながら通り過ぎて行ったけど、あのおじさんは何も思わなかったのか。
そう考えると、窓の外は異世界だと思っている人間が少なく無いのだと思う。
車の窓の外は自分と関係のない景色で、テレビを見ている感覚に近いのかもしれない。
おじさんだって眼鏡レンズ越しの世界なら、それはもう治外法権みたいな感じなのかもしれない。
自分の周りの現実世界にしたって、インターネットにしたって、声高々に弱者を救済する声が上がっている。大なり小なり。
虐めについてだとか、子供の貧困や虐待だとか、事故の犠牲者だとか、病気の人がどうとか。
当たり前のことで、守ってあげないといけないものは守ってあげないといけない。自分の出来る限りではあるけれど。
それでもこうやって、誰かが助けてあげなきゃいけないと一目見て解るような状態で、誰も助けてくれない現実を垣間見ると、なんだか色々考えてしまう。
周りの、声を上げている人をモニタリングしてみたい。
手を差し伸べるのか、見捨てるのか、景色の一部だと思って見過ごすのか。
あの車に乗っていた人達は、車道を歩いていたあの子供を上手に避けた。
車の内側にいる人は子供を殺す事はなかったけど、生かそうともしなかったように思う。
自分の選択こそが正しくて他の奴は鬼畜だみたいな書きぶりだけど、増田は忙しかったからとりあえず公園に連れてって解決してよかったって思ってるんだろうが、そこで、なんで警察...
いや鬼畜であることに間違いはないだろ…
車に乗ってた人達は、もしかしたらすごい急ぎの用事があったのかもしれない 産気づいた妊婦さんを乗せてたのかもしれないし… まあおばあちゃんはありがとうくらい言ってもいいよね
「たとえ赤ん坊が車道を這っていても無視しろよ」が今の社会の総意だから。 母親たちが見知らぬ他人に「赤ちゃんかわいいですね~」すら許さなかったことの延長がそれだよ。
当たらなければどうということはない!
通報されなくてよかったな 他人の子に触ったらお巡りさん呼ばれる時代なんだよ
両津勘吉「・・・そうだろ、これが都会の無関心てヤツよ」テキトー
ほっといたら誰か助けるでしょ、誰にも助けられなかったらその時はドンマイ、運が悪かったな
助けても得がないよね 多分昔はあったんだよ 偉いねって社会が褒めてくれた まあ、はてな褒めてくれるけど たいして役には立たないね
仮に罪に問われないなら、こんなクソガキ轢き殺すわ 生きてたってこの先、似たような迷惑をかけ続ける。そんでそれを周囲のせいにし続けるし、育児放棄のクソババアも騒ぎ続ける ナ...
イキリ太郎
本題に入るまでの前置き長すぎじゃね?
本当に嫌だ 何で助けないの?全員が病人や妊婦さんを乗せてるわけ?
そうだぞ 一つ賢くなったな
元増田が不審な顔をされたように、助けることに多少なりともデメリットがあるからかもね 最悪通報されるかもしれんし 面倒ごとには首を突っ込まない 賢いんだろうけどなんだか寂...
そりゃ関わりたくないよ 子供はともかく、そんな管理の保護者なんて確実に地雷だし誘拐犯と間違えられても大変なので それぞれ目的があって車で移動してるのにそんなリスクを負って...
今の自分はお日様のにおいがする人になんだろうか...とちょっと思った。 「お日様のにおい」は「神社のススメ」という漫画に出てくる表現で、困っている人を放っておけないというに...