長年セブンイレブンのあたりめを食べていたが、徐々に内容量が減っている気がして、イカ離れをしていた。
今年の春、在宅勤務が始まったことで、仕事をしながら存分にイカのおつまみを食べられることになった。
嬉しすぎる。
これまで残業中に誰もいないオフィスであたりめやゲソをしゃぶることはあったが、フルタイム好きな時間にイカが食べられるとは!
ジッパーが付いているが一気食いした。
ひとつひとつのチップは噛みごたえのある厚みがあるが、細かく裁断されているので飲み込みづらさもない。
朝昼夜、どんな時間にもマッチする。(ただし夜食べると翌日やや顔がむくむ気がするため控えている)
朝やる気が起きないとき、昼間ムカつく会議の後、捗らない仕事の合間、一山超えた後のご褒美……。
一度食べて病みつきになった私は、売り場にあった3袋を買い占めた。
平日はほぼ毎日、ストックが切れると買いに行った。家族にも買ってきてもらうようにした。
毎回3袋買い占めていたある日、棚からいかチップが姿を消した。
おそらく買い始めて二ヶ月ほど経ったとこだろうか。
あんなに買い続けていたのに他の商品に負けたのか?私以外に買う人がいなかったのか?
ネットで情報を探そうものにもジャッキのサイトにすら記述がない。
箱買いを試みたが途方に暮れた。こんなにおいしいのにSNSでもほぼ情報がない。何故だ。
一週間ほどの出来事だと思うが、仕事が手につかなくなったこともあり、いかチップのことは忘れようと決めた。
ある夜、コンビニへ行った家族から「いか復活!」の知らせが入る。
しかも、普通のいかチップとピリ辛味まであると言うではないか!
ピリ辛味に興味はないが、単純に売り場が増えていることに歓喜した。5袋ほど買ってきてもらい、すぐに自分の目でも確かめに行った。
一列だった売り場が二列に!さらにピリ辛味も含め三列になっている!!!出世!これは出世だ!!
レジに3袋差し出した私は、きっと誇らしげな表情だったことだろう。
それからというもの、入荷は安定し、私が3袋買っても他の人にも行き渡るような状況が維持されている。
さらに勢いは加速し、陳列棚が増え、多いときには6列近くも取り扱われるまでに出世した。
相変わらず他の店で売っている姿は見かけない。
布団から出るのが辛くなるほど冷えてきた頃、家族にいかチップのおつかいを頼んだ。
電話が鳴った。嫌な予感である。いや、すでに地位は確立しているはず。私は電話に出た。
「いかが……無い。」
『何で?あんなに棚増えたじゃない…』
「もっと売れたかと思って目立つ方の棚も見たんだけどなくて……」
家族も慣れたものである。スナック菓子や季節限定品の棚も見てくれていた。それでも、無い。
違ういかの購入を打診されたが断った。いかチップじゃないとダメなんだ。
黙って差し出される袋。
嬉しすぎて飛び跳ねた。なんと素晴らしいサプライズ。
どうやらいかチップは、アメやグミなどポケット菓子的な売り場の一番目立つ場所に並んでいたようだ。
偶然グミを買おうとして見つけてくれたという。
これは、間違いなく出世だ。
日が当たらないおつまみコーナーの一角から、レジが目の前の華々しい棚へ大出世である。
翌日、すぐに様子を見に行った。キラキラしたグミやチョコに混ざって、いかチップがいた。
記念写真を撮りたかったが、さすがに控えた。常識は弁えているつもりだ。いかチップに恥はかかせられまい。
誰にも見つからなくても私一人がそっと買い支えられればと思っていた。
それが今では、新製品が立ち並ぶ熾烈な棚の一番良いポジションに収まっているなんて。半年前には考えられなったことだ。
でも、そろそろ箱買いしたい。
これはいい出世譚
やだ…この人イカ臭い
Amazonで売り切れだぞゴルァ
🦑♥