2020-05-25

英語長文は先に和訳を読め

劇的に勉強ができるようになる方法なんてものはそうそうないが、多くの学習者が犯しがちな非効率的勉強はいくつかある。その内の一つが、自宅での学習で「英語長文を解こうとする」ことだ。

誤解のないように言っておくと、本番前の演習が目的であれば、もちろん本番と同じように解いたほうがいい。ここで述べているのは、あくまでも日常学習としての英語長文の勉強だ。

先に和訳を読め

少なくとも高校レベル学習者であれば、英語長文は先に和訳を読んでから本文を読んだ方が良い。

先に和訳を読むメリットは明らかだ。すなわち、予め内容が頭に入っているので、英文をスラスラ読めることである。つまり文章の要旨とあまり関係がない単語などに煩わされることなく、長文を読むことができる。このため、復習の頻度が上がり、定着率も高くなる。

これには、次のような異論があるかも知れない。すなわち、先に答えを知ってしまうと、分からない部分を考える力が身に付かない、というものであるしかし、これは根本的な誤解をしていると思われる。

しかに、数学物理であれば、ある程度難しい問題をじっくり考えて解くことは重要で、その割合英語よりも多くて然るべきであるしかし、英語は単なるコミュニケーションの道具であって、難解と言われる英文パズルのように解釈することに本質があるわけではない。

英文構成するほとんどの部分は、中学生でも少し時間をかければ分かるような易しい文である。したがって、この部分が自然理解できることが、長文読解の基礎となる。そのためには、この平易な部分をスポーツ基礎練習のように反復し、文字通り「体で覚える」ことが重要になる。

ところが、英語長文を「問題」として取り組もうとすると、分からない単語や構文を調べるので力尽き、結局、空所や下線部の周辺だけを考えて放置してしまうようなケースが少なくない。こういう人は、(自称)複雑な英文解釈は得意だが、英文を読む速度が異常に遅いとか、基本的英文法・語法が抜けているという状態に陥りがちである。これは喩えるなら、マニアック野球理論は多く知っているが、キャッチボールが続けられないようなものである

そもそも和訳から先に読んだところで、学ぶものはたくさんある。「ある表現英語でどのように言うのか」「自分が知っているのとは別の表現がされていた」など。重要なのは、そういうものを調べたりするのに「手間をかける」ことではなく、最終的に「きちんと理解する」ことである。したがって、和訳から読んだ場合も、後で辞書を引いたり、文法事項を学ぶことは重要である

英語学習において、「慣れ」と「理論」は両輪の関係である多読で獲得した慣れは、きちんとした文法知識裏付けられる必要がある。逆に、知識だけはあっても、それが文脈に即した用例と結びついていなければ、長文読解や英作文で活用することは難しい。

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