他の人の感想や批評を目にする前に、見たばかりの自分が感じたことを雑に書き留めておく。雑に。
「君の名は」のような複雑な構造をもたない、テンプレ的な物語を新海なりの作画と演出で見せる映画。
新海誠は自分のことを利口に見られたいタイプかと思ったけれどそうでもなかった。
とくにこじらせている感じもすかした感じもしない少年と少女の恋の物語。
不思議な少女に出会う、その少女の不思議な力を使うことで一時の幸せが訪れ2人は惹かれ合う、
本当にどこにでも転がっているような話。
「君の名は」がヒットしすぎて次回作をゆっくり練っている間もなくて
開き直って小細工なしの王道で勝負しようと新海誠が思ったのかどうか知らないが、
クライマックス、再会を果たした少年と少女が2人で空から落ちていくシーンにはけっこうじんと来るものがあった。
どうやって着地するつもりなんだとはらはらもしたがカメラ変わったら廃ビル屋上の鳥居の前にちゃんと戻されていた。
母親が病気で死んだぐらいしかわからない姉と弟の2人暮らしとか、
誰でも好きに侵入できる廃ビルなんか東京のど真ん中にあんのかよとか、
なぜ晴れ女が人柱になったら雨がやむのかだとか、
とくに説明はされないけど、時間がなかったのかやけくそなのか前作で意図したことがちっとも客に伝わってなかったからなのか、
理由はともかく削ってよかったと思う。
公開前に新海が賛否両論になるといったのは、
帆高と陽菜が雨を止ませることよりも自分たちの幸せを選んだことについてだと思うんだけど、
それはべつに賛否を呼ぶようなことでもないような。
世界を敵に回しても僕は君一人を救うことを選ぶ、みたいなのセカイ系でさんざん見てきたんで
「秒速5センチメートル」でも「君の名は」でもない、
童貞力はそのままに批評の余地もあまりなさそうな頭悪いエンタメに走った新海についてという話なら
それは賛否両論あるだろうなとは思うけれど、自分としては楽しめたからよし。