2018-01-24

[]ハティ最期舞台

ティ最期舞台を読んだ。解説犯人当のミステリとしては簡単な部類かもしれないって書いてあってびびった。結構わかんなかったよ。思い返せばずばり犯人その人を描き表している部分があったけども。

大概のミステリがそうなんだけど、作中で犯人名前が確定するまで作者の手の内で踊らされる糞雑魚読者です。

さておき、本作の内容について。最近の実社会の諸問題にも結構当てはまるけど、意図しない邪悪さが大概の悲劇根底にはあるんだなあって思い知らされた。

殺されるハティは顕著だけれど、他の登場人物もそれぞれ罪深い我欲を持っている。とんでもない高校教師ピーターは言うまでもないけど、その妻のメアリにしたってもうちょっと夫婦間の接し方ってのがあるんだろうって思った。まあ介護やら仕事やらで大変なのはわかるんだけど。

この小説に登場する人物がみんな有してる罪深さって、ある種どうしようもないところに根差しているところがあるからしんみり来る。不倫問題もそうだけど、他社への無理解とか、周りを無自覚馬鹿にしているところとか、一本芯が通り過ぎている性格をしていたりとか、読んでいるとそうならざるを得ないよなあとか、そうなってしまうのもわかるわあって思わされてしまうから、一概にみんなを批判できないんだよね。

よく言えば主要人物はみんな肉付けがしっかりしているってことで、そういったどうしようもないところが人物人間らしさな人間臭さを与えているんだけど、それ故に軋轢が生じて問題に至ってしまうってのはさみしいなって思う。仕方がないことなのかもしれないし、そもそも軋轢の一切ない社会ななんてどんなデストピアだよって話なんだけど。

ただこの作品は、犯人殺人さえ犯さなければ悲劇の度合いが幾分か軽くなっていたのかもしれない。人殺しはやっぱり駄目だからね。でもなあ、ハティがとんでもない怪物から、こんな最期になるのも必然だったのかもしれない。

田舎町では異彩を放つとても賢い高校生で、他人が求めている反応をコミュニケーション最中に読み取り活用できる天性の女優なんだけど、ものすごく邪悪なんだよね。愚かだといってもいい。

自分が被っている仮面がどれだけ罪深いか最後までわかってなかったんじゃないかと思う。自覚はしていたけど、認識ちょっと甘かったんちゃうんかな。

そういったところを学べなかったこともまた悲劇なんですよねえ。デル保安官最期にいい切れ味を演出してくれました。

総じて登場人物が誰も幸せにならないミステリだった。なんて世知辛い物語なんだ。

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