「君の名は。」の最大の魅力は脚本だとずっと思ってたので、ちょっとすっきりした。
他の映画をあまりたくさん見ていないから偉そうには言えないけど、飛行機で何度もリピート再生して「君の名は。」の何にハマったかといえば、荒唐無稽な設定と、それをも吹き飛ばす脚本のテンポだった。
物語の設計に絵コンテではない、新しい手法(ビデオコンテとWeb記事にあった)を編み出し、その手法のフォロワーを生み出した点も評価されたんじゃないかと思う。
長周期彗星が地球の月軌道内に入ることも、その一部が分離して流星となることも、通常はありえない(重力・潮汐力と分子間力をSL9彗星と比較してみればいい)けど、背景としての「周期性災害」に生々しい「地震」を避け、自身の強みである「美しい描写」が生える彗星を軸にし、矛盾点を全て吹き飛ばす力強さを脚本に持たせるのは並大抵のことではない。この「物語性」の強さには監督の「文学部」出身としての強みもあると思う。
SFとして見るなら「インターステラー」のような科学的整合性重視の対極にあるような映画で、それでも見ている間はバカバカしさより感動の方が遥かに上回っていた。
一見、関係なさそうに見える、神社の奉納舞だって、繭吾郎の逸話だって、就職面談だって、全てが1つの物語として巧妙に練り込まれてる。そして「美しい風景」に指向されるよう、仕向けられている。
例の「天文学的描写ミス」だって、より深いツッコミを避けるために意図的に入れたんではないかと勘ぐるほど。
「君の名は。」を見て、ハマるアニメには「物語」が本当に、本当に、本当に大切だということ、そしてそれを生み出すのは過去の多くの「物語」の仕組みを知る深い教養が必要ということに気付かされた。
願わくば、おそらく来年以降、ぼこぼこ増えるであろう柳の下の泥鰌の関係者もこの脚本賞の意味が届きますよう。
あと、ジブリとか「この世界の片隅に」は絵コンテを書籍化してるけど、「君の名は。」のビデオコンテも発売したら売れるんじゃないかとは思う。
でもまぁよく考えたら有名どころの他の映画はいかにもな日本映画ばかりで脚本的な工夫が全然なかったし妥当か。 ノンフィクションとか原作つきも多すぎたし。
「君の名は。」の最大の魅力は脚本(というか物語)だとずっと思ってたので、ちょっとすっきりした。 他の映画をあまりたくさん見ていないから偉そうには言えないけど、飛行機で何...
「天文学的描写ミス」はなにものかが彗星の軌道を意図的に変更したのでは?!!! みたいな記事が作中の雑誌ムーの中にかいてあるんだってよ。 彗星が降ってくるのは監督も通常あり...
私も同感だ。 ストーリーは本当によく出来ていて、素直に感動させられてしまう。 けれど、ストーリーの良さ、というのは人と話しにくい話題なんだよね。 見た人同士はもう良さが分...