2014-04-25

「1割の基幹産業が、地域の他の9割を支える」カラクリ

★よく「鯖江メガネの街」「燕は食器の街」「今治タオルの街」という表現がなされる。

 例えば、鯖江市で、メガネ製造業(含下請)に従事する勤労者というのは、

 「市内全勤労者のせいぜい1~2割程度」でしかないが、それでも十分「眼鏡の街」なのである

★では、鯖江市の他の勤労者は何をしているのか?

 市内の勤労者(眼鏡産業勤労者+それ以外)のための小売業だったり、飲食業だったり、食品加工業だったり、

 建設業だったり、郵便局員だったり、公務員だったり、教師だったり、警察官だったり・・・

 そういう産業で、8~9割が占められている。

★でも、鯖江市の8~9割の勤労者は、根っこのところでは、鯖江眼鏡産業依存している。

 「眼鏡産業鯖江市以外の日本からカネを稼ぎ、それで鯖江市内の他の産業に回している」構図。

 

日本農業GDPに占める割合は、せいぜい数%。

 「農業県」(例:宮崎県)でも、県内GDP農業が占める割合は、せいぜい1割。

 無知経済評論家はこの数字を見て

 「農業はどうせ宮崎県の1割のGDPしか占めていないんだから農業TPPで壊滅しても宮崎の9割は生き残る」

 とうそぶく

★こういう経済評論家は、

 「地方において基幹産業は全勤労者の1~2割だが、そのおかげで他の8~9割の経済が回っている」

 というロジック理解できてない。

★で、地方(それも県庁所在都市じゃなく郡部など)においては

 「年金受給高齢者」「介護高齢者」「入院高齢者」が、

 先述の「鯖江眼鏡産業」「宮崎県農業」みたいな役割を担うようになりつつある。

 地方圏においては、「日本政府(≒都市圏から年金支給は、立派な『経済エンジン』になりつつある。」

さらに、年金受給者が介護を受けたり、医療サービスを受けると、

 日本政府(=都市圏から介護報酬医療報酬地方支出される。

 これによって、介護報酬医療報酬で食べていく若者介護士・医師看護師薬剤師事務員)が

 発生し、それが地域経済エンジンになる。

★元岩手県知事増田氏が、面白いことを言っていた。

 「地方において、介護医療は立派な産業

 「今後、都市部では超高齢化が進行する一方で、地方では高齢者逝去して少なくなっていく」

 「となると、今後折角地方に存立している介護産業医産業が、都市部に移動してしまう」

★先ほどの「1割の基幹産業が、9割の他産業を支えている」理論でいけば、

 「介護産業医療産業が、高齢者逝去で失われてしま地方」は、

 「一気に他の9割の産業崩壊し、地域崩壊する」というロジックになる。

自分はこの増田知事論述を見て、

 「さすがは増田氏」と感心する一方、

 「1割の基幹産業が他の9割を支えている、というロジック理解できる人は世間に少ないだろうから

 果たして増田氏の論述は、どこまで世間理解されるかな?」と心配にも感じた。

増田知事

 「だから今後、一定数のシニア層を、介護医療インフラが既に存在してる地方圏に(都市部から)送出すべきだ」と論じる。

 (自分基本的増田知事の考え方に賛成)

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  • その基幹産業といえる業種が同じものであり続ける必要性がない。 需要なことは、どの業種が基幹産業と言えるものになるかは分からないし移り変わっても、基幹産業といえる業種は存...

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  • http://anond.hatelabo.jp/20140425200503 介護と医療が都会から地方へ金を持ってくる重要産業になってるという元岩手県知事の見方は正しいと思うけれど,医療と介護は地方が生き延びる為に国...

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