2020-10-04

anond:20201004132406

私も似たような所にいたのでデジャブかと思った。ただ俺の場合は某大手メーカー

ディープラーニングをこき下ろして自分たちAIがより優れていると宣伝するのはどこの業界も同じなんだな。

大手メーカー研究所で作られたそのAIは「ディープラーニングのような旧世代の単純なものではなく、次世代の汎用人工知能」といった触れ込みで

AI事業をやっている我々SE部隊の所に降りてきた。AI事業というとかっこいいが、その中のSE基本的技術的なことはわからITゼネコンの頂点として

PMをやっているような人たちが大半を占めるため、「技術的に顧客価値につながるか」ではなく、「顧客をその気にさせるパワポが用意されているか」の

ほうがよっぽど重要だった。また開発した研究所の方も、主任研究者だけは「そのAIすごい!」って心から信じてたみたいだが(笑)

おそらくその他の研究者詐欺っぷりには気づいていたと思う。でも「どうせSE土方共にはばれないだろw」という感じで押し付けてきた感あった。

その主任開発者の態度はまさに同じだったね。「なんでもできます。でも『チューニング』の必要があるのでPoCの費用はいただきます。」

という感じ。俺はそれをそのままスルーして客に伝えると「かの有名な○○さんがそういうならそうなんだな!」という感じで客は納得し、

数M~数百Mの金をポンと出す。PoCバブル2018年頃はそんなボロい商売がいっぱい転がっていた。

しかし、このAIの中身は単に線形回帰程度しかしていないポンコツであり、ディープラーニングと比べるのもおこがましい代物。

チューニング」といわれるものは実は有効な特徴量などを頑張ってSEや平の研究者が死にものぐるいで見つける作業であり、

全然チューニングレベルの話ではない。完全にカスタムAISIで作るような作業だった。しか適当な特徴量でもある程度良い成果を出す

LightGBMやDeep Learning使用禁止され、ポンコツAIでも良い成果を出すような特徴量を見つけるという縛りプレイだった。

さらアルゴリズムの部分がしょぼいだけではなく、エンジニアリングの部分もひどいものだった。

企業ソフトウェアプロダクトというのは開発した人ならわかるだろうが、一部のスーパープロダクトを除いて、正直コードロジックは大したことがない。

でもテストは少しはしていてドキュメントは揃ってなんとか動くとか、使うための人力サポートは用意しているとか、最低限顧客

騙せるだけのエンジニアリングはやっているものである

ところが、だ。このAIに関してはデータサイエンスアルゴリズムだけでなくソフトウェアエンジニアリングの酷さもすごいものだった。

簡単メモがあるだけでドキュメントはほぼ皆無、データを食わせると3回に1回はまともに動かない、非公開とゴネられたので

無理やり引っ張り出したコードを見ると大学生卒検のために書きなぐったようなコード。おまけに「アルゴリズム」という名のくせに計算量解析すら

されていないロジック(そのため特定サイズや値のデータを入れるとハングする)。

ここで疑問に思うのは「なぜこんなポンコツAIが全社的代表プロダクトになれたのか」であろう。

とにかくポンコツであることはひた隠しにして「次世代の汎用人工知能」というブランディングだけを

ひたすらフロントを使って確立させた事が大きい。さら開発者は徹底的に外部の雑誌を避け自社の雑誌にの論文を大量に投稿し、

社外成果は特許プレスリリース雑誌インタビューに絞ることでプレゼンスを上げるということをやっていた。

(当然だがディープラーニングより優れているなんて社外の学術雑誌投稿しても「は?またトンデモ論文か」と言われてRejectされるだけである

そしてこれこそがITゼネコンの真髄とも言うべきところであるが、子会社に専門部隊を作りいつでもそのAIを使ったビジネスをReady状態にする

社内体制づくりをしっかりやったところが大きい。例えばPFNあたりが「うちすごいAIあるんすよー」っていってよくわからん若造(実は東大IS Dr.)

とかが出てきて専門用語を並べ立てたりすると、古い企業からすれば「(どうも信用ならん・・・ほんとにコイツ仕事できるのか?)」となるだろう。

しかし、スーツをビシッと決めた営業と多少技術もわかるSE(もちろんスーツ)が来て、アルゴリズム説明は一切なく、「ビジネスにどう効果があるのか」

エンドユーザーへのインパクト」「金銭効果」など一般人にわかやすパワポ説明し、来週から定例会議や進捗会議などPM面もおまかせ、

ふわっとした状態から要件定義でもやってみせます!といわれる「(これは・・・いける!!)」となるのである

また2018年あたりは顧客の方も偉い人からAI使ってなんかしろ」という予算枠だけ用意されたふわっとした状態なので優れたアルゴリズムを使いたい

わけではなく、「AIを使ってビジネスしてます感」が重要なので、ここに刺さったのが大きかったね。

もちろんこんなビジネス2018年ピークに終わったためそのAI部隊は表舞台から消えましたとさ。めでたしめでたし

  • 某大手メーカーの研究所で作られたそのAIは「ディープラーニングのような旧世代の単純なものではなく、次世代の汎用人工知能」といった触れ込みでAI事業をやっている我々SE部隊の所...

  • それなんの木?

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