2020-01-22

JR新宿駅で起きた、いつもの悲しい出来事

昨日帰宅新宿駅で起こったこと。

私は山手線に乗って、疲れきった体を椅子に預けて携帯を眺めていた。

新宿駅にたどり着いた電車から大勢の人が降り、その後マレー系のお母さんがベビーカー子供を乗せて乗車した。

なぜマレー系かわかるかって?あの顔つきと肌色ヒジャブをまとっていたからに決まっている。2年間、シンガポールのころごまんと見ていた人の姿だ。忘れることもあるまい。

とにかく、彼女子供と一緒に電車に乗り、旦那さんと思われる人が外からスーツケースを手渡し、中に入れ始める。

スーツケースが一つ入ったところで、ドアが閉まる。

母は大慌てでとっさに腕をドアに差し出したが、間一髪で逃し、ドアは冷たく閉じられてしまった。

ホームで見かねた誰かの所業だろう。非常停止ボタンが押された。

非常停止のチャイム叫びのように聞こえる。

嫌な音がホームを通り越し、電車の中の私の耳にも入ってくる。

母はとても困った顔をしていたので、電車の中にいた私は拙い英語で、とにかく通じればいいなというレベル彼女へ声をかけた。

「Send the message to him that you can ride next train what should come in 3 mins so far.」

(3分後に次の電車が来るから旦那さんにそこに乗るようにメッセージしてね。)

当然山手線がそんなに頻繁に来るとは彼女は知る由もない。

相変わらず当惑した表情を隠せない彼女に、もう一言言った。

You'd better to ask staffs to help you in next time。They can help you.」

(次からは駅のスタッフ声かけなよ。助けてくれるからさ。)

彼女の表情が和らぎ始めた。英語からなくても、私の意図は少しは伝わったのかなと思った矢先だった。

鳴り響く警告音の中、制服を着た駅スタッフが駆け込んでいた。

私も彼女も初めて出くわす場面だが、手慣れているだろう。ドアを外からこじ開けようと力む姿が見えた。

スーツケースを入れてもらうのかな。

とにかくうるさいブザー音を消してくれとばかり、心の中で思っていた私が次に観た光景は、そんなことどうでもいいと思わせるようなものだった。

スタッフは、ドアをこじ開けては電車に乗り込み、ありったけのしかめっ面で、母とベビーカーを引きずり下ろした。当然スーツケースは眼中にない。

それもそうかも。何せ車いすのスペースに突っ込んだわけだし、その荷物が隣に立っていた人のものかもしれない。母の携行品はベビーカーしかないと思われても仕方はない。

それでも、荷物はただそこに置かれてあっただけ。

私はすぐさま起き上がり、荷物をドア付近押し出した。

荷物は無事に外に母と一緒に追い出され、ドアは閉まり、駅スタッフは「一つの仕事をやっつけたぞこの野郎」と言わんばかりに、安全確認終了を知らせるランプを高く振りかざす。

車掌無味乾燥アナウンスが響き、電車は動きだした。

これは、一日利用者世界一を記録している駅で起こった、外国人観光客が起こした小さなトラブルだった。

まりにもひどすぎる対応言葉が出てこなかった。

言葉の代わりに、私は思考を巡らせる。

私が彼女旦那だったら、間違いなくブチ切れしていた。

仮にも世界一の駅スタッフが、観光客マニュアル通りに、いつも通りに追い出すのか。

こんなひどい仕打ちを私はほかの国で経験したことがない。

彼女がその時感じたであろう感情がどうだったか想像すらつかない。

旅行って、旅っていつもそうだ。

どこかしらで必ずトラブルは起こる。

他人生活に入りこみ、他人経験追体験する。

喧嘩だってするかもしれないし、財布だって落とすかもしれない。

スリに会うかもしれないし、ぼったくりに会うかもしれない。

はたまた決まったはずの宿が決まってないかもしれない。

今まで述べたトラブルと比べたら、電車一本逃して一行とはぐれるなんて、些細なものに過ぎないだろう。

その記憶が後で振り返ったとき楽しいハプニングとして残るか、散々な目に会ったという苦い思い出として残るかは、その場そこにいた人達がどう接したかにかかっている。

彼女(とその家族)は須らく、その類の数知れないトラブルのうちの一つを、須らく経験してしまった。

少なくともこの国の誇る鉄道の、いちばん誇らしい駅のスタッフは、間違いなく彼女後者の印象を植え付けたのであろう。

なんてことを思う間にふと考えた。

こんなんで、オリンピックって本当に大丈夫か?

仮にもオリンピック公式輸送スポンサー企業スタッフがこんな対応でいいのか?

しかしたら、彼女が私のアドバイス通りに、あらかじめ対応ができたら、駅スタッフだって乗車案内できたはずだ。

彼女は頼るすべを知らなかっただけ。

できるはずのことができないのは、観光客に対するおもてなしが全くできていないという証拠であろう。

いくら上っ面だけ広告宣伝に金を落としたところで、こういう実務的対応一つままできず、塩対応してしまっては元も子もないだろう。

役所気質が抜けていないと改めて感じてがっかり

苦い思いをしてしまった彼女とその家族の姿が今も目に焼き付いている。

もうちょっとうまいことできないのかね。

定時性も大事だけど、そこまでしてやるもの

ただただ残念でならない気持ちを抱いたまま、私は電車の中で揺らいでいた。

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