毎日楽しく過ごしていたのだが、ただなんとなく自分のことを他人に語ることに抵抗があってイヤだった。
自分の行動や考えを知られるのが怖いという漠然とした恐怖が一番近いだろうか。
その言葉についての私の理解は、相手から情報を引き出して判断材料を増やすことで、相手より優位にコミュニケーションを進めるための「攻撃」だった。
親や級友やその他大勢から、相手の知らない自分の時間について質問されるたびに、既に相手が知っている当たり障りのない内容や虚実織り交ぜた返事をしつつ、
同じように「そっちはどう?」と聞き返して逆に有利を取りに行くという方法を自然と選択するようになり、私は息をするように嘘をついて、精神的な安定を得る子供になった。
ありもしない失敗談を語ったりもしていたので、自分を良く見せようという心理とも、また別なものだろうと思う。
「お、新しいTシャツ?」
「うん、赤いのと迷ったんだけどこっち買ったんだ」(別に迷ってない)
といった具合に、それらの嘘はそれが露呈したことも問題になったことも一度もないような、実にどうだっていいものばかりである。
それでも、自分がウソをついているということは、他人もそうに違いないと考えていたので、周囲の人の話は常に疑い続けていたし、
自分が聞かれてイヤだということは、他人も聞かれたくないに違いないのだと想像していたことで、歪みは確かに存在していた。
そんな私も、成長し恋人が出来た。
当然自分の知らない時間の相手の行動について、何を言われても半信半疑のため可能性は大きく広がったままであり、
浮気している可能性を疑わなかった瞬間はないし、人間関係というのはそういうものなのだろうと思っていたので、
それを疑問に思うことも、相手を信じられないことを辛いと思ったこともなかった。
また、相手を大切に思えば思うほど、相手はきっと聞かれたくないだろうと考えて、
相手が「昨日○○してきた」と言ったような時に、詳しい様子をたずねることをグッと我慢するようになった。
「お前は他人に興味がないのだろう。」と言われることがよくあるが、そういうわけではなく、興味はあっても聞くことを我慢しているだけなのだ。
そのフラストレーションは、よくこれまで盗聴器を他人に仕掛けるような行動に出ず踏みとどまっていられたものだと感じる程度には強い。
様子を聞かれることで、相手から興味を持たれていると実感する。という構造を理解できていなかったので、
「私に興味がないんでしょう!」と言われ、なぜそんなことを言われてしまうのか困惑したこともあるが、そもそも感覚が大きくズレていたのだった。
また、愛想を尽かしかけた相手が私への興味を失ってアレコレ聞かれなくなったことで、自分を想って聞かずにいてくれているのだと感じ、
私は逆に相手からの愛情を強く感じ、二人の関係が大変良好であると勘違いするという盛大なすれ違いも幾度かあった。
現在、私はカウンセラー相手に偶然「親や彼女からでも、今日何してた?って聞かれるのってすごくイヤですよね」という話をしたところから感覚の違いに気付くことができた。
関係性の遠い相手から聞かれると警戒するのは割と普通のことのようだが、親しい相手からでも警戒し反射的にウソを吐いてしまうというのがカウンセラーから見た特異な点のようだった。
その後、普通の人の思考パターンを知ったことで相手に合わせたコミュニケーションの取り方を選び、適度に「今日どうだった?」と聞くことができるようになった。
自分自身は今でも聞かれると素直に答えることに抵抗があるので、話の中にウソをバラ撒く癖はまだ治っていないが、それでもまあ、理解した上でなんとかうまくやっている。
もしかしたら、私が一番根本的にわかっていないのは、他人を信用するという感覚そのものなのかも。と最近思い始めた。
とりあえず私の場合は、普通の人の考え方の理屈を知っただけで対応できるようになったので、本当に些細なキッカケがあれば改善されることも多いのかもしれない。
しかし自分の中で疑う余地のないほど当たり前な感覚を、敢えて否定したり他人に説明する機会はなかなかないので、偶然カウンセラーが気付かなければ私の歪みはもっと長い間そのままだっただろう。
聞いた話では、こういった自己の情報を相手に渡すことにとにかく不安を覚える秘密主義的な性質を持った人間は、一定数いるのだそうだ。
もし私と同じような感覚を持っていて、そのことが一般的な感覚ではないとまだ認識していない人がいたら、いずれどこかで大きなコミュニケーションエラーを発生させる原因になってしまうと思うので、
おお…すごいわかる自分のことかと思った 今日何してた?って聞くのが関心持ってることになるの??ええー…わからん 自分から話さないことって聞かれたくないか話す程でもないこと...
わかる。でも世の中には関係性が遠いのに情報を出すように求めてくるクズが多いから気をつけてね。ネットでコミュニケーションが大事とか叫んでる連中によくある。
これは別の方向で参考になった。 自分の場合はどうと言われても特別話題にするようなことなんてないからイヤなんだけど、増田の癖を真似して嘘なり誇張して話せば会話がスムーズに...