29歳ニート。
金がなくなっては親にもらってきた10年弱なので(大学はストレートで卒業。大学卒業後からカウントするとして)、もらった金額はどえらいことになる。
さすがに30の大台に近づいてやばいと思ったが、今までストレスから逃げ続けてきた人間がいきなり正社員を目指すのも無理ゲーだと思ったので、手始めに近くの某ファミレスでバイトすることにした。
そもそも飲食店では絶対に働くものかと思っていた。自炊もほとんどしないし、その理由も洗い物が苦手だから。んで接客業も無理。クレーマーみたいなのに不当に暴言吐かれるとか耐えられない。でも何を思い違ったのか、キッチンならやれるのではないかと思った。客との接触は一切なしだし、なんか時給も高かったし、早朝から働けるのが良いかなと思った。早朝ならヒマなんじゃないかなという淡い期待もあった。あれほど飲食店ではやらないと思っていたのに。接客をしなくても良いとはいえ、そこではスタッフ同士での人間関係があったわけだが、それは何とかなると踏んでいた。ファミレスのキッチンってどうなってるんだろ?という興味もあった。
面接。
ニートの経歴はさすがにありのままに喋ったらまずいと思い、適当にバイトしてたことにした。経歴詐称。
そうしたら面接3分で採用となった。そりゃ今の飲食業界のこと考えたらまあこんなもんだろうな。
休憩室に行ってみると何人かの社員だったりバイトだったりがいるのだが、ものすごく和気あいあいとしている。元気いっぱいだ。この人たちはなんでこんな生き生きしているのだろうとか思った。いわゆる体育会系というやつ?こちとら30手前の元ニートだ。日銭を稼ぎに来ているだけだから夢も希望もない。30代のオーナーと20台の社員が何人かと、近くの大学に通う学生、パートのおばちゃん、そんな感じ。
当たり前のことだがランチ時のキッチンは地獄。まあこれはフロアも地獄だろう。この世のものとは思えなかった。ランチ時だけ時給を3000円くらいにするべきではないかとか思うのだけど、そんなわけにもいかないよな。
入社2,3年(たぶん)の若手社員(とうぜん年下)がいた。女。仮に「なでしこジャパン」と名づける。
初日。
メニューは厳格にマニュアルが決まっていて、サラダ作るにもデザート作るにもレシピが決まっていてまずはそれを作業する中で覚えなければならない。それはそうだ。覚える。しかし1,2回で覚えられるわけがない。
んで先ほど教わりながら作ったメニューがもう一度注文が入る。自分でやってみるように言われて作る。レシピ表を見ながらゆっくりと。
でもここでなでしこに怒られる。
「さっき教えたましたよー(覚えてないんですか?)」
マジか。これがいわゆるブラック企業というヤツなのか。いや、それともこれが社会に出ると言うことなのか。今まで逃げ続けてきたから知らなかった。
しかもその後に言われたことが衝撃だった。
(ひとり言のように、あるいは他のバイトに問いかけるように)「2回同じこと教えるってメンドウじゃない?すごくメンドウだと思うな。ワタシだけ?」
マジか。
まさかこんな序盤に、こんな方法で精神を削られるとは思わなかった。
「2回同じことを教えるのは面倒くさい」こんな当たり前のことはない。正論すぎる。正論でもって精神を削る。これが社会か、、、!
でもレシピを覚えるっつったってそりゃ限度があるでしょう。1回じゃ無理。慣れてないんだし。先が思いやられた。
数日経つと、なでしこはいつの間にか別の店舗に異動になっていた(若手社員はいろんな店舗に回されるらしいね)。
代わりに来た社員(当然年下)は優しい人だったので良かった。
1カ月がたち(このペースで記述していたら終わらないので端折る)、もしかしたらこのまま続けられるかもしれないと思った。
でもやっぱり無理だった。
20代の学生、30~40代のパートのおばちゃんの中で、アラサー元ニートは不当に蔑まれた。軽んじられた。
「なんでこんなこともできないんですか?」というプレッシャー。常にこれとの戦いだった。
向いてないなりに一生懸命やったのだが。
教育現場では「なんでこんな問題もわからないの?」という言い方はご法度だが、社会というものはそんなに甘くなかった。知らなかった。いや、今となっては知らないふりをしていただけだ。
でも全ては良好な人間関係が築いているかどうかだということも分かってしまった。
例えば、新メニューが始まったとする。
それを初めて客に出すために作る時、ミスをしたくないからレシピ表を見ながらやる。
そうすると「えっ、覚えてないの?」と言われてしまう。もちろん冷たい言い方で。これはもう何も言い返せない。逆ギレはできない。それは紳士のやることではない。
しかし円滑な人間関係を構築している学生バイトだと、「講習受けてないっす」とか「次○○でしたっけ?」とかいう気の抜けた質問をしても許されているようだ。
注意するにしても「勘弁しろよー」と言ったようなサークルの先輩後輩のようなノリ。この差は何なのだろう。
であるならばその良好な人間関係を築きたいものだったが、それが出来なかったようだ。
こちらが好意を示すとそれが返ってくると本で読んだから(逆に相手を嫌うとそれが伝わって嫌われてしまう)、そうするように努めたのだが、いつまで経ってもそういう関係は築けていない。これからも築けないことも分かった。
ということが2ヶ月の段階で分かったから、やめた。
それにしても学生バイトの「自分はだいたいの仕事ができる頼れる男だ」と言わんばかりの全能感はなんだ。
自分がいないと店が回らない、店長よりも仕事ができる、といったような自信は。
将来、就職試験の面接で、学生時代に経験したことというテーマで「飲食店のアルバイトで現場を回していました」とでも言うのだろうか。
まあそんなことはいい。
2か月で逃げ出してしまった。
この先どんな仕事も出来る気がしない。
タヒにたい。。。
おつかれ どんな仕事もってまだ飲食店舗よりコミュ障に向いてる工場勤務が残ってるじゃないか
わかる・・・わかるぞお前の気持ち・・・ それで目いっぱい我慢して我慢しても雀の涙程度の給料しか出ないんだよな・・・ やってられねえ 社会が全力で俺らが働くことを邪魔してく...