最寄りの電気量販店ではあまり取り扱いがないみたいだし、どうやら高い。
まだネット通販などがほぼなかったと言える時代で、足や電話で値段比較する世界。
PCの雑誌などを見ていると、なんといっても関西でPC周辺機器を買うならばココ、
電気店を何軒もまわったが、なるほど確かに欲しかった周辺機器も在庫がある店が多い。
しかし、わざわざここまでやってくるほど安くはない。
「これは値切りしなきゃいけない・・・」と思いながら、売り場をウロついたり
他の店に行ったり戻ったり、途中でゲーセンに行ったりと、とにかくマゴマゴしていた。
「これ、あの、安くなりますか?駄目ですか?」といった風な言葉を発することができた。
そして、「あーちょっとどうですかね」という店員の返答に対して食い気味に「くく、くださいこれください」と、値札そのままの価格で購入して帰路に着いた。
目的の物が手に入ったが、敗北感でいっぱいだった。
堂々と値切れないだけでこんなにミジメな気持ちになるなんて、大阪の前提が自分の性格に合わない、もう嫌だ。
と高校生は鼻をツーンとさせながら地下鉄の階段を降りていった。
改札をくぐり、トイレにより、小便をしている(個別に便器があったか、壁みたいな所にする方式だったかは忘れた)と、
奥に立っていた中年サラリーマンが笑顔でやさしく声をかけてきた。
「5000円でなめさせてよ。」
薄いコートでかくれていた下半身をこちらに向け、屹立した自身の通天閣をこすりながらにじり寄ってくる。
小便を途中で止め、荷物をまとめて、駅員のいる改札方面に走って逃げていった。
(でも気弱だったので、駅員には何も言わない)
トイレから出たサラリーマンはこちらを見つけたが、駅員がそばにいるからか、近寄らず、笑顔でこちらに手を振って去っていった。
しばらく膝が震えていたが、
家につくまでにPC店の袋が破れたので、製品の箱を直で持って帰った。
私はソファに走っていって、突っ伏して泣きまくったので、親は混乱したと思う。
書いているうちに封印していた五千円おじさんの記憶が蘇って記述が分厚くなってしまったが、