一人当たりGDPで負けた。円安で負けた。円安でなかろうと購買力平価ベースでも負けた。
結果、観光で欧米や中国はおろか、台湾、ベトナム、タイ人が大挙してきてレストランが占拠されている。
かつて買えたものは値上げされ、輸出用に回される。
もう買えるものはない。
もはやマックですら高い。
外食に行けない。
タンスの中にあるものや冷蔵庫の中にあるもので生きていくのだ。
なぜか。
なぜ賃上げがないのか。
より具体的には付加価値がついて、高価格なものを販売する力のある企業が少ないからだ。
低生産性で年金をつぎ込んでダンピング価格でやっているような店が多いからだ。
経営者個人で使える金が年に3,000万円も超えると大概のぜいたくはできる。
それ以上に踏み込もうとすれば、数十億円のクルーザーやら数百億円のジェットが候補に挙がる。
ビルゲイツやらベゾスほどの金を使いたいわけではないが、1兆円自由になったところで使い道がない、
ブランド力ではなく、機能において毎年1億円が必須になるようなものがない、
車、飛行機、美術品…それってレンタルで済むか、美術館行ったほうがいいのでは?
だったら企業規模を拡大しようなんて思うはずがない。
ここが終着点だ。
そういう風に考えるだろう。
流行った飲食店が限界まで行列した結果、価格を上げてふるい落とすように、
生産が間に合わなくなったほどの商品については値上げをしなくてはならない。
供給が間に合わなくなったほどのサービスも値上げをしなくてはならない。
しかしそのサービスと価格を自分が供給してやろうとは思わない。
あるいはリスクを取らない。
上野千鶴子は全員で貧しくなろうといった。しかし、まずしいままだと年金制度が破綻し、社会保険料で破綻する。
団塊世代が全員死ぬまで我慢なのだろうか。そのころには我々も死期が近い。
賃上げだ。
コストプッシュインフレのどさくさに紛れて賃上げをするしかない。
上がった賃金分の可処分所得によってあらゆる商品の需要が増すからであり、商品に賃上げ分のコストを転嫁するからでもある。
賃上げをしよう。