小学校の頃、弟の宿題を見てあげた。夏休みの宿題が終わらなくて、親に言われるまま代わりにやった。
中学校でも教え続けた。
弟が受ける大学や通う塾も選んだ。
本人に選ばせようとしたが、親は私に決めさせたがった。
中卒や小卒もいるような親族の中で初めての大学進学だったが、私の受験には誰も興味がなかった。
国公立に受からなければすぐに嫁に出すと脅されながらの受験だった。
実家から解放されて、楽しい大学生活を送り、就活もスムーズに終わり、大企業の総合職になった。
「長男の就職先が決まらない。お前がESを書け。絶対に受かる面接法を教え込め」
本人に考えさせろと言ったが、当の本人にやる気がなかった。
ESを代筆した。webテストも代わりに受けた。面接の練習もした。
弟は留年した。
「長男の嫁が見つからない。お前の女友達から見繕ってよこせ。見合いさせる」
友達は差し出せないので、みんな結婚してしまい独身は居ないと言った。
弟のことは大好きだった。
一緒に夜更かししてゲームをした。
サワガニやザリガニを捕まえて飼った。
弟がいなくなったらしい。
でも、私はもう他人なので何も求められなかった。
親は、「結婚した女はよその家人間だ」という考えの人たちだった。
親は毒親だった。
そして、私もたぶん毒姉だった。