2022-12-28

毒姉と弟と毒親の話

物心ついた頃から、弟に勉強を教えていた。

小学校の頃、弟の宿題を見てあげた。夏休みの宿題が終わらなくて、親に言われるまま代わりにやった。

私が書いた読書感想文は弟の名前で賞をとった。

中学校でも教え続けた。

内申点を上げるために先生の覚えを良くするコツも教えた。

私は推薦入試進学校へ入った。

弟も別の進学校合格させた。

高校は別だったが、やはり勉強を教えた。

弟が受ける大学や通う塾も選んだ。

本人に選ばせようとしたが、親は私に決めさせたがった。

弟は地元国立大合格した。

弟の高校合格実績の中で一番いい大学だった。

私は旧帝大に独力で合格して、一人暮らしをしていた。

中卒や小卒もいるような親族の中で初めての大学進学だったが、私の受験には誰も興味がなかった。

公立に受からなければすぐに嫁に出すと脅されながらの受験だった。

大学授業料は全額免除だった。

実家は貧しかった。

生活費奨学金塾講師バイトで賄っていた。

実家から解放されて、楽しい大学生活を送り、就活スムーズに終わり、大企業総合職になった。

実家から連絡が来た。

長男就職先が決まらない。お前がESを書け。絶対に受かる面接法を教え込め」

本人に考えさせろと言ったが、当の本人にやる気がなかった。

ESを代筆した。webテストも代わりに受けた。面接練習もした。

弟は留年した。

翌年、父がどこかからツテを見つけて弟を就職させた。

からブラックだ。つらい。辞めたい」と連絡が来た。

また実家から連絡が来た。

長男の嫁が見つからない。お前の女友達から見繕ってよこせ。見合いさせる」

友達差し出せないので、みんな結婚してしま独身は居ないと言った。

私は会社の同僚と結婚した。

親に結婚したことを伝えると、連絡がパタリと途絶えた。

弟のことは大好きだった。

勉強以外もたくさんの時間を過ごした。

一緒に夜更かししてゲームをした。

親に内緒で、商店までアイスを買いにいった。

サワガニやザリガニを捕まえて飼った。

大好きだった。ずっと2人で田舎から逃げたかった。

久々に実家から連絡が来た。

弟がいなくなったらしい。

でも、私はもう他人なので何も求められなかった。

親は、「結婚した女はよその家人間だ」という考えの人たちだった。

親は毒親だった。

そして、私もたぶん毒姉だった。


今はただ、行方くらました弟が、どこかで幸せになっていることを祈ってる。

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