その部署が、端的にいえば、クレームの処理をしていると分かったのは、異動してからのことだった。
弊社においては、お客さまからのご意見・ご要望は、基本的にはメールで対応する。
ただ、一部のお客さまは、それにご満足いただけず、本社に直にお越しになる。
その仕事は思った以上に手強かった。
わざわざ本社に来るお客さまは、それだけ強い気持ちをお持ちである。
一方、私といえば、何の権限も持っていないのだ。
「ご要望は関係部署に伝えさせていただきます」、「ご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません」。
私に許された言葉は、要するに、この2つだけだった。
これでは、お客さまも満足するはずがない。
お客さまはお怒りになり、私は謝り続ける。
そんな毎日が続いた。
そのうちに分かってきたことがある。
お客さまは、いくつかの類型に分けることができる。
まずは、怒りたいお客さま。
このお客さま方は、弊社の「落ち度」にかこつけて、日常でお抱えのイライラを私にぶつけてくる。
だが、怒り続けるにはエネルギーがいる。
大人しく聞いておけば、そのうち怒り疲れてお帰りいただけることが多い。
次に、話を聞いて欲しいお客さま。
適度に相槌を挟ませていただくと、次第に話は弊社のサービスから逸れていき、家族や仕事の愚痴へと変わっていく。
しばらくお聞きすれば、満足してお帰りになる。
要所要所では強い態度に出て、主導権を握る必要があった。
最後に、実利を求めるお客さま。
この類型が最も厄介かもしれない。
何せ私には何も権限がないのだ。
私に権限がないことを分かっていただければ、私と話しても時間の無駄だと思って、お帰りいただけることが多い。
適度にみすぼらしくあるべきである。
白髪まじりで寝癖を直しきれていない髪。
八の字の眉、目の下の隈、顔に深く刻まれた皺。
謝り続けて曲がった腰。
40代ながら「老人」と言われても、それは狙い通りというものだろう。
日々の謝罪にも慣れてきた日のこと。
弊社のトップの変更が報じられた。
そんな諦めは、意外にも裏切られることになった。
よく考えてみれば、当然だ。
いくら謝罪に慣れてきたとて、同じ仲間のはずの従業員に謝るのは、とても辛いものだった。
そう叫ぶ声が聞こえるかのような、怒りと悲しみの眼が私の心を突き刺した。
私の培ってきたノウハウなぞ、そこでは何の役にも立たなかった。
私以外の誰かが、会社に代わって、私に代わって、私に謝るのだろう。
だからお前は多重投稿を謝れよ
すまんすまんという話
増田文学狙いすぎてて寒い
一体何ッターなんだ
涙3リッター
もうあるだろ https://anond.hatelabo.jp/20221105123011