2022-05-24

チップとデールの大作戦 レスキューレンジャーズ」への落胆

5月20日ディズニー+で配信された作品ネタバレ有り感想になる。

未見の方は注意してほしい。




前提として、本作は1989年放送された「チップとデールの大作戦 レスキューレンジャーズ」の続編でもリブートでもない。

現実人間アニメキャラクターが同じ世界共存しているという「ロジャーラビット」風の世界

・「各アニメ作品キャラクター達が演じて作られたもの」であり、その舞台裏を描くという「シュガー・ラッシュ」等と似た構造

チップとデールもお馴染みの高い声やコミカルな動きは演技であり、主演作の「レスキューレンジャーズ」終了から時間が経って二人の人気や知名度が落ちている、というところから物語が始まる

以上のような挑戦的な設定ながらストーリー王道で楽しめたし、ディズニー内外のアニメキャラが大量にカメオ出演するため画面の中から自分が知っているキャラを探すという「シュガー・ラッシュ」や「レディ・プレイヤー1」のような楽しみ方もできる愉快なお祭り作品だった。

しかし、出演キャラや元作品へのリスペクトに欠けると感じる描写が多々あった。

中でも受け入れ難かったのがラスボスに据えられた「ピーター・パン」の描かれ方だ。

永遠少年であるはずのピーター中年になり(彼はただの役者なので普通に歳を取る)悪事に手を染めているというだけで元作品ファンにはショッキングだが、メインはそこではない。

彼は「ピーター・パン」への出演で栄光を掴むが、思春期への成長に伴い役者として上手くいかなくなり、犯罪の道へ進む。

これは、「ピーター・パン」の声優であった実在人物ボビー・ドリスコール」の生涯を元にしている。

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=2031989

ボビー子役として「ピーター・パン」を含む様々なディズニー作品に出演するが、成長して子役でなくなるとディズニーから突如契約を打ち切られ、薬物中毒になり31歳の若さホームレスとして亡くなる。

これを話のネタとして使い、あまつさえ悪役の人生と重ねて描くのは、あまりにもむごいと感じた。

作中のピーター・パンは何の改心もせず、救いもなく、下衆のまま物語は終わる。

これをよりによってボビー人生を狂わせた張本人であるディズニーがやるのか?

自社の作品に命を吹き込んでくれた実在人間に対して、感謝リスペクトといったものが一切感じられなかった。

本作には「デザイン変更前の(キモいと言われた方の)実写版ソニック」がそこそこ出番のあるキャラクターとして登場しており、彼はこの作品で新たに命を授けてもらったように感じられた。そこには救いがあった。

どうして自社のキャラクターに、それを演じてくれた人にその救いを与えてやれなかったのか。

ディズニーたるもの夢と希望世界を崩すような作品を作ってはならないと言いたいわけではない。

ただ過去作品への愛と尊敬が感じられなかったことに非常にがっかりした。それだけだ。

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