2020-12-30

時空を超えて大瀧詠一

今日大瀧詠一さんの命日です。

もう亡くなられて丸七年経つので、人々の記憶から薄れつつ‥‥と思っていたら、今年になって、アニメエンディングに起用されたり、今公開されている映画主題歌みたいな扱いで代表曲が使われていたりと、令和の若者にもじわじわと水面下で影響を及ぼしているようです。

私が大瀧さんを大好きになったのはつい最近です。大瀧さんをリアルタイム体験したのは、キムタク松たか子ドラマ「ラブジェネ」の主題歌だった『幸せな結末』でしたが、この時は特にファンでもなく、でも後追いで『A LONG VACATION』のCDを購入していたくらいには気になっていた存在でした。このドラマ大瀧詠一主題歌流れるたびに、「これまさか新曲じゃないよね。昔の曲引っ張ってきたんだよね」「なんてベタ歌詞だろう」「このキスしてる男女が延々映されるPVどうにかならんのか」とかさんざんなことを思っていた記憶があります。当時は別のアーティスト熱狂的になっていたので、そちらと比べて、『幸せな結末』のベタベタ歌詞が、往年の大物ミュージシャン(というイメージ)の時代錯誤的な表象に思えて、残念に感じたものです。

で、それから20年以上が経ち、ご本人は鬼籍に入られ、私は彼の死後にファンになったのだけれど、大瀧さんの特集雑誌を読んでいたら、こんな対談記事がありました。


内田樹さんと大瀧さんの対談 2005年)

内田:ご自分歌詞松本さんの歌詞だったらどちらが歌いやすいという違いはありますか?

大瀧:それは圧倒的に松本の方が歌いやすいですよ。『幸せな結末』なんか歌えないと思ったもの。「今夜君は僕のもの」なんて死んでも歌いたくなかったんだから(笑)。あれは歌い始めた時にゾッとして、「歌謡曲の人はよくこんな歌詞で歌えるもんだな」と思った。何度やっても歌えなくて、たまたま最後のテイク一回だけ上手くいったけど、「松本にしときゃあよかったなあ」と思ったね(笑)。詞のなかにとっかかりがないのよ。松本場合メリハリがあるし、「ここだな」というニヤッとするような聴かせどころがあるから面白いんだけれども、『幸せな結末』はノペッとしたありものの継ぎ接ぎなわけです。しかし、ああいダサい歌詞の時が一番歌手としての力量が試された。なんとか歌ったけれども、あれを続けるなんていうのは狂気の沙汰だと思ったね(笑)

スペシャルロング対談・ナイアガラライフ30年!より)


すごい言いようです(笑)自分作詞したくせに‥と思ったら、一応ラブジェネのスタッフとの共作ということになっています

まり何が言いたいかというと、これを読んで自分は嬉しくなったのです。

(誤解のないように言っておきますが、『幸せな結末』は今聴くととてもいい曲で、特にオープニングの重厚感はゾクゾクします。今ではすっかり好きな曲になっています。)

当時の思いの答え合わせが時空を超えてできたことがなんだか嬉しかったので書いてしまいました。

大瀧さんの甘く爽やかな歌声が大好きです。もういないなんて7年経ってもまだ信じられないのです。(涙)

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