ここはど田舎の村で、周辺市町村では感染者もいくらか出てはいるが、まだ村内での事例は無い。
そんな中、都会から数年前に移住してきた女性がこのコロナ禍を受け、俄然色めき立った。
ど田舎の行政担当者は知識も危機感も足りない無能揃いなので、私が皆を啓蒙し、村を救わなくてはならない、と。
・新型コロナに関する知識は全てネット経由。PCR推進派で理想は世田谷区。
・感染症や感染管理の専門家では無いが、専門家にはない独自のもののとらえ方ができると信じている。
・それら知識を根拠に、行政の対応の遅さや不十分さを指弾する。
といった塩梅で、残念ながら広範な支持は得られていない。普通に考えれば、都会から来ただけで何の専門性も無い人が
薄い知識をもとに何かを訴えた所で、そりゃ誰も耳を貸す訳がないのは当然なのだが、彼女はそうは思わない。
「村民も行政も蒙昧な田舎者かつ排他的なので私の悪口や噂話ばかり。折角のすばらしい意見を受け入れようとしない」
・一文が長く、主述関係が明快でない。
・誤字脱字を気にしない。
・「感謝」「運命」「自分らしさ」といった情緒的な言葉が多い。
そして多くのトンデモさんがそうであるように、彼女は聖戦を諦めない。
田舎の人って、限られた範囲での人間関係を生きているから、都会の人から見ると「コミュニケーション能力・経験値が低い」
と思われがちだ。しかし実際のところは「限られた人間たちと利害を調整しつつ、長年にわたって共存しなくてはならない」訳で、
水面下での攻防も含め、相手の腹を探ったり角の立たないように相手を遠ざけたりといった手練手管に長けている。
いつでも切り捨ててリセット可能な、豊富な人間関係資源に恵まれた都会人とは鍛え方が違う(まあそれが嫌で都会に出ていく
人も多いんだけどさ)。
「どこどこん家の嫁」ってんならその家の後ろ盾があるけど、田舎で単身はキツい。
岩手県民おつかれさまです