2020-07-28

2 新人モンスターT 垣間見える獣性

モンスター級の新入社員が配属されて、危険察知センサー

ビンビンの係長たち、初日は嵐の前の静けさだった。

「Tと申します。よろしくお願いします」

無難にこなす自己紹介、表面上は見えない異常性。

Tさん教育係はS係長、補助はHさんにお願いします。」

S係長休日リトルリーグ監督も務めるスパルタ教育で知られる巨漢の男性

Hさんは親が許せば警察官になりたかったという正義感の強い常識のある女性

課長モンスター新入社員Tを教育すべく万全の体制を整えた。

私は教育係にならなかったことのホッとしていたのもつかの間、

別の新規案件の立ち上げで3週間ほど終電毎日になり、

新人Tのことなどすっかり頭から消えていた。

その後も多忙を極め、ヘロヘロになりながらも

ようやく私の仕事が落ち着き始めたのが6月中旬

その間にも、モンスターTはいろいろ小さな問題を起こしていたが

子どもを叱るようにS係長は扱ったのであった。

こんなにも会議室から新人が大声で叱られる声が聞こえてくることは珍しい。

そしてHさんもモンスターTには手を焼いていたが、

モンスターTはS係長とともに叱ってくれるHさんに

淡い恋心を抱くようになっていく。

自分のことを思い真剣に考えてくれているという誤解から

まれる恋心。迷惑以外の何物でもない。

叱られても叱られてもHさんには怒りを抑えるようになる。

問題行動を起こすT。そして、どうしたらよいかHさんに頻繁に相談するモンスターT。

鬱陶しがるHさん。

S係長とHさんには従順になっていく、しかし、

S係長上司Mは昭和チンピラみたいな人だったので

モンスターTはMのことを馬鹿にしているような態度をとっていた。

6月に入ったころ、MさんモンスターTの小競り合いがあった。

M「この数字が去年より大幅に上がっているのたけれど、あっているか確認して!」

T「あってますよ。」

M「それを確認してくれ。」

T「エクセル計算しているから何回確認しても同じですよ(笑)

M「・・・それじゃあ、俺が確認するからデータメールで送れ!」

T「VBを使ってますけど、わかります(笑)

M「いいから送れって言ってんだろ」

T「VBってわかりますって聞いているんですけど(笑)からないですよね(笑)

M「おまえふざけんなよ!」

課長「やめろ!Tさんがよくない」

T「すいませんでした」

Tはこんな調子で、頭をMさんに下げていたが、下げた頭をなかなか上げなかったのは

Mを馬鹿にしていて、頭を上げれば笑顔になっている自分課長にばれるのを恐れたのだ。

Tは課長を上の存在であることを認識しているから、表面上はすぐに従うふりをする。

獣のような感性、それがモンスターTであった。

6月下旬、私は突然課長から会議室に呼ばれる。

嫌な予感がする。

課長「いい話が1つ、悪い話が1つあります。どちらから聞きますか?」

これから始まる地獄のような毎日の始まりであった。

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