はじめて痴漢をされた日、泣いて駆け込んだ保健室で教師に言われた台詞である。
私はこの言葉を言われたとき、正直言って絶望した。私が痴漢を突き出せなかったのは、別に怖かったからとか電車を止めるのが申し訳なかったからとかそんな殊勝な理由ではない。
現在では微物検査があるので、痴漢において冤罪が発生してしまうことはほぼないと聞く。だからガンガン突き出すべきだ!とも。私はそうは思わない。
駅で痴漢の疑いを掛けられた男性が連行されていくのを見たことがある。彼は落ち着いた態度で駅員に無実を主張していたが、周りの人間は白い目で彼を見ていたし、写真を撮っている野次馬もいた。
取り調べを受けるために仕事も休むことになっただろう。彼の休日は消費され、クビになったり会社にいづらくなってしまったりしたかもしれない。
そんな彼の光景が、痴漢を受けた瞬間に過ぎった。もし空いた電車で、絶対にコイツだと思える確証があるなら、私だって迷わず突き出していた。でも前後左右に人が寿司詰めの満員電車で、腕を動かすのも難しい状況で、確実に正しい痴漢を突き出せるだろうか?
私は無理だと思った。だから突き出せなかった。
これは無実の人を思いやってとかそういうことではなく、シンプルに間違った人を告発してしまい、誹謗中傷と多大なる迷惑を掛けた結果、自分が責められたり責任を負ったり罪悪感を抱くことになるのが怖かったし嫌だったからだ。そんなリスクを負うくらいなら、体を触られた方がマシだと思った。今でもそう思っている。
だから、日本は意識が低い、台湾なら痴漢を車内全員でボコボコにする!とか、安全ピンで痴漢を刺す!とか、痴漢らしき人が逃げる様子の動画が拡散されたりだとか、そういう現状に目眩がする。
「混んだ車内で確実に痴漢を突き出せない」のはもう仕方ない。突き出せるようにするには女性に訓練をさせるしかない。
だから突き出せるように、「告発された人は疑惑の段階であり犯人でない可能性も十分にある」「ただの不運であるため、仕事を休んでも仕方ない」みたいな風潮が必要だし呼びかけられるべきだと思う。
だから痴漢ってなくならないんだろうな。どんどん偏見とその場での攻撃手段が高まっていくから、冤罪を恐れる男性から賛成を得られない。相手の人生狂わせるのが怖くて、言い出せない子が増える。結局自分で自衛するしかない。堂々巡りになっていく。
冤罪なんてそうそうないよ、大丈夫。 わたしもされたことあるけど相手がわからなかった、電車に乗り込む時、混雑で後ろから押されるように乗り込む時だったからどの人かわからなか...