2019-10-24

シンボリックメタドロー

全てのはじまりは、OKサインであった。

OKサインは、白人至上主義者のシンボルである

立てた3本の指はW、丸を作る指はP。

あわせてWhite Power意味するのだ。」

ネットの片隅で語られたでっち上げは、悪ノリによって拡散され、いつしか真実となる。

そのサインは、白人至上主義への支持を表明するシンボルとなった。

ある高校では、卒業アルバムOKサインで写る写真が含まれていることが問題となり、アルバムを作り直した。

あるテーマパークでは、着ぐるみ姿でOKサインしたことで、演者解雇された。

自らの勢力を大きく見せたい差別主義者。

ゆすりたかりの機会をうかがうエセ反差別主義者

競合企業対立陣営差別主義者のレッテルを貼りたい企業政治家

差別判定コンサルで儲けたいコンサルタント。

そして、混沌攻撃を愛するネットユーザー。

幾多の人々の思惑によって、「配慮を要する象徴単語の一覧表」は、肥え太っていった。

3600ページのPDF公表された頃はまだ良い方で、やがて、誰にもそのリストの全貌を把握することはできなくなった。

大きな胸は女性差別象徴となり、

集中線軍国主義象徴となり、

金管楽器マチズモ象徴となった。

熊はペドフィリア共産主義象徴となり、

マッシュルームカット公然わいせつ白人至上主義象徴となり、

「白」「黒」「黄色」は単語自体人種差別主義者象徴となった。

街やネットからロゴは消え、色彩も消え、話せる単語制限されていく中、人々はどこかおかしいと感じていたが、声を上げると差別主義者だと糾弾された。

差別判定・糾弾機関は、軍産複合体を経て、超巨大な国際機関と化しており、人類の誰もが、多かれ少なかれ利害関係を持っていた。

もはや、「反差別」の推進と拡大は誰にも止められなかった。

やがて、事態は、印欧語族に属する言語全てが、差別主義者の象徴とされるに至る。

反発する「差別主義者」と「反差別主義者」との間で核戦争が起き、人類は滅亡した。

人類の去った地球には、差別のない世界が広がっていた。

「……ということが、昔、『地球』っていう惑星で起きたんだよ」

へぇ〜、だから『チキュウ』って言葉が『馬鹿』って意味なんだ〜」

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