2019-05-18

本の実売数の公開について

https://mainichi.jp/articles/20190517/mog/00m/040/008000c

見城徹紀伊国屋パブラインヘビーユーザーから、他社の出版物の売上がわかることも当たり前で、実売数はオープンデータだと思っているんじゃないだろうか。

全国各地の拠点店舗を出している紀伊國屋さんの前日のデータが翌日に見られる、こんなすごいことはない。また、私以上に見城もそう思ったものですから、とにかく、PubLine データに日々かじりつくことになりました。回収した売行きデータよりも、PubLine を見て判断をしていく、というように変わったと思います。慌ただしかった月曜日がなくなり、楽になったと思っていたのですが、それはある意味試練の始まりでもありました。毎朝出社と同時に見城から会社電話がかかってくるので、1 点 1 点売上の状況を説明するために、頭をクリアにして臨まねばならない。

また、先ほども長渕さんがおっしゃっていたように、他社のデータを見られるという機能がありますので、それも頭にいれておかねばならない。他社が真剣に売っている本を全く把握していないではないか、とよく朝からボコボコに怒られていました。

さらに、当時の PubLine は設置型の端末だったので、会社に行かないと数字が見ることができない。土日も、当時上司だった米原(一穂)と会社に行って、朝一で見城の電話を待つという日々でした。それがさらに盆、暮、正月となってくると、さすがにきつくなってきたので、その後は PubLine 当番なるものを設けて、営業部員で交代して対応していました。そこでまた少し楽になったというのもつかの間、今度は PubLine が web サービスになってパソコンがあればどこからでも見られるようになり、さらリアルタイムデータが見られるということになりました。今は、朝の 8 時から夜中の 12 時まで常に緊張の日々です。おかげさまで創業当初は週に 1 度の重版会議を行っていましたが、今は 365 日毎日です。とにかくスピード感をもって判断できるので、私たち幻冬舎は PubLine という装置を大変重宝させてもらっています

https://publine.kinokuniya.co.jp/publine/pages/contents/publine_seminar_2015.pdf

この講演録に幻冬舎新刊企画書が載っているが、「PL実数」という欄がある。パブラインの実売数を記入するのだ。

パブライン数字を見ることで、その著者が過去に(他の出版社から)出していた本の実売数は筒抜けで、「あの作家は売れない」ということが分かってしまい、新たな本の企画却下されるという話は幻冬舎に限らず他の出版社でも聞く。

それでも編集者の熱意や出版人としての判断刊行に踏み切ることも当然ある。津原泰水氏の本が実際に出版されているわけで、見城徹が「編集担当者がどれだけの情熱会社を説得し、出版に漕ぎ着けているか〜」と書いたのもまた事実なのだ

日本国紀」を攻撃されて文庫化を中止した経緯から出た発言ではあるが、「あの作家は売れない」という情報を、機密ではなく攻撃でもないと考えていた可能性は高い。

  • きっと作家のほうも知ってると思うんだよね。俺は売れてないってバレてると。 そりゃいい文章で固定ファンはいるんだろうけど、数が少なきゃ扱ってもらえない。 そうすると、ちょっ...

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