2019-02-06

大阪人恵方巻き

まれも育ちも大阪下町近辺で、もうアラフォーですらなくなりそうなおっさんから見た恵方巻きの話。

もう旬が過ぎた話題だけど、昨日関東から来た人と話してて少し驚いたので書いてみたくなった。

知ってる人も多いだろうけどそもそもの話として、大阪ではそこそこ昔からローカル風習として根付いていた。つっても起源はともかく近代根付いたのはここ50年ぐらいだけど、逆に言えば俺ぐらいのおっさんやもう少し上の世代でも物心ついた頃からはやってたって事だ。

三つ子の魂とか言わんでも子どもの頃から今まで延々やってた風習なら、血肉となる感覚若い人でも分かるだろう。特に当時はコンビニは当然スーパーも今ほどそこらになくて、まだまだ商店街が強かった時代だ。うちのオカンもまだコマ付きチャリしか乗れない俺を連れ、近所の商店街の旨いと評判の寿司屋に買いにいっていた。

ところで、寿司特別感のある料理、という感覚日本人なら多くの人が持っているのではないだろうか。

世代地域や家庭によって、桶に入った握り寿司だったり、かーちゃんが作ってくれるちらし寿司だったり、みんなでやる手巻き寿司パーティーだったり、種類やシチュエーションは人それぞれだろうが、特別ときに出てくる特別料理という感覚はかなりの人に共有してもらえる感覚だと思う。

節分巻き寿司も、少なくとも俺にとってはそうだった。普段寿司なんて稲荷ぐらいしか食べてないし、握り寿司も盆正月ぐらいだ。巻き寿司はたまに食べなくもないが、大抵細巻きか、太巻きでも乾瓢・高野豆腐椎茸とか中心の年寄りくさいやつで、鰻か穴子が入ってるだけで喜んだもんだ。

それが、節分には寿司屋のちょいといいやつを買ってくれる。鰻やら鮪やら、下手すると海老イカまで入ってる宝石箱だ。しかも一人で一本独占させてくれる。のちに弟妹が出来て旨いものは常に奪い合いだった俺には長らく特別だった。

豆まきではしゃぎまわり夜には旨い巻き寿司を一本まるごと食べられる日、節分はまさに特別な日だったんだ。

そんなだったか巻き寿司ぐらい自分で買えるようになってからも、節分には色々な店の旨い巻き寿司を食べ比べたりした。友人ともどの店が旨かった、来年はあの店のを丸かぶりにしようかと思うなんて話をしたりした。当たりを引いた年には、将来自分に新しい家族が出来たらこ巻き寿司お土産に持って帰ったりするのもいいな、なんて考えたこともあった。だから節分スーパーコンビニ巻き寿司を買おうと思った事もないし、実際に買ったこともない。

先の関東の人と話して驚いたのは、子どもの頃はまだしも大人になってから節分特別な日と思う感覚がないらしきことだった。出身地なんかで結構変わるだろうし個人差も大きいかもしれない。でも少なくとも、節分特別と思ってない人が異文化とともに大量生産品を押しつけられたら大抵の人は嫌になるだろう。

スーパーコンビニの愚行を庇うつもりはない。俺が好きな行事からとみんなに押しつけようとも思わない。でも「大人になって節分特別でなくなった」というのは、俺からするとちょっと寂しいなと思う。

地元であった習慣でもいいし、今住んでいる地域の何かでもいい。節分ちょっと楽しみに思うような何かをしてもらえたらなと思う。そしてよければ旨い太巻きでも食ってくれ。わざわざ店内に入らず店頭でスッと持ち帰りの巻き寿司を買えるのも節分のいいとこだ。

寿司屋ちゃんとした太巻きは旨いぞ。

  • 豆まくのも環境汚染(カラスが増殖する)なのでそもそも節分そのものをやらなくなったとこが多いと思う

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