家の中にある遊び道具も古臭くて、コマやケンダマとかがあった。
普段、俺が室内でやるゲームといえばコンピューターのやつだったけど、ここには旧世代のすらなかったんだ。
そのせいで、俺はいつも手持ち無沙汰だった。
「すごいなマスダ。もうコマを指のせできたのか」
「ああ、つなわたりも出来るぜ」
兄貴は最初の内は戸惑っていたけど、すぐにその環境に慣れたようだった。
俺はというと、一週間たってもまだ馴染めない。
「弟くんも、どう?」
先生が差し出したコマを俺は受け取ることも突き放すこともせず、ただ無言で見つめるだけ。
その頃は俺は人見知りが激しくて、どう反応すればいいか分からなかったんだ。
「弟のことはほっといてやってください。無理してやらせるもんじゃないでしょ」
俺は兄貴にいつも引っ付いてばかりだった。
まだ身内に甘えたい年頃だったけど、親と過ごせる時間はほとんどなかったから尚更だ。
「おい、もう少し離れてろ。俺はこれから新技を開発するんだから」
兄貴の方はというと、あまり積極的に構ってくれるわけじゃない。
長男の立場から気にかけてくれてはいたと思うけど、自分の時間を優先したいときは邪険に扱われることも多かった。
誰も俺に気づかない隠れ場所だ。
そこで一人でいると、大抵ネガティブな感情ばかりが湧き上がるからだ。
現在、未来、親のこと、あることないこと全てが悪いほうへと考えを傾ける。
俺はそうやって、いつも小一時間ほどグズるのが日課になりつつあった。
だけどある日、それは終わりを告げた。
「え……な、なに?」
まあ、おかげで涙も引いたけど。
どこにもいるが どこにもいない
それこそ 彼の個性
奴の目的? 知ったところでどうする
奴はスゴイ? どちらともいえなくない
ただ そこにいるだけ
朝 昼 晩 テキストの海
所詮ただの余興 暇なら君もなれるさ
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完結……?