うろたえた俺は、あわてて彼を引き止めようとした。 「そ、そうだ、明日も見に来てよ。アノニマンがいないと不安で失敗しちゃうかも……」 だけど、そういった無意義な行為は彼が...
≪ 前 次に俺は片方だけ足を上げ、クルリと回ってみせる。 「な、なんて機敏な!? まるで自分の足のように動いているぞ!」 緊張は解けていないが、練習したとおりに身体が動い...
完結……?
「さて、次のステップはその“頑張れること”を何にするかだ。もちろん好きなもの方が良い。アノニマンの教訓ではないが、『好きこそ物の上手なれ』という名セリフがあるからな」 ...
そして翌日。 まずアノニマンは、俺にその“道”がどういったものかを教えてくれた。 「アノニマンの教訓その1、“居場所とは社会の縮図”である! その中で自分の居場所を見つけ...
「少年よ、なぜこんなところで一人、泣いているのだ。助けは必要か?」 「な、泣いてないよ」 「ふぅん、強がる程度の気概はあるか。結構、血行、雨天決行!」 アノニマンの第一...
その当時、俺と兄貴は学童保育のお世話になっていた。 古臭い一階立ての家に、俺や兄貴くらいの歳の子達が数人。 正直、俺にとっては良い環境とはいえなかったな。 家の中にある...
住んでいる町の治安はいいか。 観光客っぽい人に、一度そう尋ねられたことがある。 その時、俺はどちらともとれる表現で返した。 治安が悪いから、そんな反応で濁したわけじゃな...