「人が死んでいるんだぞ」という言葉の意味がわかった気がしたけど、しばらく経ったらまた判らなくなった話。
私は「人が死んでいるんだぞ」という人が何を意図しているのか分からない。
こちらの場合は発言者が何を意図しているにせよ、結局は「仕事をしろ」ということだろうから、別に困らない。
人が「会社は学校じゃない」と言う時、意味するところは次のどれかだろう。
・カリキュラムが組まれていて先生がそのとおり教えてくれるわけじゃないぞ。
・お前はサービスを受ける側じゃない、提供する側だ。受け身で居るな。
・学校では努力も評価されたかもしれないけど、会社は違うよ。成果出して。
これらのどの意味であったとしても、「わかりました」と答えて、ちゃんと仕事をすれば問題ない。
しかし「人が死んでいるんだぞ」の場合はそう簡単じゃない。(私にとっては)
おそらくその意図は時と場合によって違うのだろうけど、どう反応するべきかの着地点がわからない。
「人が死んでいるんだぞ」から感じるべきことは、こんな感じか?
・死者を冒涜するな。まずは死を悼め。
これら全ての意味が含まれているとして、「関係者は責任を明らかにしろ、部外者は不謹慎な反応をするな」ということだろうか。
しかし、この手の発言をする人の中には普段は標準語なのに「人が死んでるねんで!」と茶化したり煽っているかのように言う人も居るので
「不謹慎な反応をするな」という意図なら、矛盾していることになる。
だから「人が死んでいるんだぞ」という言葉は、自分にとって長らく意図がハッキリしない言葉だったのだが、
自分に向けて言われる機会が有るわけでもなく、Twitterなどで観測しても反応しなければそれで済むので、そのままだった。
それでこの間、小説『Before The Fall』(Noah Hawley著) を読んで、「人が死んでいるんだぞ」という言葉の意味がわかった気がした。
実業家の家族とそのボディーガード、招待された夫婦と売れない画家を乗せたプライベートジェットが海に墜落する。
画家は実業家の幼い息子を抱えて海を泳いで浜にたどり着き、生還する。
墜落の原因がわからないまま報道は加熱し続け、次第に画家にも疑いの目が向けられる。
とりわけ一人のニュースキャスターは画家を攻撃し続け、番組で彼の過去や私生活を暴くなど叩きまくる。
これを読んで、「人が死んでいるんだぞ」=「恥を知れ」で腹に落ちた。
「お前の品性は下劣だな」を死者がいるという事実を使って反撃されにくい形に変換しているのではないか?
でも冒頭に書いたように、しばらくしたらまた解らなくなってきた。
言葉は難しい。
新劇の巨人でもbeforethefallってあったよね あれ?壁にかこまれてるからwallだったっけ?