2016-10-09

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竜に愛されし少女イオナを読んだ。なんていうか、読み手として間違ったジャンルの期待を持ちすぎていた気がする。

格好いい英雄譚を期待して手にとっては駄目だったんだなあって今にして思う。もちろんその要素も多分に含まれているけど、年相応の少女主人公恋愛小説として読んだ方がイライラしなくて済むと思う。

前回の終わりで、ようやく反撃ののろしが上がったよーなんて喜んでいたのが馬鹿だった。この小説はすごい。それから四巻の終盤までほとんど劣勢が続くんだから。山あり谷ありなんてもんじゃない。地底に向かって転がり続ける話でした。

普通さあ、反乱軍に身を落としたら、なんやかんやで結構早い段階から成功体験できるはずじゃない。ほとんどないからね。竜眼卿としての能力も、最後最後まであんまり強化されなかったし。

加えて、主人公たちの関係改善されないばかりかどんどん悪化していくのがつらかった。お前ら人狼ゲームでもやってるのかってくらい終始ギズギズしてるんだもの人狼ちょっと違うかもしれないけど。

登場人物にれぞれの思惑があるのは当然なんだけど、絶大な力がある故の嘘が大きすぎたんだと思う。その結果、小さな裏切り無理解が多くなって、悲嘆に暮れて。ごめんなさいって謝ることも、置かれた立場というか設定的に難しくしてて、徹頭徹尾もどかしい読書感が続くの。つらかった。本当に。

特に主人公がねえ。十六歳の女の子らしい等身大感情なんだといえばその通りなのかもしれないけど、ちょっと擁護しきれない。主張はするんだけど、それ自分もできてないじゃんってのが多すぎたんだよなあ。

わからんでもないんだけどね。ずっとずーっと命を天秤にのっけたままの切羽詰まった状況が続くんだもの。またそれまでの境遇が悪かったこともあって、人に頼ることも心の内を打ち明けることもできない。

結果、問題を一人で抱えて、一人で暴走して、失敗しての繰り返し。これにシンデレラストーリー的な恋愛要素ががっつり絡んでくるんだけど、え、なんでそこで恋に落ちるのとか本気で思ってしまった。

個人的に、根っからの悪だけど、同じく強大な力を手にしているイド卿の方が受け付けられた。こいつは力に取りつかれた悪人だけど、初志貫徹しているのがいい。思ってることをイオナにずばずばいえるのも貴重だった。

反面主人公イオナは周りにも嘘をつくし自分にも嘘をつくし偽善は行うし、内心では偽善反省しつつも諌められたことに反発して切れちゃうしで、軸がぶれぶれで子供っぽいのが玉に瑕だった。

そういった点が、英雄譚として嫌なところだった。最初から最後までずっと覚悟が足りてないんだよね。格好いい主人公じゃなかったので、銀色恋人みたいな突っ走る恋愛小説と割り切った方がいいと思っちゃった。下巻の中盤くらいで。

主人公がうじうじする英雄譚ってほかにもあるんだけど、この作品はそれに加えて展開が遅すぎたのも好きじゃなかった。状況に高低差がなさすぎるのもマイナスポイント。かなりうんざりさせられた。

けど下巻の最後の方で、怒涛の展開を迎えたころからは幾分か楽に読めた。やっぱり最後ちょっとくどかったけど。

全体的にライコが気の毒過ぎたかなあ。ディーラ嬢ともども随分といい立ち回りしてくれてるのに。報われなさ過ぎてなんだかなあって思う。

表紙は綺麗なんだけどなあ。なんか期待してたのと違ったなあ。

がっつりページが埋まった海外ファンタジー小説だったので、次は何か軽い物語が読みたいなあ。

  • アレを読むのはこういう理屈っぽい人間なんだなあというのがよくわかる文章 amazonでみてみたけど全然読む気おきなかった

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