それを見るたびに胸がきゅーっと締め付けられ、同時に怒りと嫉妬の炎が脳の海馬を焼き尽くす。
「くそが。障碍者のくせに目立ってんじゃねーよ。恵まれてんじゃねーよ障碍者のくせに。社会の隅っこで背中まげて不幸の汚水に浸りながらひっそり生きてろや。この世は健常者ランドなんだよ。健常者専用の世界なんだよ。障碍者の分際でキラキラすんなよくそが」と無意識に口をついて出てくる。
身体障碍者は社会からのサポートがあって、ちょっと頑張っただけで世間から称賛される。楽でいいよな。健常者と同じステージで戦わなくていいなんて楽でいいよな。
オリンピックには出れないごみスポーツプレイヤーでもパラリンピックなら競争相手が少ないから楽にメダル取れていいよな。簡単に承認欲求が満たせていいよな。同情されて理解されてていいよな。
身体障碍はかゆくないし痛くなくていいよな。生活に支障がなくていいよな。
アトピーゾンビウイルスという世界で最も重く辛い障害を負っているアトピーゾンビもパラリンピックに出れるようにするべきだ。
自慢じゃないが運動には自信がある。もし、パラリンピックに出れるなら金メダルを取りまくって、日本人の障碍者が優れているということを世界にアピールできるだろう。
アトピーゾンビウイルスというこの世で最も重い障害を持っているのに、社会では健常者扱いだ。最悪である。かゆみや痛みや他人からの冷たい目や嘲笑に耐えても何の称賛も与えられない。
「甘え。アトピーゾンビウイルスを言い訳にしているだけ。努力不足。かゆみなんて我慢しろよw大変なのはみんな一緒!ただかゆいだけで大げさな。なんで治るように頑張らないの?ワセリンで治るんだって!病院行ってる?本人に直す気がないからいつまでたっても治らない。病気に甘えてる。見た目は関係ないよ。そんな性格だから彼女ができないんだ。容姿のせいにするな。きもい。近づくなよ。アトピーゾンビだーwww感染するぞwみんなにげろーw。普通じゃないやつとは友達になれないわ。あんな人生やだ。おれあいつじゃなくてよかったわ。うわきもっ。ちょっと!かわいそうでしょ!でもきもいじゃん。まあねw。肌がキモイ人とは付き合えない。私の私物に触らないで。生きてて楽しい?なんで生きてんの?俺だったら死ぬわw今のひときもくない?ぎゃははwww」
アトピーゾンビの人生は、パラリンピックの選手がオリンピックに強制出場させられて晒しものにされているようなもんだ。
アトピーゾンビウイルス障害と戦っているものに対して、もっと社会からの称賛と賛美と喝采と胴上げがあってもいいんじゃないだろうか。そう、身体障碍者のように。
パラリンピックに出れるように足を切断しようか真剣に考えている。
承認欲求を満たし、今まで虐げられてきた傷を癒すには身体障碍者になってパラリンピックで金メダルを取るのが最適解じゃないかと考えている。