『君の名は。』を観てきた。
まず瀧と三葉の身体が入れ替わって、瀧が真っ先にしたことは何か?
そして、この「オッパイ揉み」は、瀧と三葉が入れ替わるたびの恒例行事となる。
「1日だけ女の子になって、女の子の身体にあんなことやこんなことをしてみたい」――これは健全な性欲を持った男の子には、非常によくある願望なのである。男の子の願望が至る所で丸出しになっている映画、それが『君の名は。』だ。
次に、「口噛み酒」だ。シナリオによれば、巫女が米を口に含み、それに唾液を含ませまた吐き出して発酵させるという「日本最古の酒造方法」らしい。
好きな女の子の唾液を飲みたい――それもまた、健全な性欲を持った男子によくある願望なのだ。
そして、黒寺先輩とのデートだ。
男子はこんな願望も持っているはずだ。
女性を口説き落とす面倒な手間を全部省いておいしいところ(=デート)だけをすることはできないか――と。
それを実現してくれるのが三葉なのだ。
女性の心を熟知した三葉が(そりゃそうだ、女の子なんだから)黒寺先輩といい関係を作ってくれる。
そしていざデート当日、三葉と瀧の身体はなぜか入れ替わらず、瀧は瀧のままでデートに行くのだ。
タイムリープしたり世界線がふたつ存在したり、良くできた演出にはなっているが、あの「隕石が落ちてくる糸守町の住民を助ける」というのは、瀧が「女の子の命を救いたい」という願望を叶えるためのシナリオなのだ。
そもそも、なぜ瀧と三葉は惹かれあうのか?
ストーリーの設定によれば、突如して「入れ替わり」が起こるまではふたりは赤の他人だったはずである。
ただ「身体が入れ替わった」というだけで、あそこまで熱烈な恋愛感情を持つものだろうか?
女の子の身体に生で手を触れたり(しかも合法的に)、部屋を覗いたりしている内に、好きになってしまう、というのも男の子の行動パターンだ。
そして、自分が好きになった相手もまた、自分を好きになってくれる――これがエロゲでなくてなんだろうか?
そこで、ふたりは重要な情報交換をほとんどせずに、なぜか他愛もない雑談を始める。
そしてお互いの手のひらにマジックで名前を書こうとした瞬間、時間切れになって、お互いがお互いの目の前から消えてしまう。
今後のことを考えるならば、何を差し置いても作戦会議と名前の交換をするべきではないだろうか?
瀧は三葉の手のひらにマジックで文字を書くことに成功するのだが、そこに書かれたのは名前ではなく「すきだ」の告白の文字。
「男は理屈でものを言う、女は感情でものを言う」とか言ったのは誰ですか?
重要なシーンで理屈ではなく感情で行動を取ったのは瀧のほうではないですか?
しかし、お互いがお互いの名前を忘れるからこそ、最後のシーンが成立するのである。
「君の名は。」
最後の2行が思いっきり飛躍しているがまぁまぁ面白い考察