最低賃金は750円ほど。求人誌を見ても街の主軸産業である工場の契約労働者も含め20万円以上で雇われていることはまずない。
東京に出れば時給950円以上の仕事にあふれているというのに誰が時給800円未満しかないような、利便性にも欠ける、活気もない街で暮らすのだろうか。
多くの人は田舎は物価が安いと盲信している。そして私も田舎に行けば物価は安いのだろうと思っていた。
しかし実際は東京のほうが食料品の物価も日用品の物価も安かった。田舎の方が物価は高かった。
例を挙げると牛乳は東京では1L159円が最安であったが、こちらでは169円以下の牛乳は見つからなかった。
多くの人は田舎は家賃が安いから最低賃金が低くても豊かな生活が可能だと盲信している。
確かに田舎は家賃が安い。私は家賃3万円のアパートで暮らしているが東京にはそんなアパートはない。
私の地元である東京の郊外では私と同程度の部屋の家賃の相場は5万円程度だ。
しかし計算してみよう。週40時間、月に4.5週働くとして時給950円なら180時間×950円=17万1千円。
田舎では180時間×750円=13万5千円。差額は3万6千円。
各種税金、社会保険料を無視しているので一概には言えないが、東京で暮らした方が田舎なんかで暮らすよりも月1万6千円豊かになる計算だ。
最低賃金が低いのに物価が高いということを例に上げた牛乳で考えたい。
まず卸値は農協が地域ごとにほぼ一括で決めていて地域差は少ない。つい最近公開された情報によると私の住む田舎はむしろ安いほうだ。
そして輸送コスト。東京で売っていた159円の牛乳は栃木や群馬産の牛乳が多かった。距離にすると120kmほど。
田舎で売っている牛乳も同様に100km程度離れた場所で生産された牛乳が多い。
小売店が背負う主だったコストは人件費だが上述の通り最低賃金田舎のほうが東京よりもは20%低い。
ここまで考えると小売の人件費を含めて原価は田舎のほうがずっと安いはずであるということがわかる。
しかし我々が牛乳に払う金は田舎のほうが高い。では東京よりも6%多く払った牛乳代はどこに行くのだろうか。
つまり田舎は低い賃金で人を雇い彼らに高い品物を売りつけているのだ。
これで経営者達が懐に収めた金が地域経済を存分に潤すなら田舎が衰退することはないだろう。
しかし現実には全く発展の兆しはない。彼らは貯蓄し、街は貧乏になるばかりだ。
今年の参議院選挙では一票の格差是正のため合区がなされているがまだまだ田舎の人間の声の方が東京の人間の声よりも重要視される状況である。
この優遇策を40年以上も受けていながら、衰退が止まらない田舎というのはそもそも「向上心がない」のである。
最低賃金が200円高いから人が集まる。人が集まるから消費が生まれ、経済が潤い新たな仕事が生まれ、人が集まる。
その循環を最初から諦め私腹を肥やし地域を衰退させているのは地方の人間そのものであり、彼らがいる限り、地方の最低賃金が東京よりも低い限り、地域の衰退は止まらないのだろう。