『空き家に対する固定資産税が6倍になるせいで、市場に空き家が大量放出され、不動産市況が暴落する』
という飛ばし記事があった。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/157246
でも、「固定資産税が6倍になるのはわかっているケド、売りに出す手間が面倒だから、空き家のママ放置しよう」な家庭が案外多いと思う。
★自分の知っている人が、
「確定申告すれば税還付されるのはわかっていたが、忙しさにかまけて、手続しそこなった」と言ってた。
「面倒くさいから、経済的に有利な行動に踏み出さない」という人間は、実は結構多いと思う。
★政府は「固定資産税の6倍化が、空き家の有効利用のインセンティブになる」と思い込んでいるようだが、
「割と経済的に余裕のある家庭」だと、年間10万円程度負担増になっても、売却賃貸行動に踏み出さないのでは?
今相続で不動産を取得して、それを空き家化させている人は、50~60歳台の人が多い。
この世代は、割と正社員で恵まれた世代だから、そこそこの収入・資産がある。
バブル崩壊後の就職氷河期な30代以降だと『空き家にするなんて、勿体ない』となるが、
50代60代だと
『売りに出したり貸したりする手続きがメンドクサイ。手間かける割に実入りは少ないし・・・』
となる。
★というか、「空き家の大半が、スグに財産処分できる単独所有案件だ」と政府が思い込んでる気がする。
実際は、子供2人が相続して「共有状態」で、2人が話し合って合意しなければ売却も賃貸も出来ない、なケースが多数だろう。
酷い場合には、
『相続は発生したものの、遺産分割協議が整わないままズルズル空き家が続いていたり』とか、
『相続人のうち1人が認知症で、全く相続手続きに取り掛かれない、そのまま空き家化』のようなケースも。
「空き家のうち、単独所有案件は何割か?共有案件は何割か?そもそも所有権未確定案件は何割か?」を至急調査すべきだと思う。
★そもそも「空き家対策特別措置法」を万能薬のように錯覚させる報道がミスリード。
「特定空家」の認定作業がスムーズに進むと考えるのが非現実的。
第一、行政に空家認定作業をするマンパワーがどれだけあるのか?
仮に空き家認定作業を行っても、実際に指定を通知した時点で猛反発を喰らうと思う。
『これは空き家じゃない、たまに長男が帰ってきて、風を通している、荷物も少し置いている』と反論され、最悪は訴訟沙汰に。
訴訟覚悟で、特定空家認定作業を進める、ハラの坐った自治体が、そんんあにあるとは思えない。
結局、法律は作ったものの、実効性が発揮されない幽霊法律に終わってしまう公算大。
★だから、
「空き家対策特別措置法の施行に合わせ、市中の空き家が大量放出される」な日刊ゲンダイのストーリーは、
全くもってナンセンス。