芸術(エンタメ)系の専門学校が主催する就活対策講座に行った。
就職予備校化している某私大(キャリアデザイン学部なんていう学部持ってる)から、教授という肩書きを持った就活アドバイザーを講師として招いて開催された。
講師「大卒者でも就職できない人がいるんです。専門学校はどうか知らなゴニョゴニョ……」
専門学校から講演料をもらっている建前、どうしても奥歯に物が挟まったような喋りになる。
「MARCHレベルでも非正規・ブラックなんてザラ。資格なし専門卒のキミたちは覚悟しとけよ」というメッセージが手を変え品を変え、何度もパラフレーズされながら陰に陽に伝えられた。
就職率・離職率・平均年収といった統計を引き合いに出しながら、どれだけ雇用情勢が厳しいかを説明し、「勤め人になるのだって大変。アーティストなんて無理。現実見ようね」と遠回しに訴える講師。
面白い講座だった。
雇用統計(就職率・中退率・離職率・平均年収)がいくつも挙げられるのだが、どれも『高校・短大・大学・大学院』のもの。専門学校だけスッポリ抜けている。
無いものはないので、仕方なく芸術系学部の就職率(他学部に比べて突出して“酷い”)が紹介され、
講師「お察し下さい」
講師「どういうわけか、文科省は専門学校の統計を取っていないんですよ……」
それって天下り先が確保できないからじゃないですか? 国立はもとより、私大だって助成金でシャブ漬けじゃないですか。旨みがないから文部官僚は……と私は手を挙げて質問しようと思ったが、大人げないのでやめた。
あと、講師が可哀想だった。聴講している(させられている)専門学校生がガキみたいに騒いでるの。信じられない。
講師「あなたがた、そんなんじゃ社会に出てやっていけませんよ!」
講師は柔和な、虫も殺せぬような面構えをした御仁だったが、講座の途中でブチ切れた。
でも学生たち、静かにならない。ちょwww マジマジパネェっすwww
講演後、質疑応答の時間が設けられたのだが、学生の質問が分からなかった。
なんていうんだろう。日本語が不自然。主語と述語が一致していなかったり、前後の話が繋がっていなかったり、話のどこにも質問内容が無かったり。
ああ、こいつ馬鹿そうだなぁとか、不登校だったのかなぁとか、器質的にアレなのかなぁと思った。
そんな、とても面接に通りそうにない学生が、キャリアデザインについてたどたどしい日本語で質問するものだから、これは手の込んだ前衛演劇なのかとさえ思った。芸術系の専門学校だからね。
講義が終わり、私が校舎を出ると、『天井桟敷(2013)』の横断幕が校舎や沿道に垂れ下げられていた……なんていうことはなかった。