2013-04-12

虐殺器官』(伊藤計劃著)を読んだ

ネタバレあり。

文庫版の解説は読んでしまったけど、それ以外の情報自分の読後感が上書きされる前に書いておく。

すっげー頭悪い書き方だけどメモ代わりに。

完全に記憶だより。

あらすじ。

時代911後。現代よりもちょっと技術進歩して、個人のID認証とかについて厳しくなった時代。どこにいて何をしてるかが特定されるような。それによって犯罪の抑止にもつながったりしてた。

アメリカ911以前は暗殺デメリット考えたら戦争をしたほうがまだマシって考えだったけど、911以後はそうではなくなって暗殺もするようになった。

主人公アメリカ暗殺部隊人間

発展途上国とかで虐殺が起こる背景にジョン・ポールという人間いるから殺せと言われていろんなとこに行くけど、ことごとくもぬけの殻。

IDでも移動の記録がなかったりして、もしかして実在しないのか?とか考えたりしてた。

でも実在してた。

ジョン・ポール愛人監視中に本人とご対面。

余談だけど主人公愛人自分トラウマ母親延命治療自分の意思でやめたこと)を話したりして打ち解けてたさなかだったから、自分軍人だとバレたのがショックだった。

ネタばらしをきく。

虐殺を起こさせる方法は、ことばを使ってサブリミナル効果的な感じで人間の脳のどっかにある虐殺の文脈を活性化させるというものだった。

戦争の背景には必ずことばの文法のような「戦争の文法」があると。それを引き起こすトリガをことばによって引いていただけだった。

でもどうしてそれを使って虐殺してるのかはまだわからなかった。

そんでその場ではジョン・ポールに逃げられるが、また別の暗殺作戦で追い詰める。

そこでなぜ虐殺を起こすようなことをしていたかということをきく。

ジョン・ポールいわく、大切な人を守るためだと。

まり911ときのような先進国へのテロを起こさせないように、自国内だけで虐殺をさせてガス抜きをさせているようなものだということらしい。

その場にいた(主人公が愛し始めていた)ジョンの愛人がジョン・ポールを殺さないでと言ったので、殺さないと言った直後、主人公の同僚に愛人が撃たれて死ぬ

主人公はジョンだけ連れて逃げるが、軍の合流地点でジョンが軍に殺される。

最初からアメリカ(軍)は愛人もジョンも殺すつもりだった。

ジョンとアメリカ上層部とつながりがあったから、それを隠蔽するために。(だからうまいこと逃げおおせていた)

何度も失敗しているように見せかけていたのは、アメリカ政府内の内通者をあぶり出すためだった。

ラスト主人公は軍をやめて引きこもっていたが、ジョンと最後逃げるときに渡されたメモにあったURL虐殺の文法エディタがあったから、それを使ってアメリカを内乱状態にしてしまいましたとさ。

感想

虐殺の文法というツールの部分があんまり描かれていなかったかなーという印象。

あと、ラスト主人公アメリカを内乱においやったのも、なんとなくヤケクソだったのかなとか仕返しみたいなもんだったのかなとは思ったけどなんとなく読み取れず。

主人公自分の意思で何かをやるということが大事だったんだろうか。

個人的には、あとがきにあった、小松左京コメントがまさに自分と同じで驚いた(虐殺の文法があんまり書かれてない、最後唐突、みたいな)。

でもこの本で大事なのはそこじゃないんだと思う。

自分の意思で選ぶことの大事さとか大変さとか責任とかそういったものと、普段目を背けているだけで世界には内戦とかがあるということ。

あとはあまりにも陳腐になるけど、大切なものを守るために虐殺をするという思想の是非。

伊藤計劃の思想とかが詰め込まれてて、読むのにすごく体力が必要だった。

ハーモニーも並行して読んでるけど、脳の中で~って話は似てるなーと思ったり。

伊藤計劃を満遍なく楽しめるくらいの知識がないことがとても残念だった。

夏への扉読んでほんわかしてる場合じゃなかった。

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