2017-11-24

ゴジラ怪獣惑星は尺に無理があった(ネタバレあり)

本当にネタバレするからね。

まだ観てない人は読んじゃダメだよ。


今日見てきたんだが、設定を詰め込み過ぎ & 展開を端折り過ぎ。

総じて、尺の短さに無理があった。

ネタバレしながら愚痴るが、

これ宇宙船内のシーンで物語を始めて、地球に引き返してゴジラと一戦交えるまでの話なんだが、

物語内で言及されてる設定が、前日譚だけで↓こんなにある。

・ある日突然沢山の怪獣が地中や海中から出現。

最後ゴジラが出現して核攻撃までしても全然通じない。

宇宙人が2種類(宗教的な奴と戦闘的な奴)が突然人類に加勢したけど、やっぱり歯が立たず3人類まとめてボロ負けし、宇宙船地球から逃亡。

20彷徨ったけど住める星が見つからず、船内は物質的・精神的にかなり限界

はっきり言って尺に対して設定を詰め込みすぎだが、問題は凝った設定にあるのではない。

凝ってるというのなら、スター・ウォーズの方が設定は凝ってるが、あっちは物語描写に注力してて余計な説明をしないので、「それは何か背景がある」って感じで細かい言及をしないで済んでるのだが、

ゴジラの方はそれが出来ずに細かい設定に言及しまくっているのである

なぜそんな無茶をしたのかは明白で、主人公あくまで「現代日本人」という地に足の着いた存在にしたかたからだ。

未来地球未来兵器使ってゴジラ相手に戦いたいけど、主人公現代普通若者にしたい、という無茶苦茶要求を詰め込んだ結果、

宇宙船兵器宇宙人技術があるからOK主人公普通若者なのは宇宙船の状況が割と切迫してるからって事でOK地球が変わり果ててるのに主人公現代なのは恒星間飛行で時間が何とかかんとかって事でOK

と無理に理屈こじつけてるので、その部分を説明しないわけに行かなかったのだ。

こういうのを自縄自縛と呼ぶのだろう。

しかも、お膳立てにこんだけ手間取った上に「変わり果てた地球」を描写したいもんだから、そこでまた植生の変化なんかを説明するのに時間が取られ、

更に2種類の宇宙人(1種類じゃないのは、多分何か伏線的な意味があるんだろうけど)の異星人っぷりを描写するのに時間を取られ、

トドメに「なぜ人類は核まで使ってもゴジラに勝てなかったか。そしてなぜ今回は勝算があるのか」という理屈説明するのに時間を取られ、

当たり前のように無敵怪獣ゴジラ攻略時間を取られた結果何が起こったかというと、

人物描写の不在である

主人公ヒロインもいるにはいるのだが、前述のように設定開陳ゴジラ戦で時間取られまくってるせいで、

主人公たちにドラマを演じる時間は残されていなかった。

主人公はなんとか人物像や見せ場を作れたが、「フォースを信じるのだ」的な人間的な葛藤や成長を描く余裕はまったくなかったせいで、

最初から最後まで性格も主張も一切変わらず成長もしないという、ほぼ狂言回し存在と化しており、

ヒロインに至っては出番の回数もセリフも、扱いが脇役並である。(俺は名前も憶えてない)


そこまで削りまくらなければ尺に収まらない影響は全編に出ており、本来なら一番盛り上がるはずの「日常が壊れるシーン」つまり怪獣が出現する場面の描写は一切なし。

主人公は両親をゴジラに殺されてブチ切れてる設定なのだが、両親といるシーンも全くなし(というか両親は顔も声も出てこない)。

2種類いる異星人も、片方が理屈っぽくてセリフが長い種族なせいで、もう片方の種族描写がほぼなし。

ゴジラは一体だけで大して速度も速くないので、倒せないにしても宇宙に逃げなきゃならんほど追い詰められるには相当な時間と経緯があったはずだが、その辺も一切描写説明なし。

(っつーか、後半でビルならぬ山を崩してゴジラ埋めて動きを一時的にであれ封じるシーンがあったが、あれが通じるなら人類負けてない気がするんだよねー。)


まあその結果、映画本編は、前日譚の設定開陳がてら地球に戻る経緯を描写する序盤。

地球の変化を描写する中盤。

ゴジラ攻略する終盤。

の3段階のみとなり、一観客としては「もーちょい何とかならなかったのか・・・」という気分でエンドロールを見ていたのであった。


っつーか、途中で「こんなヤバい惑星住めないから、月に基地作って物資だけ地球に取りに来れば良い」的な意見を言ったやつがいたが、

アテのない恒星間飛行に出る前にそっちのプランをまず検討するべきじゃなかったのかね。

人口4000人って、それもう知識技術継承とか出来る人数じゃないし、最早勝とうが負けようが、原始生活に立ち戻る以外の選択肢が残されてない気もするしね・・・

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