2017-06-29

自動販売機と知能と人工知能人件費イノベーション

自動販売機頭よくなりましたよね。

シネコンではどんどんチケット販売機が導入されています

導入前。

話題作が複数公開初日となる週末の朝。チケット売り場は長蛇の列。某シネコンではドラえもんの上映開始が近づくと、端の窓口の前に特急列を作っていました。上映まで30分ある番組を見るお客さんは普通に並んで、5分前までのお客様はそちらに、というわけです。特急列に並んでも満席になったらあきらめるしかない。その辺を捌くのはバイトというよりは社員のようでした。

12時を過ぎると行列はなくなり、5つ開いていたチケット売り場は徐々に1つ2つ閉じていきます

導入後の今では、その場で席をとる人、ネット予約チケットを交換入手する人は自販機対応となりました。週末の2時間のためにバイトをたくさん雇う必要はなくなったのです。人件費カットです。

有人チケット売り場は、特殊優待、紙の前売り券など使用する人、無人チケット発券機を使えない人のために一つ開いていました。パンフレット売り・特典つき前売券売りと兼務です。

JRでは特急指定席券が買えるようになりました。カップルで並びの席をとるのも窓際をとるのも空きさえあればお望み次第。みどりの窓口で並ばなくてもよくなりました。

特急指定席券を自販機で買うとき、我々は労働しているのです。その労働の分みどりの窓口職員リストラされ、報酬総額は減額されJRコストカットしています

利益は上がり株主は喜び、乗客チケットの額面が(人件費が上乗せされていないので相対的に)安価であると感じます

仕事/作業のものはなくなっていません。誰が、誰にコスト負担させているのでしょうか。

みどりの窓口有人窓口はアクロバティックな乗継や無理めな注文、対話型でないと解決できない複雑な条件のチケットを買うために残されているように見えました。

映画チケット売り場の話題に戻ります

学校休みのある朝、観たかった映画のために、朝いちばんの上映回に向かいました。

イオンシネマハッピーモーニングという平日朝10時台までに上映される全作品は1300円というサービスをやっていたのです。

意外と混んでいました。私以外は御高齢者ばかりです。

出遅れたと思った私は焦りました。

数年前に体験した、週末の行列を思い出しました。でもなぜでしょう。チケット自販機の前の人影はまばらで、あいているようです。

ちょっとずつ前に進んでいくと答えがわかりました。

おばさまたちの集団は、みな有人窓口でチケットを買っているのです。

「この辺がいいわ」「どう並ぼうかしら」「前過ぎはいやよ」

かしましいです。なかには、今それを言ってもしょうがないような台詞冗談を交える人もいました。

すり抜けて、チケット販売機で買ってもいいか?とアルバイト風のお兄さんに目で問うと、どうぞ、と案内されました。順番逆転です。

お兄さんの顔に浮かんでいたほほえみは苦笑だったのかもしれません。

なんでこんなことを書いたのかというと

http://b.hatena.ne.jp/entry/340964205/comment/Midas ”格安店のセルフレジセルフガソリンスタンド。これらにおける「平等」は利用客が一時的労働者としてふるまえる知性を有してるのを前提としてる。”

http://b.hatena.ne.jp/entry/340976333/comment/Midas ”レストランでは我々は「はいこれ」とカード差しだせばあとはサインさえできればいいが、インターネットカード番号やワンタイムパスワード入力を求められてるとき我々は「働かされ」てる”

を読んだからです。

平日朝一からイオンシネマに来るお年寄りは「一刻も早くチケットをとる」よりも「多少長時間並んででも対話を通じて自分理解し納得できるチケットを<コンピュータの前で脳に負荷をかけず>取る」方を選んでいたのです。

まり コンピュータの前で一時的労働者としてふるまわず時間コストを払って(自販機で買っても友人で買っても1300円で同じ)、窓口の人に労働させていたのです。

みどりの窓口で並ぶ人は、途中まで自由席、乗り換えて指定席、また乗り換えて自由席、かえりは全線指定席 途中までは乗車券だけ先に買ってある、なんていう、エキスパートとの対話なしには買えない特殊チケットが欲しい人のケースを私は想定していました。だってただの往復指定券や自由席券なら並ばずに買えますから

でもそうじゃなくて「”自販機操作労働者”としてふるまう(という知性を発揮する)」のを良しとしない人、できない人もいるのだなぁと思ったのです。賢い人にとってはそんなの当然のことなんでしょうが

人工知能進歩するとみどりの窓口エキスパート駅員さんもリストラされて、おじいさんおばあさんがアンドロイドと会話してほしい切符を買うようになるのかもしれません。

AIの遺電子秋田書店)の世界です。すこしふしぎ

あるいはどうしても人間必要で、スターウォーズエピソード24が封切りされる未来には、シネコン土曜日曜の9時から普段ごろごろしている青年を安い賃金で雇って、12時過ぎたらあとは「ベーシックインカムで食ってろ」と放り出しているのかもしれません。

特に結論はありません。

  • https://anond.hatelabo.jp/20170629221519 なるほど面白い。 私も街の中で似たような方をお見掛けすることはあります。 これまでと違うやり方を求められて、ちょっと困っている様子のご年輩の...

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