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身体にはささやかながらも胸がありますし、脚の間にご立派様は御座いません。
それは女らしく振る舞うことです。
特に女の格好をすることに、強い抵抗を感じました。
その抵抗感は、年齢を経るごとに強くなっていきました。
失礼な感想ですが、イケメンなわけでも、センスが凄い良いわけでもありません。
ただ、さり気なく着られているその服がよくお似合いなのが、羨ましくて仕方ないのです。
男になりたいわけではないのです。
ただ、自分が女だと自覚するのが、気持ち悪くて仕方ないのです。
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女であることが、耐えがたいまでの苦痛になったのは1年弱ほど前の事です。
所謂ナンパに遭い、異性の目に女として写っていることを知ってしまったのです。
根暗でオタク臭いのでチョロそうに見えたのでしょう。今時は田舎でも油断はできませんね。
村社会で噂が広まりやすいため、地元の人はまずそんな手には出ませんが
勝手に喋ってくれた情報によると都会から越して来たばかりのようでした。
しつこく付きまとわれ、なんとか撒いて遠回りしながら家に帰りました。
不審者に声を掛けられただけでも十分にショックだったのですが(無事で良かったなマジで)
念のためおまわりさんに相談して、周囲には気を付けるように、外出は控えるように…と注意を頂き
担当の方に直接連絡できる番号を頂いてひとまず今のところ平和に過ごしています。
決して男にはなれないと、お前は女なのだと。
この苦痛は友達や親にも相談できないまま、今の今まで蟠っています。
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LGBTはグラデーションと言いますが、その中にXという分類があります。
男性でも女性でもない、縛られない性別として生きようという人たちのことです。
自認だけならそれでいいかもしれない。
無理して女の格好をするより幸せです。
そればかりは覆せません。
僕は男らしくしたいとは思わない。けど女ではありたくない。
LGBTへの理解は深まるべきだし、活動を応援したいとは思うけど、
「僕は死ぬまで女に見られながら生きるしかないのだろう」という諦念が
全てを暗く覆っている感じがします。
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恋愛にも興味がなかったので、恋愛対象もよくわからないのです。
アニメやゲーム――所謂二次元で好きなキャラクターは男性です。
線の細いイケメンより、強くてかっこいい男前な戦士キャラが好きです。
見た目だけなら男性のほうが好みなのです。
単に女性嫌いなのかな、とも思いました。
実際女性同士の慣れ合いやぎすぎすした感じは嫌いです。
しかし、この思いを恋愛感情と定義するなら、今好きなのは女性の方です。
情けないですが初恋です。
特別な関係になりたいとはめちゃくちゃ激しく思いますが、現実になれるとは思ってません。
第一、理解はあれど彼女はヘテロでしょうし、互いに幸せにならないでしょう。
実はさりげなく告白して華麗にスルーされましたが、それでもお慕いしております。
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頭の中を整理するつもりが、余計ごちゃごちゃとしてしまいました。
人類の半数に対する身勝手な恐怖と、ただ一人に対する身勝手な思いと、
僕はまた、「僕」という欠陥をしまい込んで生きるのだろうな。
もし誰か読んでくれてたらありがとうございます。
不快に思ったならごめんなさい。
ただ、世の中にはいろんな人が居るのです。
ああ、性別なんて無ければいいのに。