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2008-05-10

http://anond.hatelabo.jp/20080510173140

スクールにもよる。

萌えるスクール

萌えないスクール

  • 新興宗教
    • なんか毎回会うたびに同じような話をされて金の無心をされる系
    • 彼女の部屋にいったらワンルームなのにでかすぎる祭壇が祭ってあった系
    • でも引越しのときにその裏をはがしてみたらベニヤ板だったよ系
    • とりあえずその新聞とるのからまずやめてみよっか系
    • 金あるのなら別に寄付してもいいけど、そういう来世とかそんな言葉に惑わされて何口も寄付してどうするの系
    • インスマウス?どこそれ?え、アメリカ都市?そこにご本尊があるの?系
  • マルチ詐欺系(美容商品系)
    • なんの変哲もない美顔機がえ?二十万円もするの?系
    • いや末端の人は性格いい人多いのかもしれないけどとりあえずトップはがっぽり金貰ってるよね系
    • あれ?これmade in koreaとか書いてない?日本産とか言ってたよね系
    • こないだ韓国行って買ってきたフェイスショップの洗剤とこれ同じだよね。ラベルの張り替えた跡が…系
    • つーかこないだセミナーに来てた人逮捕歴あったよね、え?外為法で捕まったん?!?なんで?!…奥さんが韓国に20億も送金…。ヘー…。系
    • それでもあたしは友達とこの美容商品でサロンを持つの!系(デイドリームビリーヴァー派)

めんどくさくなったのでやめます。

嘘です。なにかが切なくなりました。

ちなみに後半は割りと実話です。

2008-04-21

ビバ火力。

先週、ワンルームから念願の1DKの部屋に引っ越しが叶った。

何が良いってキッチンが広い。流しが広い。

その横にまな板をおけるスペースがある。

収納もたくさんある。鍋は鍋、調味料調味料

食器は食器と独立してスペースがとれる。

ねんがんの!2つ口のガステーブルも買った。

これまでは電気コンロ1つきりで四苦八苦していたのが嘘のよう。

もうね、スーパー回って野菜の安いところ探しまくり

肉と魚の安いところも探しまくり

収納の問題でこれまで買えなかった調理器具も買い足しまくり

そうして戻ってきた私の買い物袋の中には

牛肉700g 鶏胸肉1パック 豚肉薄切り1パック

レタス1玉 ニンジン1本 新タマネギ3個入りパック

しらたき1袋 しょうが2本 新ジャガイモ4個入りパック

魚の切り身2切れ 冷凍さといも1袋 かぼちゃ1/4 いんげん1袋

しめじ1パック 青梗菜1袋 卵1パック(10個入り)

一人暮らしなのにいくらなんでも買い過ぎと言う気持ち(ry

1週間以上はもつだろうなあ。

とりあえず小分けにしたり火を通したりして冷凍庫にぶちこみつつ、

肉じゃがを煮込む。

その横で鶏肉を調理。

(親から教わった料理なのだが名前がなく料理本にも載っていない)

思う存分料理ができる幸せを噛みしめた。

諸君。私は料理が好きだ!

来週は天ぷら鍋を買って揚げ物を作ろうと思う。

とりあえずは海老フライからだ。

餃子ハンバーグも早くこねくりまわしたい。チャーシューとか煮込みたい。

お菓子も作りたいが、お菓子ほど1人分のみ作る空しさったらないので思案中。

2008-03-19

春だなァ

ワンルームマンションに住んでるんだけど、さっきから上の方の部屋からあんあんあんああんああんって女の声がして気になって安眠できねぇや

声の大きい女ってのはいるもんだねぇ……

2008-03-13

http://anond.hatelabo.jp/20080313201246

以前、日曜の朝9時頃からピンポン連打してくるのが居たので出てみるとマンションの営業でした。

学生向けワンルームアパート住まい大学生なのに、マンション買うわけがないだろうと・・・

2008-03-01

アブソリュートラップ <前編>

TRACK1(INTRODCTION)

 激しい喉の乾きで突然目が覚める。枕もとの煙草ライターをまぶたも開けずに手に取りカサカサに乾きあれ果てた、割れ果てた、唇にくわえ火を付ける、ここまで3秒だ。

 ふた息ほど肺に送り込み喉の乾きが最高調を迎えてから立ち上がり、冷蔵庫の中のうんと冷えたコカ・コーラの缶を開け、流し込むように飲む。

 ようやく意識がはっきりと戻ってから今が朝か夜かを確認する。僕は起きた時はここまでしないと喋ることも考えることもままならない。起き抜けの煙草と飲み物、ここまでが見物。この2つで僕はやっと僕という存在になる。察するに今は夕方、だいたい4時といったところか。部屋の中を見回してもいつもと変わった様子は見られない。脱ぎ散らかされた服、いつもどうりだ。汚くて狭い部屋。その通りだ。僕の部屋を末期症状と呼んだのは誰だっけか、そろそろ掃除のしどきかもしれないな。

 とりとめのないことをそこまで考えたところで、僕は自分が泣いていたことに気づいた。いや、正確にいうとさっきまで泣いていたのだ。足元に転がった鏡に顔を写し、見ると目の下に涙が乾いた跡がある。それは、とても妙なことだった。なぜなら泣かなきゃならない理由がない、思い当たらない、仮に嫌な夢や怖い夢。憶えないよね?見ていたとしてもそれは妙なことに分類される。僕は眠れば必ずといっていいほど夢を見、またそれをことごとく覚えているという割合特異な人間なのだ。特別何もなくても、何はなくとも、何かの拍子に涙がこぼれることがあるのだろうか。窓の外では子供の声がする。今、何時?汝、そういえば僕は寝る前、何をしていたんだっけ。

 僕は、なんで泣いていたんだろう。僕は何してたんだろう。ねぇ。

TRACK2

 何年前?5年前。

 僕は浪人生だった。とある大手の美術予備校に通っていて、それなりに志を抱いてもいた。一体、僕の志って何だろう?愛称は「ダル夫」、同時にそういう悩みを抱え始める年でもあったのだが、最初、風向きはすっかり僕にあるような気がし、そして何かが僕の思うとうりに、旗幟、動きはじめるそんな気がしてもいたのだ。単純に浮かれていたといってもいいのかもな。

 その年、僕が夏の捕獲に成功したのは5月ごろだった。

 「何してるの?」

 「昼寝しようと思って」

 「あ、そうなの」

 あたりさわりのない会話の中でもとびきりあたりさわりのない、言葉を交した。裃から下。僕は臆病な割にはずうずうしい人間なので、誰もいない屋上のベンチの彼女の隣に座った。これから寝ようとしてる時に、よくしらない男に隣に座られることがどのくらい嫌なことかなんて気に、考えたこともないし、考えてもよく分からないし。なので考えないけどどういう訳か彼女は眠った。

 時計は2時を回り僕の居る建物の廻りでは人がせわしなくぐるぐると回る、その証拠にたくさんの音を巻散らていた。カサカサと葉擦れの音。聞こえ出すと。彼女の少し茶色い髪もさわさわとなびきだすのです。とたん、工事現場の騒音も人びとの喧騒も、不思議と遠のき、何も、聞こえなくなってしまった。僕はなんとなく彼女の髪を撫でた。訳もないけれど。

 僕は何も確かなことは分からなかったけれど、ショートカット彼女の髪の暖かさと連動。この世界に、やがて、ほどなく、やってくる季節のことをそっと教えてくれた。

 僕は鉛筆カッターナイフで削る。これは僕にとってとても落ち着く行為なのだ。何故か。別に僕が文明の利器を忌み嫌い、しつこくアナログにこだわっているというわけでもなく、純粋に絵を描くためには、そのためには、字を書くときに比べ長い芯を必要とするだけの話だ。

 どういうわけか、というわけで。僕は鉛筆カッターナイフで削っていた。全部で30本くらいは削ったんじゃないだろうか。この時は時間潰しのつもりで筆入れの中の鉛筆という鉛筆を削ってしまおうと思っていたので、だので、むやみに使うあてのない鉛筆を中心に削っていた。

 僕の座っていた場所、もう人の通ることのなくなったアトリエの前の廊下普通はこの時間アトリエの中で一生懸命になっているものなのだが僕はそこにいた。ふとした拍子にドアが開き、見覚えのある髪の色が目に飛び込んで。時、綻んで。

 「描かないの?」

 その髪を知っている。

 驚いたことに、僕は隣に座る彼女の名前さえ知らない。驚愕に値。なのにこうしてもう随分と話をしている。

 彼女も自分の鉛筆を削っているが、並んでこんなことをしているのは、なかなかどうして変なものだ。僕はもう指が痛い。意味あんのか、だいだい。

 「カッテぇなこれ」

 「貸して、こういうのは…ほら」

 と、その髪。

 「うまいね」

 鉛筆の木の部分を大きく削り取り芯を露出させた。彼女にそう言うと少し得意そうだった。6Hの鉛筆ともなると、異様に固く、尖らすのにも苦労するのだ。

 「ねぇ、ご飯食べないの?」

 「うん。俺はあんまり減ってないからいいや。食べたら?」

 「…わたしもいいや。お昼ご飯とかっていつも食べないから」

 「そう」なんて言っていいか分からなかったからそう答えた。

 僕も彼女も結局絵なんて描きやしなかった。なんだか知んないが、かったるくなってしまったのだろう。

 その何日か後。僕達は1度だけデートした。

   TRACK3

 J子さんの髪の色には変化、少し変わった。どのへんが?あそこのへんが。あ、そこらへんか。

 彼女は僕よりも歳がひとつ上で。その上でそのせいも有るのか無いのかそれは分からないけれど、ときおりお姉さんぽい態度をとろうとした。しかしながら、彼女は僕と同じ年度に卒業している。留年したからだ。入院したからだ。とにもかくにも、彼女は何となく僕に世話を焼いてくれてるようだった。

 彼女の作ってきてくれたお弁当を一緒にたべながら、僕は彼女に好意を感じたが、それははっきりした形をとる様なものではなかったし、言わなければいけないのであろう一言が僕にはどうしても言えなかったのだ。あるいは彼女はただ親切だっただけなのかもしれないのだし。シット。

 何月だったか忘れたがとりあえずは冬のとても寒い日だ。ラッシュアワー時よりはいくらかは空いた、電車から降りてきた僕はそう急がずに改札をくぐり、彼女の姿を探す。姿を捕捉。細かい位置まで指定しなかったのに、彼女はきちんと分かりやすい場所にたった今定刻どうりに立っていたわけだ。

 「ごめんね。待たせちゃった?」

 「ううん。そんなに待ってないよ、さっき来たから」

 そう言って読んでいた雑誌を閉じカバンにしまう。

 「来たね」

 「来たよ」

 僕はそう答えて微妙な顔つきをした。

 なぜ僕達がこの朝などに待ち合わせをしたのか。といういきさつはこうだ。前後するが戻る。

 この頃僕の足は予備校から大分遠のいていて、ほっといてたまに行く程度になっていたのだが、たまたまクラスの奴(ボケ)が僕のことを学校に連れて来いと彼女にちょこっとほのめかした。軽い冗談ぐらいにしか僕は考えいなかったのだが、帰りがけ彼女はこう言った。

 「何時にする?」

 僕は驚く。

 「早目に着くようにしよっか、そしたらいい席取れるし。わたし達来るのとても遅いでしょ。だから、変な場所でばっか描いてるから、やる気にならないんだよ。8時じゃ早いか、8時15分は?早すぎる?」

 早過ぎるし、展開早過ぎるし。早く過ぎるシーン。

 「がんばるよ」

 彼女の乗る電車はもうすぐホームに入ってくる。それを知らせるアナウンス

 アーッ、アーッ。…イエスッ、プラットフォームナンシックス、まもなく打診。

 「ちゃんと来るんだよ。いい」

 そして彼女を乗せた電車は行ってしまった。

 アーッ、アーッ。ンンッ。…イエスッ、プラットフォームナンシックス、まもなく打診。答えはアイ、シー。

 ネクスト・デイ、という呈。

 2日目の待ち合わせも同じ時間・場所で行われた。まるで口の中にドライアイスでも入ってるかのように白い息がもわもわと凝固せず出る。当たり前のような話、僕はそんなもの食べたくない。けど、でも。あたりの人という人の口からも同じように白い煙が出ても、誰ももうドライアイスなんか食い飽きたとは言わないので、僕も不平不満を口からは出さなかった。出したのはまさに白い煙だった。

 腰の絞られた濃いグレーのピーコートのポケットに手をつっこみ、眠い頭と当惑する気持ちをこさえ、彼女を迎え、姿を残さねぇ。そんな背が高くないというよりは小柄と言ったら正しいくらいなのに、彼女はロング丈のコートが意外に似合った。

 「や。時間どうりに今日も来たね」

 と彼女と翳す手。

 「そりゃね」

 と僕。

 言葉少なにそう歩き出す。

 「こうやってお互い待ち合わせればきちんと行けそうだね。こういう風にしてればわたしも行くしかないしね」

 「俺だって早く起きないわけにはいかないもんなぁ。7時くらいに起きてんだよ俺」

 「えらいじゃん」

 初めからそうだったけど僕達は相変わらず言葉少なだった。けれど、淡々としているというわけではないのだけど、大はしゃぎするふうでもない。笑いはしても、腹を抱えてゲラゲラと笑うなんてことはなかったようなという記憶で。19才になったばかりの僕と20歳の少女、差異があると、「サイ」が変わるの。そう彼女は20才になっているにも関わらずその印象は少女のままだった。その2人がこんなにも、まるでうっすらと積もった雪の上を静かに歩くように言葉を交すことは、僕にある風景を描かせた。

 描く、書くと。

 その風景とはこうだ。

 (ムーボン、ムーブ、オン。見えるか、聞こえるか。始まるぞ、濃そうな妄想のシーン。)

 陽の光がとても弱々しく感じられる。風が強いせいか肌寒い、ここは何処だろう?

 見慣れた風景と感じるのはきっと有るものがすべて決まりきっているせいなのだろう。僕はここが何処か分かった。学校、おそらく高校だ。びゅうびゅうと風が空想の怪物の呼吸みたいに聞こえるので僕は心細くなりフェンスにしがみつく。その僕の指を固く食い込ませた金網の向こうに彼女が見える。小さくしか見えないが僕の知っている彼女は僕だけが学校と分かり得るぐらいの小ささで建つ建物と僕の中間に立っている。なぜか僕も彼女制服を着ている。バサバサと髪が巻き上げられ服の皺がとたんに生命を持ったように暴れる、風が僕達の世界の全て、有体から思念体、一切合財何もかもを飲み込もうとしているみたいだった。

 「     」

 僕は胸が潰れそうになって必死に彼女の名を呼んだけど全てかき消されてしまい、届かない。すると、髪を服を草を巻き上げる耳を裂く風の音、一切の音という音を彼女が遠ざからせてくれた。

 あたりにはもう心配する事なんて何もないのだ。

 けど、けれど、何で彼女はまだ思いがけず不幸に命中してしまったような悲しい顔をしているのだろう。

(ちょっと調子が悪いのか、そうか。なら、鬱蒼など晴らそうか。そのスイッチを押せ、行くぜ。)

 リブート。

 その後。

 僕は何度か彼女の悩み事のような話に付き合ったことがある。そのたびに快方にむかったように思われた彼女も、それはしばらくするとまたがくんと調子を落とす。こういうふうに言うと冷たいかも知れないけど、そういうのはどうにもこうにも本人次第だ。何とかしたいが、したいが、悲しいけどどうしようもなく本人次第だ。SPみたいに、彼女にへばりついて、いつ降ってくるか分からない災いの流星群から守ってやることもできないし、だいたい、彼女が望むかどうかも不明じゃ現実的じゃないじゃない。

 というわけで僕はただ見ていた。

 その日も彼女は複雑な表情。僕はと言えば相変わらずも怪訝な顔。それらには触れられずに帰りの道を僕は彼女と歩いた。

 「ご飯食べていく?真直ぐ帰る?」

 「お腹も減ったんだけどそれよかコーラが異常に飲みてぇよ。どっかに自販機ないかな?」

 下がる血糖値、命の危機。

 「ここら辺ないね」

 仕方がないので彼女の知っている店へ向かった。彼女の指差す先は目的の店の電飾で、その店はばっちりコーラが飲めたのだ。

 「行く?」2本目のマールボロに火をつけながら僕は尋ねる。

 食事を済ませた僕達は向かい、駅構内へ降りていく地階からは長い。長いエスカレーターに乗っていると改めて僕は彼女の横顔が視界に。そしてきっと僕には何もできないだろうなと思ったのだ。何故そんなことをこんなときに思わなければいけないのかさっぱりだが、僕はその顔を愛いと感じた。ウイ。

 またホームへ電車が入って来た。けたたましいブレーキ音とまるで抜けた魂、知性の感じられない雑踏のミックスジュース、もう嫌気がさす、ミキサーから出す、一息で飲みほしてしまいたい、彼女の声が途切れる前に。耳を澄ましたが池袋駅でははっきりと聞こえない。もし今が初夏だったら。その奇跡の力ならば。

 「     」

 「え?」

 僕は憂う。

 何であの時みたいに必要なものだけ、必要な声だけ、それだけを抽出してくれないんだ。僕には必要な世界があって、そんなこと勿論はなから分かってる、多分そんなに重要なことは言ってないんだろう?僕はそんなこと勿論分かっているけれど、彼女の表情はそうは見えないし、多分そうじゃない。なんだか胸が詰まりそうだ、僕の傍、彼女の顔が無理やり笑ったみたいに見えた。胸が潰れそうだ。

 「バイバイ」

 電車が行ってしまったあとには言葉を遮るものは邪魔も何もない。だけどきっと遅かったんだとは思う。彼女は誰かに救いを求めたかったのだろうし、あのいやらしいノイズがかき消したのは、彼女のなんとなく悲しげな顔に含まれた聞かなきゃいけない一言だったかも知れないのに。そしたら途切れないのに。

 「ふぅ…」

 僕はため息をひとつついてみた。人とすれ違う。

 あくまでも推測だ、多分僕の考えすぎなんだろう。

 でも、僕に何かができたんだろうか。何だろうか。見当つかない、それは分からない。

 ねぇ、笑ってよ。

 止めてぇよ。

TRACK4

 「なぁ、花火大会行かねぇ?俺の友達の女の子も来るんだけどさ」

 昼ご飯時で人の多い通路に,5・6人もかたまり地べたに腰を下ろし、カップラーメンOR出来合いの弁当、貧相な食事を僕らは済ました。それぞれ煙草を吸ったりジュースを飲んだりと全身からやる気を排出していた。

 お弁当後、僕のコメント

 「あ、俺行きてぇ。女の子来るんでしょ。何人来んの?」

 フィルター近くまで吸った煙草を床で潰しもみ消し。

 「多分3人くらいは来るんじゃねぇの。行かない?」その場の全員に振るのは主催。良い返事下さい、と同意求め。

 「行く行く」

 「花火かぁ花火かぁ」

 「女かぁ女かぁ」

 「俺は無理だな、無理無理」

 めいめい自分なりの反応を示し、僕はデニム地のベルボトムのパンツで灰に汚れた手を拭きながら尋ねた。

 「そんでその花火はいつよ?」

 それは皆が知りたい重要な事だ。

 「今日

 結局一緒に行ったのは僕だけだったとか。

 僕が挨拶をすると2人の女の子も同じ要領で続けた。1人はショートカット、割合奇麗な娘。もう1人はロングのパーマの表情の豊かな娘。有体に言えばそういう子。僕はニコニコ

 「良かったね、ちょうど人数あって」

 僕がそう言うと彼はあまり同意はしなかった。聞いた話によると田舎恋人がいるとのことだ。そうは言っても毎日モチーフとにらめっこしていて大分クサッていたところなのだ、遠くの恋人恋人じゃない。4人は電車目的地へ向かった。話をしながら。

 目的地がもう目の前という頃まで近づくと、僕とロングの娘はすっかり仲良くなった。いざそうなると最初に感じたファースト・インプレッションも変わり、「ケバイ」も「チャーミング」に変わろうというものだ。僕はそういうところが調子良いようだ。

 「次の駅で降りるよ」彼の指示で僕達は降りた。

 僕にとっては見知らぬ街で、駅から出たとたんに潮の香りで、満ちるような海辺の街に降り立つとダウン。僕はロングの仲良くなった彼女と並んで、先導する友達の後をついていった。途中、道で擦れ違うのは真っ黒に日焼けしたサーファー風の男女ばかりで、

 「サーファーしかいないのか?もしかして」

 と、誰に言うともなしに言うと、

 「なんか、あたし達だけ格好が違うよね、みんなショートパンツビーサンとかなのに」

 「俺なんかめちゃくちゃ浮いてるんじゃない。Tシャツ小せぇしパンツの裾開いてるし」

 「そしたら、あたしも浮いてる。だって格好似てるじゃない」

 馬鹿馬鹿しくも会話。サーファー外野

 そんなことを話しているうちに波の音のするところまで来てしまった。多分、僕は相当うかれていたんだろうと思う。だって波の音がする。潮の香りもする。僕のような人間にとって、海という所は、そう簡単にほいほい来れる場所ではないので、しかもそれが、もう目の前とあっては高揚せずにいられるものか。浜辺に降りるには多少なりとも道なき道を行かねばならぬもので、僕達も慣例に従い膝丈くらいの草を踏み倒して進んだ。16ホールの編み上げブーツは砂利だろうと草だろうと蹴散らして行ける。爪先にスチール入りの頼れるタフガイ彼女の履いていたサボ状のサンダルとは違い、あちらはどう見てもタウン用なのでそれが理由かどうかは知らないのだけれど、結果、我々一行の中で彼女は遅れぎみだった。

 「ほら」

 差し出す手、手出して、握り返して、そのまま固く封印。

 僕の手を握る彼女の手の平は汗でじっとりにじんでいた。

 花火なんてない。いらない。

 クラスメイトの彼は相当がっくりきたらしくご機嫌斜めでショートの娘の相手すら放棄している。その娘にも悪いんだけど、本当に悪いんだけど、僕とロングの彼女は楽しんでいた。途中で買ってきたビールを開けひとしきり、

 「ちょっと海の方いってみない?」

 と彼女は言った。

 僕達は軽く走りだす。別に急ぐこともないのだけど何故か足早に。渚は玉砂利を転がした様な音だけをたて、波が僕の足の下にあるものを掴もうかと、否かといった感じで近ずいたり遠のいたりする。

 「わ」

 ふいに勢いのある波が靴のソールを濡らす。

 「靴脱いで足だけ入っちゃおうかな」

 「いいね、そうしようか」

 紐を解いてブーツをほうり投げ、サンダルを脱ぎ捨てるとジーンズの裾を捲り上げて。ちょっと悪いことをするみたいな顔をちらと僕に見せて。確信犯の顔、隠し得ぬと、一歩、また一歩と沖の方角へ歩を寄せると、いともあっさりと捲った裾が波に晒され、「ひゃぁ」と背中を撫でられた様な声を彼女は発した。うかれた僕達にピークがやってきて水をかけたりする行為をとらせ、あろうことか渚を走らせた。ここで擬音、もしくは無音、体だけはムーブ・オン。手をしっかりと繋いで。はぐれないように。

 そのとき、彼女悲鳴が聞こえた。知らないうちに波がさっきよりも満ちて僕達の靴が波にさらわれかけた。僕は悪の魔王からお姫さまを救出する、まるでブロンド王子白馬にまたがり魔の手ののびる靴たちをひどく格好良く助け出すのだ。彼女は、幸せに暮らしましたとさめでたしめでたし、といった顔をして笑った。 一番最後に僕も何も特別なことはないようなフリをして、そして笑った。

 二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。

TRACK5

 話はそう簡単じゃない。人生は長く複雑である。というのがまさに一般論だぜ。

 僕は中央線に乗っている。僕の用事はパーマをかけたロングのあの娘に海で借りたハンカチを返しに行くと言う至極下らないものだが。だがもちろん、世の若者が往々にしてそうであるかは僕の知ったところではないんだけど、僕の用事がそれだけであるはずがない、僕は彼女に会わなくてはいけない。いや、会うべきだ。

 待ち合わせ場所のファーストフード店で、コーラを飲みながら過ごすこと数分。彼女はやってきた。奇麗な茶色のタートルネック、サマーニットジーンズという出で立ちに画材道具の入ったトートバッグを抱えて。気持ちの良い笑顔と一緒に駆け寄ってくる。本当ならばハンカチなんてここで渡せば用事はそこでフィニッシュなのだが、あいにくと僕はおみやげを持参していたのでそういうわけにもいかないのだ。おみやげの名称は下心っていうんだけど。そこら中で見かけんだろ?

 彼女、FMの部屋は一般的なワンルームから比べると少し広めで、あまり物がないせいか当時僕が住んでいた部屋とどっこいぐらいの、な、はずなのにもっと広く感じた。備え付けのキッチンの小さな開け放した窓からは小気味良いまな板を叩く野菜を切る音が空へと帰り、その間、僕はただ彼女の後ろ姿を眺めていた。

 手慣れているとは言い難いものがあった。が、毎日自炊しているというのもままんざら嘘ではなさそうではあった。借りたハンカチを返すだけで手料理が食べられるなんて僕は全然知らなかったけれど、割とメジャーな潮流に乗った、そんな不問律らしいとの噂は聞いた。女の子からは何はなくとも、必ずハンカチを借りることを是非おすすめしたい。

 出てきた料理は手の混んだ代物ではなかったがそれだけになかなか感動的でもあった。味よりもむしろこの事実、リアリティが僕を満腹にさせる。その後、僕たちはマットレスの様な寝床でごろごろと転がり、何を話すでもなくうだうだ雑談していただけなのだが、僕が帰るためにはそろそろ私鉄電車時間が近ずいてきていた。ここで。僕はけっこうな勇気カロリーを消費しなくてはならない。

 「あ、もしかしたらうちの方へ行く私鉄がもう間に合わないかもしんない。やばいな、多分今からじゃ終わっちゃうかも」

 本当にもう正気の沙汰ではない、この白々しさといったら。真っ白だよ。

 「どうしよう」

 こんな風に反応を伺うのももう最悪だ。

 「…いいよ。泊まっていっても」

 まさに、まさに。嘘をつくのは大変な作業である。でも無理も道理も通った。押しの一手、おっしゃる意味が分かりません。

TRACK6

 僕と僕との会話。

 『気分はどうだい?』

 「ああ、すこぶる良いね。まるで風が僕に吹いているみたいだね、別に強がりじゃないよ。だって、そうだろう?もはや何の憂いもない」

 『そう?』

 「そうだよ。見ててみなよ、きっとうまくいくから。そういつまでも同じことは繰り返されないさ、アンラッキーだなんて言わせないね、君にもだよ」

 『別に運は悪くないよ』

 「立ち位置の問題なんだよ。僕はここなら平気さ。大丈夫。ノープロブレムだね」

 『そうなの?』

 「そうさ。僕も捨てたもんじゃないだろ?」

 『どうだろう?』

 暗転、という呈。

TRACK7

 同じ布団の中、僕も彼女も眠れていない。大分個人的な話へと突入し、立ち入った空気男と女意識させる。いや、意識せずにはいられない。話の途中で彼女はごく自然寝返りをうち、肩を下にして僕の方を向いた体制をとった。その鮮やかさに感心する。明鏡止水、拳法の極意。きっと僕の寝返りはとてつもなくみっともないんだろうから。

 向かい合った体制の均衡がふいに破られ無我夢中できつく抱き合う、が、彼女は僕の足を自分の股にきちんとはさんだ形に。一枚上手だ。僕は自分のイニシアティブの存在をないがしろにするわけにはいかないのであえて言わせてもらうが、僕達は破ってはいけない沈黙を破るように同時にキスをした。同じ心音、同じタイミングってことだ。正確なところは僕が気づいたときにはすでに彼女の舌は僕の喉内に潜りこもうという意気込みであったがとりあえずそういうことだ。そこから彼女の前の彼氏の話が始まる。

 長いので省略。

 「うん」

 曖昧に、何も言うまい。このスタンスはとても便利だ、いつも僕を助けてくれるのだ。言うべきことなんか在りはしないんだから。たかだか、僕らの歳などでは。

 あっけなくマウントポジションをとられ、僕は彼女を見ている。

 「あたし、けっこううまいよ」

 彼女は唇を舐め、僕の性器に手をかけてトドメとばかりに、

 「前の彼氏より大きい、してあげよっか?」

 と舌舐めずり。

 返事はあとまわしにして僕はマウントポジションを取り返す、そして彼女のくりんくりんとうねるライオンのたてがみみたいな髪の毛を見つめていた。彼女はしっかりと現実を見つめている、だけど僕に見つめられるのはその髪ぐらいのものだ。ひどくうつろなまま彼女の服に手をかけひとつひとつボタンを外しにかかり、ワン、トゥー、スリーで3つまではずしたところで彼女ブラジャーをつけてないという当然のことが分かったが、かまわず全部はずした。ワン、トゥー、スリーで出るのは鳩ばかりとは限った話じゃなく、ハッとする。乳房だったからね。

 でも僕はぜんぜんダメだった。

 「あたし生理なんだけどバスタオル敷いてしようか?」

 うん、とも、ううん、とも言えなくなってしまった僕に腕をまわし、そんな僕をよそに、

 「なんか、あたし、したくなっちゃった

 「あたし、したいよ。しない?」

 もはや疑いようもなくなってしまった。セックス

 「よそうよ」

 10秒経過、残り20秒。10秒。5秒。持ち時間は無常にも、少なくなる。こんなときには異常に早くだ。

 オーケーと気軽に言えたらどんなにか楽だったか知れない。軽く堕落踏み込む覚悟もできていたはずだ、なのに、僕はダメだった。ぜんぜんダメだった。一体何の為だった?

 胸の内、頭を抱え。イエス、ノー、オー、ノー。いや、不能なんだよ。

 僕ははっきりいって怖かったんだと思う。肉欲が、彼女が。そして一切の現実が。

2008-02-14

http://anond.hatelabo.jp/20080214161457

増田です。

増田は良い物件だと思うよ。

1人用物件と2人用物件だと確かに前提は違っちゃうけど、

2人用としても1軒家で15万でその立地はありえない!

素直に尊敬します。いいなー。引っ越すときは教えてほしいくらい。

どうやって探したの? 何ヶ月間くらい、何月くらいに探した?

コツあれば教えてほしい。

水回りの話なんだけど、

自分が住んだり、見たりしたのはほとんどが1人暮らし用の部屋だったから

大半が1口コンロに給湯器でお風呂湧かす、みたいなのが物件として平均だったんだよね。

(10年間でだいたい80軒くらいは下見してると思う)

ワンルーム嫌いだから1Kか1DKで指定して見てたので、

学生向けみたいな新築1Rはなかった。

その中で、重視したのが広さと交通の便だから、

水回りはあまり良くない古い物件に決まることが多かったって感じかな。

2007-11-23

電球が切れた

夜中、突然に風呂電球が切れたので、コンビニまで買いにいった。行ってから気づいたのだけれど、ちゃんと品番を控えていない。

家に調べに帰るのはめんどうだなと思っていると、横で同じように並んでいる電球を目の前に思案している、濡れた髪を乾かしたばかりの匂いのする、けっこうかわいい女の子がいた。

なんとなく目があって、気まずいし、誰にたいしてなのかよくわからない恥ずかしい気持ちになるので、普段ならなにも言わずにコンビニの島を一周するんだけれど、

思わず話しかけた。

ワンルームのお風呂電球って、ごく普通の丸いヤツなんですけどどれですか」

自分の口から出て行く言葉を喉の奥から手を出して引っ込めることができたらいいのになとおもうような

なんでもない言葉が出てきたんだけれども、その女の子は、話しかけられたことに驚いた様子もなにもなく、

すごく自然に笑ってくれた

「私はお風呂に入っている途中に急にパチンと真っ暗になっちゃって。ホンマびっくりしました。全部手探りで!

ハミガキは床に落とすし、いつもやるシャンプーは一回で、いつもは二回シャンプーしてからトリートメントなんやけど

一回にしてトリートメントも一瞬で流して、すぐにあがってきたん」

すごい勢いでこうまくしたて、一気に言い終わってからまた笑って「ごめんなこんなに勢い込んで喋って」と言いながら

丸い電球を二つ棚から手に取り、一つをぼくの手の上に乗せてくれた。

そのまま無言でレジへと向かったので、犬ぞりリーダーに導かれるあんまり頭の良くない犬みたいに虚無の顔でついて行き、

彼女は会計を済ませた。

ああ、これでバイバイかな、なんでこんな感じで女の子に話しかけられたのかなとうれしいような寂しいような気持ちになっていると、

その女の子は僕を待っているのかそうでないのか、アイスクリーム冷蔵庫の上に乗っている、コンビニでやっているクリスマスケーキや、年末カウントダウンイベントチケット告知を見ていた。

僕は目の前でレジをしている前髪を垂らしたド金髪の男に、「この見かけを派手にしたけれどあっさりとしすぎな能面フェイスめ、その前髪の長さはお前の内向的な性格と必死の自己防御の表れなんだよぐずぐずんなハイドーハイドー!」と呪った結果か、かなりスムーズで一分以内にお金を払い終えた。今後、同じような境遇になったときのために(たぶんないだろうけど)携帯でできる電子決済についてちょっと興味が出てきながら、駆け足で相手に強烈なプレッシャーを感じさせないようにアイスクリーム冷蔵庫そばの彼女のところに行き、なんか気のきいたこと、今後につながるなにかしらなにかしらなにかしらなにかしら な に か し ら ないかなと手に脂汗グッチョリ状態で十秒ぐらい必死に回らない頭で考えた結果出てきたのが

アイスクリームケーキって、今年も製造年月日偽装することになるんかなアレアレ赤福とかでもあったでしょ赤福ケーキとかクリスマスに一気に作るわけには絶対にいかないから先に作っておいて冷凍しておいてね、それを解凍して生クリームだけ仕上げにして箱の中に入れるんだよこれは人からきいたとか最近のあれこれじゃなくって学生の時にケーキ屋さんでアルバイトをしていた友達がいて、クリスマスシーズンになると一日中冷蔵庫のなかで作業する一日バイトとかする募集がいっぱい出るし、クリスマスフェアとか見ると楽しいっていうよりもいっつもバイト大変だなとかその話をしていたヤツとはもう音信不通になったけれどどうしているかなって」

頭の中ではつまらない話をしているなだめだこれではこんなネガティブ時事ネタとか初対面の人に振ってはいけないし方向転換しなくてはいけないな。そもそもそんなに黒いことばっかり言う人間じゃないよ僕は。でもとっさにこんな事が出てくるなんてやっぱ意地が悪いのかそれならそれである程度は認めつつも、せっかくこうして普通に話をできる状態になったんだから状態っていうかコンビニで立ち話だけれどもこのままではいかん聞き上手にならなくては、といっても今更聞き上手にここでなれるわけはないから、せめてポジティブでふんわりした甘い話題甘い話題甘い話題。それも急に言って意表を突こうとして言ったそばから後悔したのだけれど

ケーキもいいけど、レッサーパンダってかわいいよね」

こんなコントでもなんか作文でもちょっとそんなことを言わないだろうっていう言葉を口にして、汗をかきながら苦しげな顔をしていただろう僕に彼女

ケーキもいいしレッサーパンダもいいけど、どうしてそんなに急いでるんですか?トイレ?」

2007-11-11

書かせて。

両親は私が物心つく前に事故で死んだ。叔父の家に厄介になっていたけど、高校卒業してすぐ、飛び出すように上京した。

引越し代も入学金も授業料も、それまで貯めてたバイト代で支払った。さすがに上京してからの生活費来年以降の授業料はどうにもならないから、夜間大学にしたし、大学に行くことを許可してくれる企業就職して寮に入った。

今から考えるともっと頑張れたんじゃないかと自分を責めるしかないけど、半年で会社を辞めてしまった。学費を払うあても住むあてもなく困ってるところで彼氏に会った。

彼氏は一度一人暮らししたいと思っていたんだと言った。一緒に住んだら家賃も安くすむよ同棲しようと私が言った。

彼氏大学卒業してからずっとバイトしていたけれど、貯金は全然なくて、来年の学費の足しにする予定だった私の貯金を切り崩して敷金礼金にあてた。交通の便は悪いけど、2DKのわたしたちのお城。

私はパン屋でバイトを始めた。彼氏引越しに伴って地元バイトをやめ、毎日情報誌を眺めていた。

ある日彼氏料理人になりたいと私に言った。彼の卒業した大学美術系だったので、どうやって調理師になるのか尋ねた。飲食店バイトしながらそのお店のお金学校に通わせてくれる制度があるみたいと笑顔で答えた。私は能天気にそっかと微笑んだ。しばらく家にお金を入れられないかもしれないけど、手に職がついたらちゃんとお前を大学に行かせてあげられるからさ。俺、いままで夢がなかったけど、頑張るお前を見てたら俺も頑張らないとって思えたんだよ! ありがとう

生活費でかつかつだったので去年は休学した。私は今まで以上にバイトを入れた。彼氏ファミレスバイトを始めた。皿洗いばかりやらされているらしい彼氏は手を真っ赤にして夜遅く帰ってくる。大変だったね、お疲れ様と言いながら、ハンドクリームをぬってあげた。食費にさく余裕がないこともあるけど、毎食彼氏が好きなカルボナーラを作ってあげた。

このアパートは今度のバイト先から遠いから引越したいと彼氏が突然言った。私は困った。彼の希望する場所は大学からかなり遠くなるし、私は今のバイトを辞めないといけない。せっかく住み慣れてきたと思ったのにという気持ちも強かったが、何より、敷金礼金をまた払わなくちゃいけないのかと思うと目の前が真っ暗になった。

全部俺が出すよと彼氏が言った。それから、今度は洗濯機電子レンジも買おう。冬の冷たい雨のなか洗濯に行かなくても済むようになるよ。今よりずっといい暮らしができる。

あっというまに引越しの日。新居は電子キーでオートロック新築ぴかぴかのワンルームマンションだった。私は口をぽかんと開けた。こんなハイテクなお家に住めるなんて。彼氏は誇らしそうに私を見た。洗濯機は全自動だった。洗い上げると自分の好みで買ってきたいい匂いの柔軟剤がふんわりと香った。しあわせだなあと思った。

新しいバイトがなかなか見つからなくてあせっていると、今度は俺が稼ぐ番だからと彼氏が言った。でも大学に復学するためには、自分がバイトをしないと始まらない。死に物狂いでバイトを探した。キャバクラ面接に行ったら、面接官がものすごく申し訳なさそうにその場で断ってきて、水商売お金を稼ぐのは私は駄目なんだなとがっくりした。

また冬が巡ってきた。

私は工場の深夜シフトで働いているので、彼氏と会えない生活が当たり前になっている。久しぶりの休日で、彼氏と一緒に夕御飯が食べられると思ってうきうきしながら辛いキムチ鍋を作ってた。

狭い台所のすぐ隣が玄関で、足音がしたから彼氏が帰ってきたんだとわかった。エプロンで手をふいて迎えにいった。ドアが開いて彼氏と目があった。目を見たとたん、私の笑顔が凍りついた、と思う。彼氏の目が真っ黒く塗りつぶされていた。鍋のくつくつ言う音が大きく聞こえた。

「後輩に告白された。俺も好きだったから、OKした。悪いけど、合鍵、返してくれる?」

私の荷物は笑っちゃうくらい少なかった。旅行用の小さなボストンバック一個に収まる大きさ。叔父の家から飛び出たときから全然増えてなかった。前回引越したときも、彼氏オーディオセットや本棚ベットを運ぶのに苦労したんだった。もしかしたら意識してなかっただけで、いつでもどこにでも行けるように物を増やそうとしなかったのかもしれない。

荷物を詰める私の後ろで彼氏が泣きじゃくってた。そんなつもりはなかったんだ。彼女はすごく苦労している子で守ってあげなきゃって思ったんだ。今一緒に住んでる奴がいるって言ったら、合鍵返してもらえって言われて、俺は嫌だったけど、彼女がそう言うから、ごめん。全然日本語に聞こえなかった。いままで蓋をしていたけど、醜い気持ちで溢れかえりそうになった。あたしはなんだったのか。あたしはなんだったのか。

玄関先でじゃあと私が言ったら、目をはらした彼氏が住むところがないなら俺の実家に住めるように手配するからと言い出した。めまいがした。本気で殴り倒したいと思った。全自動洗濯機の白いボディがちらっと見えた。ばいばい、わたしのかわいい洗濯機。ばいばい、わたしの美味しいキムチ鍋。

ばいばい、今まで出会ったわたしのしあわせたち。

2007-08-18

Gとの交流

まだ学生の頃。狭いワンルームに住んでいた時、1匹のゴキブリがいた。

そいつは毎晩同じ時間、同じ場所に現れる。

触角が片方ちぎれていたので、他のゴキとははっきり識別できた。

そのせいかなんとなく親しみを感じてしまって、殺す事ができなかった。

一人暮らしで友達もいなかったので、部屋に自分以外の生き物がいるという安心感があったから…かもしれない。

毎晩そいつが現れるのを眺めるだけ、という一方的な交流は2〜3ヶ月続いた。

しかしいつの間にかそいつはいなくなってしまった。

そして、そのワンルームからも引っ越してしまった。

あれから5年以上経つ。

ワンルームから引っ越して次に住んだ部屋には4年もいたのだが、そこではゴキブリを全く見かけなかった。

その次に越した部屋…今の部屋も、もう1年半住んでいるがゴキブリだけは見かけない。

特に部屋を綺麗にしているわけでもないし(むしろ汚い)、ハエや蚊はどんどん入ってくるのに。

もしかしたら、あのゴキブリの恩返しか何か?

この先ゴキブリに悩まないようにでもしてくれたのか?

とりあえずはそういう事にしておこう。良い話みたいになるからw

2007-08-16

vsゴキブリワンルーム

引っ越して3年目のワンルーム。けっこう綺麗に使っていたのでゴキブリは久しく目にしなかったのだけど、階上に住む友人の部屋で出たという話を聞き、3日前、キッチン中心にホウ酸ダンゴを設置しておいた。

そしたらさっき用事から帰宅して薄暗い台所を通り過ぎると、コンロのあたりで濡羽色のうごめく物体に気付く。数年と見ていなかったゴキブリだ。ホウ酸を食って脱水症状が起きたんだろう、観念して台所の上に出てきたようだ。

すぐさまキンチョールを噴射する。居間へ来ようとしたので台所で決着させるべく噴射の力で追い込むと、ひっくり返った。

それから15分くらいバタバタしている。まだバタバタしている。反り返ってみたり横にねじってみたりと、柔道寝技をかけられた選手が何とか抜けようと必死になっている様子と重なった。

とどめのキンチョールをかけてやったので、あとでチリトリ持ってきて外へ捨てて来よう。それにしてもすごい生命力だ。

不思議と仰向けの姿は可愛いい。いつだって虫の死ぬ瞬間は哀愁ただよってやがる。

2007-07-21

anond:20070721130553

それがあるんだ。

ワンルームマンション連続暴行。犯人は「カギのかかっていない部屋を狙った」ってのが。

2007-05-25

[]つづき

あの日はやけに暑い日だった。学生時代の夏休みの最後の一日となるこの日も、他の日と同じく怠惰に過ごしていた。

あの頃はブロードバンドなんていう言葉すら存在していなかった。ネットをやるにはダイヤルアップモデムを介してプロバイダ電話してネットをするという、そんな時代だった。テレホタイムなんていう言葉もあって、午後11時、の二分前からネット接続するなんていうことをよくやったものだった。

だからこの日も前日の午後11時前後からネットにつなぎ、温くなった麦茶を片手にテキストサイトやら掲示板やらを巡回していたはずだ。貧乏学生という悲しい身分もあって、ワンルームトイレ共同エアコンなしという強烈な環境で、熱帯夜のさなかに汗をだらだら流しながらネットをするだなんて今考えると結構悲惨だけれど、当時はそれが唯一の楽しみだった。

ネット上だけで少し交流のある個人のページの掲示板奇妙な書き込みを見つけたのは、草木も眠る丑三つ時、だったと思う。

http://anond.hatelabo.jp/20070525155937

2007-04-28

東京実家がある場合

http://d.hatena.ne.jp/b_say_so/20070426/1177568517

http://www.heiwaboke.com/2007/04/post_877.html

この類いの話を聞くと、大学の頃を思い出す。

私は新宿生まれ新宿育ちで、大学院を出るまで実家暮らしていた。都内の大学に入ると、地方から東京に出て一人暮らしを始める人と多く出会う。彼らは何を期待しているのか、「上京」とかいう謎のイベントを経て、私の地元に居を構え出す。三文ドラマみたいなセンチメンタリズムで「今日から俺 東京の人になる♪」とか歌い始める。誰が頼んだわけでもないのに、小さなワンルームで極貧生活を送る。そして、決まって「実家住まいは羨ましいよな〜」とか皮肉を言い出し、極貧同士で奇妙な連結をしたりしだす。「だったら今すぐに実家に帰れ」と言うのを堪えた私を褒めてほしい。そして挙げ句に「東京はゴミゴミしてる」とか「空気が汚い、水が不味い」だとか、私の故郷悪態をつく。「その元凶はお前らだろ」と言うのを(ry

私から言わせてもらえば、一人暮らしの方がよっぽど贅沢だし、羨ましかった。親から経済的に自立して一人暮らしをしているなら、頭は上がらないが、所詮仕送りをもらってる上に家賃まで親に払わせている始末。それを棚に上げて「これだから実家住まいは」とか笑わせる。

ちなみに、大学時代に一番尊敬できたのは、埼玉の山の方に下宿しながら、都内の大学に通っていたタフなヤツである。

2007-02-01

Re: http://anond.hatelabo.jp/20070201013002

そういう人が増えて人気が落ちたら大学当局もなんとかしようと思うだろうさ。

僕は民間の自由な商売を邪魔するのは反対なんで、

ワンルームアパート希望者に大学法人として配慮する必要は無いと思ってるけど、

これも一意見でしかないからな。

2007-01-20

http://anond.hatelabo.jp/20070118224317 の「親密フラグ」について。

まず書いておくが別に私はパーソナルスペースについて無知なわけでも否定したいわけでもない。

むやみに男性になつく女はアホかと思うし、それで襲われたとしても(力にものいわせた男性が悪いのは当然としても)「あなたにも原因はあるよね」くらいは思うだろう。

だからと言ってヘテロセクシャルの場合の異性間友情、あるいはホモセクシャルな場合の同性間友情を否定したいわけでもない。

私はそれでも、親密フラグ理論 には納得がいかない。

なぜなら、なぜ「親密フラグ」が立つとされるパーソナルスペース内に存在していても「家族」とはセックスしないで、「男女」なら友情が成立せずセックスすることにつながるのかという記述がないからだ。

恋愛文化のドグマについて語るのであれば、そもそもそれ以前のタブーについても考えるべきではないだろうか。

私は別に人類学社会学を専門に習ったわけでもないので、ここから先の記述がおかしい場合は申し訳ないがどなたか訂正していただけると助かります。

さて。

人間同士のセックスについての基本的なタブーといえば、やはりインセスト近親相姦タブーを第一にあげるべきだと思う。。

http://anond.hatelabo.jp/20070118224317では「家族はセックスしない」というのを当たり前の前提としていえるが、セックスだけを考えたら血のつながりなどたいした問題じゃない。

例えば私(生物学的には女性)には弟がいる。

私にも彼氏がいるし、弟には嫁と息子がいる。お互い仲がよく、いままでセックスをしようなどという話題は一度ものぼったことなどない。

でも私と弟はある特定の状況下に入ればおそらく9割以上の確率でセックスするだろう。

それは例えばこうだ。

私や弟の家族、友達がそろってどこかに閉じ込められている。

そして私と弟だけが別室に呼ばれて、見知らぬ人間がむごたらしく殺されるのを見る。

この状況で「あなたたちがここでセックスすれば家族は助けてあげますよ?」と言われたら?

このような類の限界状況を考えれば、行為としてのセックスに、不可能はあまりない。

目の前で二人、三人、と殺されていけば自らを狂信的異性愛原理主義者だと言っている人でも、同性とでも家族とでもセックスする方を選ぶことが多いだろう。

肉体的にセクシャルな関係、など所詮その程度のものなのだ。

そもそもインセスト近親相姦タブーや制度としてのエクソガミー(外婚)が存在するのは、我々人間が血のつながりなど関係なく、手近な人間とセックスできてしまうからだ。

原始社会においては乱婚が当然だったし、社会によっては未だにエクソガミーを禁止していないところもあり、そこでは近親婚が当たり前のように行われている。

それでも現代日本に住む私達は家族とは普通セックスなどしない。

ヘテロセクシャルな例で言うならば、娘にべったりされた父親は「親密フラグ立ちまくりたまったものじゃない」はずなのに、裸で一緒に風呂に入ってもセックスしないのだ。

なぜなら私達は、そのようなタブーや制度を『お互いが暗黙のうちに受け入れているものと信頼して』家族という集団を形成しているからだ。

ちなみに私は一度だけ、男性の友人の布団が敷かれたままのワンルームマンションに、終電がなくなるのを承知の上で、ひざ上のスカートで入っていったことがある。

なぜなら「翌日提出の卒論PC以外で受け付けないっていうんや!」と泣きつかれたからだ。

終電がなくなるまでにパソコンを運び込むことに気をとられていて、洋服のことなんてまるで考えが及ばなかった。

お互い顔をつきあわせて「こんな文字、手書きじゃ教授だって読めないよ!」と叫んだり、私のすぐ横でパソコンの画面を覗き込んでは「打ち間違えとるで」「うっさい!!」とか大騒ぎを繰り返し、半分に折り重ねた布団を横にしたまま、作業は3時間ほどで終わった。

つまり、親密フラグを3時間くらいかけてたてまくったあげく、朝までセックスをするだけの余裕は十分にあった。

それでも私達は「じゃあちょっとついでに乗っとくか」みたいなセックスはしなかったし、今でも普通の友人だ。

そして、その状況と同じことになっても、世の中のほとんどの男女はセックスしないと私は信じたい。

「親密フラグ」のコントロールは確かに大事だと思う。

でも、「親密フラグ」のコントロールができる人間にのみ、性的欲望の対象となりうる関係性での友情を得ることができると考えるのは、信頼を前提とした社会に生息する人間としては、原始的な欲望を優先させるものの見方にわりと近いような気がしてならない。

肉体の距離を第一の判断基準として、精神を劣後させるような記述は、相手が一人の人間である以前に物体だという考え方をとる人間が増えていることのような気がして、あまりにも哀しい。

私達人間は、ある概念を共有しているという信頼関係の上で社会を築いているのに。

2007-01-18

『部屋に入るな→じゃああなたとは友達にならない』に納得できない

もう一生女なんて信じない関連。

pal-9999の日記 - セックスする友達というのなら文句は言わんがはてブコメントとか読んでて納得いかなかったので書いてみた。

寝室というパーソナルスペースと「親密フラグ

心理学に「パーソナルスペース」と言う概念がある。

http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/personal.htm

腕を伸ばして届く範囲ぐらいが「親密なスペース」と呼ばれ、フツウは恋人家族のような「触られても気にならないほど親密な関係」以外の人に入られると不愉快に感じる。

反対に、そのスペースに入るのを許すことは「あなたと私は親密な関係だ」と暗に認めていることにならないだろうか。相手に自分の「親密なスペース」に入ることを許すこと。これを仮に「親密フラグ」と呼ぶことにする。

一人暮らしの部屋なんて、大抵はワンルームでベッドがある。私はベッドがある部屋だって十分に「親密なスペース」だと感じる。学生時代、同性の友人の狭い部屋に招き入れられた時でさえ、私の気持ちは妙に高揚したものだ。友人の「親密フラグ」を感じ、自分が彼女にとって「その他大勢の友達とは違う特別な存在」と感じたからだ。

「親密なスペース」に入ること=「友情」という勘違い

思春期に、同性をやたらに「親密なスペース」に入れたがる時期っていうのがある。

中学生ぐらいになると、遊ぶといえば誰かの部屋で、何するでもなくマンガ読んだりファミコンしたり延々とコイバナやエロ話をしていたものだ。このように青春の一ページでは、同性に「親密フラグ」を立てまくっては、大喧嘩したりいじめがあったりと何かしらの失敗がある。

しかしハイティーンになるにしたがって、その「親密なスペース」の開放を、グループではなく1対1の関係(多くは男女交際)に求めることが多くなってくる。(男の子の場合、体育会系クラブ会社など、いわゆる「ホモソーシャル」な組織への従属ってのが挟まることもある。)この「親密なスペース」を限られた人にのみ許す、という変化は、1対1の親密な関係を築けるようになる、というごく当たり前な精神的成長の一側面と捕らえることができる。

しかし中には、この精神的成長の途中でなぜか、「親密なスペース」をお互いに許しあってこそ友達だ、という考えに到る人たちがいる。

「友達なんだからいいだろう」と、非常識に部屋に居座ったり、ベタベタ触ってきたり、お金などごく個人的な部分でルーズに寄りかかってきたりする人たちを見ると、一人一人の「親密なスペース」には結構差があるんだなあ、と感じると共に、1対1の親密な人間関係を築く方法を身に付けきれていない「未熟さ」を思わずにはいられない。

人間は「惹かれる」という本能的感情を、「恋愛」という文化で解釈している

惹かれる心というのは本能的な感情だと思う。自分の命を守る上で欠かせないと感じる人に出会ったとき、どうしようもなく人に惹かれるのだと思う。これは性別に関係のない感情なのではないか。相手を必要だと思い、もっと近づいて親密になりたいという願い。これは、最終的には肉体的接近を伴うものであろう。異性であれば子を成したいと願うし、同性であれば群れを成したいと願う。同性同士での性的行為に及ぶことも、人間だけではなく様々な種でしばしば見られることである。

人間であれば、そこに文化的な装飾が絡んでくる。

異性愛が推奨される文化の中では、同性同士で一定以上の肉体的接近に到ることは少ないだろうし、一夫一妻の文化の中では、一度に複数の異性に惹かれることを文化的にタブーとする。

つまり、「惹かれる」という非常に本能的な感情を、わたしたちは「恋愛」という文化で解釈することにより、日々の人間関係を営んでいるのではないかと思うのだ。

この「恋愛文化」の解釈モデルドグマとして信望するあまり、本能的な振る舞いを許容できなくなっている人が多いと感じる。「好きになったらあなただけ。他の人にときめくなんてありえない」というドグマにとらわれすぎて、たまたまときめいちゃった時に「このときめきは本物」とかいって恋人家族を捨ててどこかへ飛んでいってしまうようで、解釈に振り回されるというのはとても不自由そうなものだと感じる。

「親密なスペース」を許すこと、すなわち「親密フラグ」を立てることは、これから親密な人間関係を築こうとする二人にとって、非常に重要コミュニケーションになる。お互いの「親密なスペース」に侵入しあうことなしには、性的関係に到ることはできない。翻って「親密フラグ」を立てるということは、やはり性的関係に到ることへの実質的な許可と捕らえられてしまっても、やはり仕方がないのではないだろうか。

つまり、惹かれたら、近づきたくなるし、やりたくなるだろ、動物なんだから、と言うことである。それを人間はなんとか文化的解釈でコントロールしようとして、うまくいったり失敗したりしているんじゃないか、ということだ。

「親密フラグ」を立てておいてセクシャルな関係を拒む女子

腕に絡み付いてきたり、平気で男の子ワンルームに上がり込んだりする女の子は確かに存在する。彼女達の多くは、おそらく「親密なスペース」に入り込まれても拒まれない、つまり相手の「親密フラグ」をもぎ取ることが気持ち良いのではないかと思われる。彼女達はその関係に、必ずしもセクシャルな関係を求めない。中学生時代に同性の友人と共有したような、「親密で楽しいだけ」の関係を求めているように見える。そういう意味で、彼女達の「親密な関係」は未熟なものであると言えよう。しかしそれは逆に言うと、「親密な関係」に「セクシャルな関係」を求められることを苦痛に感じている、とも解釈できる。

しかし、これをやられるとたまらないのは男の方である。彼女達はどちらかと言うと「親密なスペース」に保守的な男の子を狙うことが多い(決して意図的ではない)。突然かわいくてやわらかくていいによいの女の子が「親密なスペース」に入り込んできて、とても楽しそうにする。普段立てたこともない自分の「親密フラグ」を、立たされっぱなしにされるわけだ。彼らは振り回されながら、遠まわしに打てども響かない彼女達の「親密フラグ」を信じ、耐え切れなくなってセクシャルな関係を求め、玉砕する。

「あなたがそんなことを考えていたなんて信じられない」「ずっと友達でいたかったのに」「もう二度とあのころには戻れないんだね」といったメガトンパンチに、再起不能になってしまう人もいる。中には、男は完全に同意のつもりであったのになぜかレイプで告訴されてしまう、と言うケースもあるだろう。(だからってレイプ正当化されるわけではないが)

こんなウサギさんばかりでは、純真な狸たちはますます恋愛に怯え、親密な関係を築けなくなる。

友情に「親密フラグ」はいらない

男女の友情は、成立するのだろうか。私は「成立する」と断言したい。

そのためには、まず、本能的に「惹かれる」と言う感情を認めることだ。世に「親友」と呼ばれる人たちの間には、どのような形であれ「惹かれあう」感情が存在するだろう。男女であれば、惹かれあった末の「親密な関係」は性的関係を惹起する。これは動物として仕方のないことだ。

重要なことは、惹かれるのは本能だが、それを恋愛という文化に当てはめるかどうかは、自分で決められるということだ。
自分が性的関係を望まないのなら、毅然と「親密なスペース」を守ることだ。部屋に入れない。部屋に上がらない。触らない。深酒しても自分で帰る。

友情に「親密フラグ」はいらない。「親密フラグ」がなくたって、十分に友情を育むことはできる。人生を語り合って、楽しい思い出を共有して、つまづいた時には手を差し伸べあうことができる。

「親密フラグ」さえたてなければ、男女の友情は成立する。すなわち、1対1の人間関係において「親密フラグ」をコントロールできる人間にのみ、男女の友情は許されるのだ。

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