特定されないことを祈る。
ちょうど坂を挟んで、坂の下は団地や昔からの住居、坂の上は企業の拠点、その家族をターゲットにした数件の新築のマンション、そんな歪な片田舎。
当時小学生の自分や友達はみな、そんなことも露知らず、仲良く学校生活を過ごした。
友達の1人は坂の上のマンションのひとつに住んでいた。3兄弟の真ん中だった。
父親は顔を見た記憶がないが、有名メーカー勤務。海外に単身赴任していたくらいだから、多分仕事のできる人だったのだと思う。
母親は幼稚園時代から顔をよく見ていて覚えている。幼稚園バスに遅刻しますと運転手に伝えるのをよく見ていた。
3兄弟の長男、つまり友達の兄は高校受験で有名大学の付属校に進学し、そのまま大学に進学したらしい。
3兄弟の次男、つまり友達は中学の野球部に仲間等とつるみ。そのままヤンキーになった
高校も適当な所に行ったと記憶している。その後も全く会ってないが、結婚し立派なパパになったようなのはSNSで何となく把握している。
そして3男、少し歳が離れていて小さい時の記憶で止まっていたが、去年久しぶりに母から聞いたら、次男より遥かにグレて大変なことになってたらしい。
母からは「あのお母さん無責任過ぎて大嫌いだった。全部あのお母さんのせい」みたいな話を、10数年越しに突然聞かされた。
今思うと、SNSで見るような遠い人間のモデルケースが、あのお母さんだったのかもしれない。
安定を選んで結婚、子宝にも恵まれたが夫は仕事が忙しく家事が回らない。そこにトドメを刺すような単身赴任で3人をワンオペ。
長男はその時点で自立しており、無事巣立った。
次男も幼少期は両親の愛を受けており、その後も学校に友達という居場所があったから、親の思い通りでなくとも自立していった。
三男はずっと孤独なままだった。