忙しくてなかなか見られなかった『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』をレイトショーで見て「泉ちゃんの存在が良すぎるわ…」と思いつつ映画館から車に乗って帰る途中、立ち寄ったコンビニで急に見知らぬ人から話しかけられた。
「○○に行きたいのだが、道を教えてほしい」と言われ、「スマホ持ってないのか?」とか「お金貸してほしい詐欺か?」とか警戒感を覚えながらも一応の親切心でスマホを片手に○○への道筋を教えてあげて、「車ですか?」と聞いたら「徒歩です」とのこと。
徒歩???となった。
○○は徒歩で行くには明らかに遠すぎるし、そもそもこの辺りは車が無いと不便なくらいに十分な田舎だ。
話を聞いてみると、仕事の関係でこちらまで遠征してきたのだが、泊まった漫喫で置き引きに遭ってしまい、財布も身分証明書もスマホも何も持っていないのだと。
警察に届け出は出したものの、地元に帰ろうにもお金も連絡手段もなく、あいにく身寄りもないそうで、どうにかお金が借りられないか警察に相談したが金銭のやり取りは出来ないらしく(過去にあった某事件で警察からお金を借りて全国各地を転々としたケースがあったらしい)、だったら鉄道会社に働きかけてどうにかしてほしいと要望を伝えても「民事不介入」と返されて、なしのつぶて。
駅員に直接「地元に戻ったら必ず払うから」と言っても身分証明書が無いからと取り合ってもらえなかったとのこと。
さらにはタクシーの運転手にも同じことを伝えてみたが、やはりこちらも取り合ってもらえず、その中で最も親身になって聞いてくれた運転手さんが「一緒に交番行ったるわ」と言ってくれて再び警察に行って直談判するも回答は変わらず。
そこで運転手さんから「○○に行けばヒッチハイクで拾ってもらえるかもしれない」とアドバイスされ、徒歩で○○を目指すが、土地勘もスマホもなく(遠くからやって来て置き引きに遭ってしまったのだからそれはそうだろう)、通りすがりの人やコンビニの店員に道を聞いても適当な返事をされ、結局今こうして○○から30kmも離れた場所にある田舎のコンビニで偶然私に道を聞いているというわけだった。
見知らぬ人の話をここまで聞いて、「本当か?」の気持ちがないわけではなかったし、この世知辛い世の中ではまぁあり得なくもない話だと思ったし、仮に本当だとしたら不幸な目に遭って困ってるのに誰も助けてくれないなんて、こんな悲しいことはないよなと思った。
「○○に行く」という目的のためにこんな面倒くさい言い訳を考えるのは割に合わない。
ただ正直なところ、この話が本当かどうかを確かめる術なんてないし、こんな滅多にない状況で頭もそんなに回らないし、でもこの人困ってるし…で思案した結果、
「とりあえず○○に行ってヒッチハイクする」などという不確実な手段ではなく、確実にこの人が家に帰れるようにするのがいいと思ったので、その場で財布に入ってた2万円を渡した。
「こんな非常事態で空腹感を感じられなくなった」と言っていたけど、食べないのはダメなのでとりあえずコンビニでパンとジュース買って渡した。
あとこの辺には宿もないので、とりあえずターミナル駅に行けるように最寄りの駅まで車で送った。(連絡先も交換した)
家に帰って来て家族にそのことを話したら「え~、騙されたんじゃないの~?」みたいなリアクションだったけど、自分としては騙されたとしても構わないし、お金はなくなってもいいつもりで渡した。
あんなに困ってるのに誰も助けてくれないなんていうのはおかしいと思うし、ちゃんとどこかに一泊して何か食べてお腹満たして電車で家に帰れてたらいいと思うし、
自分にとってもその人にとっても誰にとっても、不幸はただの不幸で一過性のものでしかなく、そのうち必ずなんかいいことがある、っていうことになってたらいいと思う。
その人にとって増田に会えたたのは相当な幸福だね
「とりあえず○○に行ってヒッチハイクする」んじゃなくて、まずその「○○まで、ヒッチハイクする」よね、ふつう。 あと、警察の被害届の控え(?)を見せたり、自分のSNSのアカウント...
ヒッチハイク勢としてはどういう荷物を持っているかが成否を決めるので手ぶらは厳しい 一眼レフでもぶら下げてると拾ってもらえやすい お金返してもらえた?