上司が言う。うるせえな。結構面倒くさいんだよ、これをやるのは。知らないのに言うんじゃねえよ。
そう思ってる自分と、簡単な実装もできなくて落ち込む自分がいる。
簡単な実装もできなくてごめんなさい。みんなに迷惑かけてごめんなさい。自己嫌悪の気持ちが日に日に強くなってきた。
ライブラリの仕組み上、違う実装を終わらせないと目的の実装ができない。会社以外で抱えているタスクも結構ある。
そうこうしているうちに締め切りがくる。責められるのが嫌で、直前の日に徹夜で別ブランチにごまかした実装をのせて、ミーティングに向かう。
どんどん技術的な負債が溜まっていき、毎週の徹夜のせいで心も体もボロボロになってしまった。
進捗の埋め合わせをするため、土日も空き時間は作業をしている。
きっと、もっと丁寧にスケジュールを立てて、タスクを整理すれば、すぐに終わる実装なんだろう。
でも、上司の無茶振りが増え、最初はできていたはずのタスクの整理は、途中からできなくなってしまった。
「進捗遅いよね。結果が悪いなあ。もっと性能伸ばせないの?週末までにやってね。」なんて、気軽に言ってくるもんだから、スケジュールにないタスクが増えてしまった。
「このプロジェクトで、この実装はいらないのでは?なんでこの結果が見たいんですか?最初と言ってることが違いますよね。」って、上司に言えたら楽なんだけど。高圧的に来られると萎縮してしまう。「はあ、了解です。やっておきます。」って答えてしまう。徹夜明けで疲れているから。
最初の数ヶ月は、もっと簡単なタスクばかりだったし、ライブラリも小規模であったから、見栄えの良いアルゴリズムを短期で実装できた。結果を見てご機嫌な上司は僕を褒めて、僕もご機嫌だった。
プロジェクトが変わってから、もっと大規模な開発にアルゴリズムを実装する必要がでて、性能がすぐに見れない上司は強い言葉を使うようになった。
「この実装、クレイジーだよね。悪い意味でね」そう言われて落ち込んだり、「お前は何もわかってないな。この実装、全く意味ないよ」なんて言われて、僕は今週何やってたんだろうって、思うことが何度かあった。
落ち込むと作業効率が下がって、また強い言葉が増えて、また下がって、の繰り返し。このままここにいても、負のスパイラルを抜け出す自信がない。
結局、会社を辞めることにした。
この話をすれば、「世の中にはもっと大変なエンジニアがいるんだ、甘えるな」とか、「上司だって納期があるんだよ。仕方ないだろう」とか、色んな意見が出ると思うし、全くそのとおりだと思う。
上司の言葉が強いのも、僕の勘違いかもしれない。僕はメンタルが弱くて、ちょっと弱っただけで作業効率がとても落ちる、すごい面倒な生き物なのだろう。
しかも僕は、上司との雑談では上辺だけの話しかせず、勝手に悩んで、勝手にメンタルに不調をきたしてしまったのだから、明らかに僕にも非がある。僕も過去に強い言葉を使ったことが何度もあるから、僕は文句を言える立場でもない。
でもやっぱり、上司の方々は優しい言い方を心がけてほしい。強い言葉を使うと弱ってしまう生き物が、きっと市場にはたくさんいるだろうし、コロナで交流が減った結果、もっと増えるだろう。
「お前は何もわかってないな」とか、「クレイジーだね」なんて、言わなくてもいいことだ。
上司との相談は積極的に推奨されているけど、強い言葉を使う人に相談できる内容があるわけがない。結果的に、僕らの面倒くささはギリギリまで隠されて、急に辞めてしまう。