当方弱者男性。先日、野暮用で柄にもなく若者の街である渋谷を訪れた。
仕事は想定より早く終わったので、そこはかとない居心地の悪さから一刻も早く退避するために、さっさと駅に急ぐ。
安物の中華製bluetoothイヤホンを耳にぶっ刺して、雑踏をシャットアウトする為のエクストリーム・メタルを大音量で流す。
タイミング良く到着した電車にサッと乗り込む。目の前にあった片手で数え切れる程度の数の空席のうちの一つを選んで座る。
仕事の疲れもあり、乗り込んだ直後には気付かなかったのだが、数分も経たないうちにある違和感を覚えた。
「あれ?この車両、女性しか居なくない!?」「やべっ!女性専用車両か・・・?」内心、めちゃくちゃ焦った。
やかましいメタルが殆ど聞こえなくなるぐらいまで、イヤホンの音量を一気に下げて、落ち着く為に軽く深呼吸をする。
顔をむんずと上げて、眼球をグリグリ左右に動かして、車窓や壁にその手のステッカーが貼ってないか必死で探すが、まったく見当たらない。
両隣の女性も、向かいの女性も、自分の存在を別段気に留める様子もないが、念の為に「〇〇線 女性専用車両」と手元のスマホでググる。
「〇〇線の女性専用車両は、平日の7時〜9時半に運行中です。」現在、休日の夕方。うーわ良かった、やっぱ単なる偶然か・・・
「おい、ビビらせんなよ・・・」と、マスクの中でため息を吐きながら、周りをよく注意しながら見回すと、斜め向かいに韓国系の黒髪マッシュ?男子
(最初に一瞥した時点ではショートの女性に見えた)が座っており、更にその向こうの出入り口付近には茶髪のイケてる感じのおっさんがこちらに半分背を向けて立っていた。
要は、焦った俺が自分以外の男の乗客を見落としていただけだったのだが、それを差し引いても、自分含めた男3人以外の乗客は老いも若きも全て女性だった。
こんなことあるんやな。東京暮らしはそこそこ長いが、こんな経験は初めてだった。路線や時間帯によってはあるあるだったりするんだろうか。
とりあえず一安心すると同時に「東京にはこんなにも多くの女性が居るのに、誰一人として俺の話し相手すらしてくれんなぁ・・・」
という、我ながらメチャクチャ気持ち悪いグロテスクな思考が、仕事終わりで疲れた俺の頭の中にモクモクと充満し始めた。こらマズい。
「ま、仕事終わりの電車でこんなキモい事ウジウジ考えてる奴、そらモテるわけないわな。」と、他人事のように無理矢理自分自身を突き放した。
気持ちはわかる。 ただそこで、グロテスクさを自覚して自省できるかが人間の分かれ目だよね。 その点偉いと思う。 それができる人なら、恋人はともかく友達になってくれる人はた...