報ステCMが燃えてる。色々やばい要素はあるけど、個人的な感想としては、基本的には男性よりも女性の方が関心も造詣も深い「産休」「化粧水」について、男性がよく勉強しないまま、「これはこういうもの!」という勢いだけで触ったのがダメだった。その考えなしさに最も蔑視を感じた。
まず、産休明けの先輩が赤ちゃんを連れてやってきて、それがすっごく可愛くて!というシークエンス。産休は今のところ出産する人にしか与えられない休暇なので、この先輩は女性。産休は産前産後の八週間なので、先輩は出産後約二ヶ月で職場に赤ちゃんを連れて戻ってきた。「産休明け」と表現している以上、おそらく職場復帰だろう(産休後育休に入った場合は「育休中」と表現するはず)。しかも、「赤ちゃん、すっごく可愛くて!」と産休明けの先輩と一緒に働く彼女が言う以上、赤ちゃんは執務室内またはその近所にいる可能性がある。主人公が「リモートに慣れる」くらいにリモートワークの浸透した会社で、産後八週間でわざわざ子連れ出勤して仕事をしている。
社会人の女性にとっては、産休も育休も自分ごとだ。自分が取る取らないのみならず、誰かが産休育休を取った時のオペレーションに悩んだ経験や、先輩たちからのつぶさな情報提供などのため、詳しい人が多いと思う。少なくとも、産休と育休が違うことくらいは、知ってる人が多いと思う。そうした女性たちは、大して恵まれていない先輩の事例を嬉々として話すこのCMの主人公には、違和感を覚えるはずだ。「産休明けで女性が復職できるくらい進んだ会社ってことじゃないか?」みたいな意見もあったが、それをこの主人公よろしく「ジェンダー平等な社会の証拠!」と好評価する女性はいないだろう。
また、高い化粧水を買っちゃった、将来への投資だもんね♪とはしゃぐシークエンスについても、そもそも化粧水が何なのか分からずに小道具にしていないか?という印象がある。まだ若い主人公が、将来、綺麗な肌を保てるようにと高い化粧水を買ったとはしゃぐ。まあ化粧水のランクを上げると確かに肌に効くが、「化粧水だけ」高いものにするというのは、割とニッチな投資である。アンチエイジングを意識した若い女性が投資しようとなると、化粧水や乳液などを同じブランドで揃える(いわゆるライン使い)をするか、または美容液だけにお金をかける方が一般的ではないだろうか。おそらく、このCMの制作者はその辺の感覚が分からないため(もしくは、実際にアンチエイジングのためのスキンケアをする女性ではなく、男性が聞いてぱっと分かる様に)、名前が通った「化粧水」を使ったのではないか。
この二つだけでもすこぶる違和感がある。多分、女性に関連する言葉や現状に興味がない人が作ったのだろう。ならば、なぜ主人公を女性にしたのか?そのあたりのデリカシーのなさというか、たいして勉強もしないのにアイコン的に女性を使う根性が一番気に入らない。
「ジェンダー平等は達成されている」なんて言う報道機関がいるわけないんだから、字句通りに受け取るのはおかしい。「ジェンダー平等なんて、いつになったら実現するんだよ」の意...