医療関係者は、需要が高まったら、価格を上げてその利益によってマスクが高額であっても買えるというのが自由な市場が担保されている場合だが、実際は、保険制度などによって医療関係者は、保護されている代わりに、医療費を恣意的に引き上げることができないようになっている。そのため、国(われわれの総体)が、医療関係者の代わりに高額になったマスクを買い、差額を補填することで医療関係者を守る必要がある。
問題は仕事のために外出する人や、持病のために感染が致命的になる人のためのマスクが足りていないのだから、転売屋の転売行為を禁止すべきという声があることだ。
まず、感染症自体は自然災害であり、誰にも責任を問うことができない問題である。つまり、この問題に対しては、われわれ一人ひとりがそのリスクを負い、対応するべき問題である。
国は、医療関係者のように社会的に保護することで、一定のサービスを保証することに価値があると考えられるものに対しては公的支援の対象としているが、そうではない対象であるわれわれ個人に対しては、そのような保護はしていないし、されることも望んでいない。
それは、基本的に我々は経済活動の中で、価格を任意に決めることができる自由を持っていることも意味する。そのため、需要と供給のバランスで需要が大きい場合は、供給量が変えられなければ、価格を上げることになる。
しかし、現実的にはメーカーはそのような一時的な価格の上下を嫌う消費者の信頼を失うことをおそれ、価格を変えない。そこで登場するのが転売屋だ。転売屋は価格調整をする役割を果たしている。つまり、我々の経済活動 = 価値の交換においてお金を使うことでその需要と供給のバランスをとっているのである。
この転売屋を禁止するというのは、その交換できるものを、「お金」から、「時間や知識、技術」に置き換えているだけである。つまり、マスクを販売している実店舗やネットショップで購入できる時間や知識、技術があるものだけが買えるように差別しているのである。
「お金」というのは最もコモディ化された価値交換ツールであり、さまざまな方法で獲得、保持、交換できるインフラが整った最も平等に使えるツールの1つである。
お金は、時間や知識・技術のように獲得の方法や能力、機会に偏りがあり、貯蓄したり交換したりすることが難しいツールよりもずっと公平性があり、そのお金を使って解決する方法を提供する転売屋による調整は、他の方法より公平だと考えるのは自然である。
もちろん、お金を稼ぐ能力や環境によって差別しているという主張は甘んじて受け入れる。しかし、それよりマシな方法ってあるのかなあ?
経済側面もあるだろうけど、転売屋を流通業として見たら考えが変わらないかな。 例えばある地域のある物資を丸ごと買ってネットで売るとしよう。 こうすると転売屋は価格の決定権を...
とても重要な指摘ありがとうございます。 その場合、独占禁止法が適用されると思います。 マスクぐらいの日用品の流通を全て抑えるというのはかなりの資本が必要になるため、あま...