俺の通っている学校は、特に公民のカリキュラムに力を入れている、らしい。
その公民とやらは更に学部とか科目が分かれていて、選択制となっている。
だけど、そもそも「公民」というものを漠然としか在学生は理解していないので、この選択に大して意味はない。
俺はというと意識が低いので、入っているのは……えーと……うんちゃら部の、メディアかんちゃら文化のなんちゃら項……
ドキュメント番組や映画を観たり、漫画や小説を読んだりして、それのテキトーな感想を書けばいいだけ。
だが、半端に真面目な奴や、要領が悪い奴は苦戦するらしい。
そいつらに何度かコツを尋ねられたが、俺が言えることはいつも一つ。
正解のない事柄で正解するには、自分の正解を押し付けることだ。
もちろん「正解でしょ?」という顔をしながらな。
まあ、そんなわけでユルい選択科目なんだが、あくまで“基本的に楽”なんだ。
たまに面倒くさいことをやらされることがある。
しかも面倒くさいだけじゃないってのが、尚更ゲンナリするというか……。
ちょっと愚痴っぽくなるかもしれないが、今回はその時の話をしよう。
「みんな、おはよう!」
そんな室内の冷え込みを中和するかのように、担任は暑苦しい挨拶を響き渡らせた。
「で、今日の授業だが、別のことをやりたいと思う」
続けて飛び出た不穏当な言葉に、室内が冷え込むのを感じた。
その冷え込みのせいなのか、クラスメートのカジマが震えながら担任に尋ねた。
「せ、先生。“別のこと”ってのは何スか?」
まだ概要すらロクに分からない状態だったが、俺たちはこの時点で嫌な気配を感じ取っていた。
≪ 前 「経営ごっこ」のルールを詳細に説明する意義はないので、ざっくりと語ろう。 断っておくが、あくまで話の雰囲気を最低限は理解できるようにするための説明だ。 まあ人狼並...
≪ 前 俺個人がやったことは月並みだ。 「なあ、こっちで働いた場合は何ポイントくれるんだ?」 カジマ側とタイナイ側に、それぞれ報酬を尋ねた。 労働で稼ぐ場合、より金を出し...
≪ 前 そして3ターン目。 このターンは消費物を買って金が減ったので、カジマのもとで労働だ。 タイナイもその内の一人だった。 なぜなら、この時点でほとんどの労働者は消費物が...
≪ 前 「じゃあ、どうすればいいんだ。ほぼ詰んでなくないか?」 この時点でかなり厳しい状況だった。 現状、カジマが有利になる方法しかできない。 俺たちがそれぞれ持っている...
≪ 前 こうして俺たちは、ふてくされているカジマを尻目にサイクルを回していく。 しかし、そのサイクルが数ターン続いた後、タイナイがこんなことを言い出した。 「ねえ、これっ...