そして3ターン目。
このターンは消費物を買って金が減ったので、カジマのもとで労働だ。
タイナイもその内の一人だった。
タイナイは売りたくても売れない。
経営をしたくても労働者に払える金がないし、そもそも消費物をこれ以上作っても無駄になるのは分かりきっている。
そして、カジマはこれをチャンスと考えて勝負に出た。
この宣言に一同は騒然。
「持ち金が少ないとかならまだしも、僕たち全員に払える分は余裕であるだろ。さっきカジマのところで買い物したんだから」
「そうだよ。なんなら増やして欲しいくらいだ」
だがカジマの態度はふてぶてしいままだった。
「嫌ならオイラのところで働かなくていいっすよ?」
カジマの目線で考えれば当然といえば当然だ。
この時点で経営ができる程度の金を持っているのはカジマのみ。
なら、わざわざ高い金を俺たちに払っても仕方ないんだ。
「どうする……?」
「いや、だが、これは……」
このあたりになると、さすがに皆もゲーム展開をちゃんと考えるようになってくる。
すると、ここでの泣き寝入りは危険だってことはすぐに分かった。
もし、このターンで俺たちがカジマのもとで働いたとしよう。
カジマは少ないコストで大量の消費物を手に入れる。
当然、次のターンで消費物の減った俺たちはそれを買わざるを得ない。
同じく消費物を持っているタイナイから買うことも可能だが、まず間違いなくカジマのほうが安く売る。
労働であまり稼げなかった俺たちは、カジマの方で買うしかないってわけだ。
この頃になると、俺もさすがに本気でゲームに参加する必要があった。
忘れちゃいけないが、これは授業の一環でやっているものだ。
このゲームでトップを取る気も、取れる気もしないが、さすがにこの展開はしょっぱすぎる。
評価点をある程度とっておきたいなら、もう少し盤面を盛り上げないとマズい。
だが、ここでカジマのもとで労働をしようとする人間が出てきた。
タイナイだ。
あいつは大量の消費物が余っているので、それを使えば多く労働することができる。
タイナイからすれば、ここから稼ぎを増やそうと思えば、それしかない。
「待て、タイナイ。お前が行くのが一番マズい」
俺たちは慌ててタイナイを止める。
少ないポイントで多く労働する人間なんて、カジマにとっては最も都合がいいからだ。
ましてや俺たちはタイナイより消費物を持っていない。
そうなれば、後はカジマの一人勝ちはほぼ確定だ。
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