2018-08-09

[] #60-2「タメになった気の経営ごっこ

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経営ごっこ」のルールを詳細に説明する意義はないので、ざっくりと語ろう。

断っておくが、あくまで話の雰囲気を最低限は理解できるようにするための説明だ。

まあ人狼並にユルい割には、なぜかゲームとしては盛り上がらなかったので、あまり真面目に読まなくていいと思う。

で、勝負内容は金を一番持っている奴が勝ち。

これを経営労働で増やしたりするのが基本だ。

ただし経営をするためには労働者が必要で、その労働者は消費物をコストにしなければ労働できない。

要は金を稼ぐために働いて、働くためには食わないといけなくて、その食うものを作るために経営をして……ってサイクルを回すわけだな。

そのサイクルの中で上手いこと立ち回り、資金を増やしていけってことなのだろう。


…………

金、消費物として設定されたカウンター各自に渡された。

あらかじめ、いくつかのポイントが加算されれている。

ポイントは、金も消費物もないという詰み防止のために毎ターン少しだけ加算されるらしい。

かくして、経営ごっこの火蓋は切って落とされた。

まずは1ターン目、みんな勝手が分からず、しばらくの間はまごついている。

なにせ「経営」、「労働」、「売買」の3つの行動は同じターン内に両立できない。

なので慎重に動かなければ……と皆は考えていたのかもしれない。

俺もすぐには動かず、様子見をしながら周りに合わせる姿勢をとっていた。

まあ、このゲームに対してやる気が起きなかったというのもあるが。

どうせ、この状況で取るべき行動はほぼ決まっているから、俺が口火を切る必要はない。

「よし、みんな集まれ! 経営やっていきまっしょい!」

最初提案したのはクラスメートのカジマだった。

まずは誰かが経営しないと金を増やせない状況なのだから、当然そうなるだろう。

そして経営しないで金を増やす場合労働しかないので、何人かはカジマのもとへ集まっていく。

だが、俺はその中にいない。

「あれ? マスダはこないの?」

「もう少し様子見だ」

出来る限りサボりいからってのが大きいが、一応それなりの理由はある。

経営者は労働者に金を支払う必要があるが、そうなると消費物も相応の値段にしないと儲けが出ない。

その消費物が労働者は必要なわけだが、当然それを買って、働いて……ということをやっていたらあまり稼げない。

俺は経営をやる気がないので、この時点では何もしないほうがマシってわけ。

とはいえ、ターン毎に必ず何らかの行動はしないといけないので、ずっとこのままってわけにもいかないが。

「よし、こっちは違う経営をやろう!」

このままだと経営をやっている奴が圧倒的に有利。

それに気づいたクラスメートタイナイも経営をやるようだ。

残りの労働志望の奴らも、そっちに集まっていく。

これ以上、経営をしようって奴は出てこなさそうだな。

じゃあ、俺もそろそろ動くか。

これ以上は担任サボりだって言われそうだしな。

……何か“秘策のありそうな奴”みたいな振る舞いになってしまっているが、別にそんなのはないぞ。

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