どうせ虚栄心のためにやるのなら勉強をしているべきだった。
何か一つでも誰にでも自慢できるような特技を身につけるべきだった。
そもそもオタクとしてマウントを取ることで虚栄心を満たそうとしていたのかが冷静に考えると意味が分からない。
ガンダムのMSの名前を言われて咄嗟に聞きかじりの考察を相手に投げつけて見せる行為で、どうして自分が人より優れていると感じてしまったんだろう。
新作エロゲを徹夜でクリアして同じく速攻でクリアした連中と感想をぶつけ合うことで、どうして自分たちが特別で他の人間より高みにいると思い込めたんだろう。
理解が出来ない。
アリアハンの周りでスライムだけを倒し続けてレベル50になったという自慢話を期末テストの当日に始めるような痴態を晒しておいて何で調子に乗っていられたんだ。
自分は他の人間よりも特別であり、その特別さは当然何らかの部分で他人よりも秀でた物があるからであると自分に言い聞かせるための手段を選ばなすぎたっていう事なのか。
自己愛に振り回されすぎてたいんだ。
こんな事はもう辞めよう。
アニメを全部見ることを目的にアニメを全部見ようとするのをやめよう。
いつか誰かに「このマンガ読んだ?」と聞かれた時のためにマンガを必死に読み込むのはもう辞めよう。
自分が楽しむために生きよう。
それは単にオタクを卒業しろということじゃなくて、いつか出会うどこかのオタクに「こやつwww出来るwwwで早漏www」と言わせるためにオタクをやることを辞めようってことだ。
そして同時に、いつかどこかで出会う一般人に「この人素敵」と思わせるために筋トレをしたり勉強をするのもやめようってことだ。
ああ全くなんでこんなにも自分は虚栄心が強くなっていたんだ。
その原因は社会にもあるのだろう。
子供の頃から「特別になれ」「好きを極めろ」「他人にない武器を持て」「そんな普通の人生じゃ就活で負けちゃうぞ」と言われ続けていたんだから仕方ない所もあるはずだ。
でも社会の人間は人にはそういう癖に実際はそういう人間はそんなに求めてないんだ。
等身大の自分を認められる等身大のままでいることに苦痛を感じないままに等身大の相手と目線を合わせて話が出来る人間を欲しているんだ。
多分、それは、俺が自分に心地よい言葉だけを拾っていたからそう聞こえたんだ。
普通8割にアクセントとして1割の強みと1割の個性を社会は求めていた。
俺はそれを聞き間違えて9割の個性と連動した強みを持てばいいと思いこんでしまった。
なんてこった。
ただ普通にやっていればいいという言葉は、口にされない事の方が多くて、何故口にしないかと言うといまさら言うまでもない言葉だったからだ。
俺はそれを聞き取れなかった。
言葉になっていない声を聞き取れなかった。
いや、聞き取っていながらも、その瞬間瞬間に特別に劣悪な誰かに向けた言葉だと思いこんで、全ての人間が耳を傾けるべきだとは思っていなかったんだ。
大間抜けだ。
俺は間抜けだ。
それを認めたくないばかりに、人よりも知識量で優れた何かを求めていたのやも知れぬ。
お前は虚栄心のためだけに中身のない長文を書いた
今からでも遅くない。その道を極めろ。