2018-06-30

[] #58-2「罪罰メーター」

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そう言って、ガイドが俺たちにアイテムを見せた。

「ええー? それが未来アイテム?」

見た目はスマホに似ていて、あまり未知の未来っぽさがない。

俺たちはこれ見よがしにガッカリした。

「つまんねえデザインだな」

「キミたちが未来にどういう期待をしているかからないけれども、こういうアイテムは装飾を気にする意味がないんだ」

にしても、数ある候補の中から“それ”なのかって気持ちはあるけど。

「他にもっと良いのあるんじゃねえの?」

「制約がなければ確かにそうだけど、効果の強すぎるアイテムだと未来に大きな悪影響を与えやすいから……」

また“これ”だ。

未来に悪影響を与えすぎるって言って、こいつはいつも地味なアイテムしか出してこない。

そのせいで、最近はただの言い訳しか聞こえなくなっていた。

「あ、でも効果は素晴らしいものだよ。これのおかげで、ボクたちの未来社会がかなり最適化されたんだから

俺たちの反応の鈍さを察したのか、焦ったガイドアイテム説明をして挽回しようとしている。

因果収束って知ってる?」

「何だそれ? 未来言葉か?」

「そうか……うーん、どこまで噛み砕けば、この時代の子供には伝わるかな……」

こいつ、ちょいちょい俺たちのことを見下している気がする。

言葉の端々に、そういうのがにじみ出ているというか。

兄貴ガイドを嫌うのも、多分そういうところが鼻に付いたからなんだろうな。


「かな~り大雑把な説明をするなら、要は悪いことをすれば報いを受けるべきって考え方だね」

ああ、その考え方は俺たちの時代にもあるな。

「でも、この考え方には欠点があるよね。漠然としすぎている。悪事に対して、その報いが適切なものかってのは正確には分からない」

「でも、そのために司法ってものがあるんじゃ?」

仲間のミミセンがそう返すと、ガイドは溜め息を吐いた。

なんか、イラっとくる。

「もちろん、ボクたちの時代でも法律ルールといったものはあるさ。でも、キミたちの時代は、まだそれが洗練されていない。使い方もいい加減だ。しか犯罪者への刑罰が適切かどうかを数人だけで意見を交し、それにやたらと時間をかけるなんて非効率すぎるよ」

また俺たちの時代バカにしているのがムカつくが、ガイドの言いたいことは何となく分かってきた。

「つまり、それを効率的にするのが、その『罪罰メーター』ってこと?」

「そういうことだね。長年の研究によって、因果可視化、数値化することができたんだ」

かに、今まで不可能だと思われていたものが、可能になったという点では未来アイテムっぽいな。

やっぱり地味だが。

「これは画期的発明なんだよ。裁判効率化はもちろん、民間些細なトラブルですら、これがあれば正確に判断することができるんだから

それに胡散臭い

俺たちの疑惑眼差しは、ガイドにも伝わっているようだ。

やれやれといった調子に、その罪罰メーターを操作し始めた。

「疑っているようだね……。じゃあ、試しに使ってみせるよ」

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