これといった名所がなく、交通は不便。
実際に低所得者ばかりが住んでいるかは知らないけど、そこの人たちは「物価が高いだけ」とよく言っている。
その呼び名を不服に思っているのは間違いないようだ。
そこに歳の離れた友達が住んでいる。
白黒のツートンカラーの服を好んで着ているから、俺や仲間たちはシロクロと呼んでいる。
俺や仲間たちは、学校の帰りにシロクロの家に集まって時間を潰している。
「ウェルカム、ようこそヨーコ」
シロクロはユルい奴だから、俺たちがいきなり来ても快く受け入れてくれるんだ。
「なんだキミたち、また着たのか。友達だからといって、そんなに頻繁に訪ねてくるのはどうかと思うよ」
それに対して、いつも眉をひそめているのが同居人のガイドとかいう奴だ。
「一理あるけど、居候のあなたが言うのは説得力に欠けると思うの」
仲間のタオナケがそう返すと、ガイドはあっさりと黙ってしまった。
自分は未来からやってきたと言って、変なアイテムをよく見せびらかす。
実際、どれもすごいアイテムなんだけど、周りの反応は冷たかった。
俺の兄貴はこう語る。
「変な格好して、変な道具を持っていれば未来人ってことにはならない。仮に未来人だとしても、あいつを信頼に足る人物だって誰が保証できるんだ。あれはソシオパス、ソシオだ、ソシオ」
未来から来た証明だと言って、俺たちの家の庭を焼け野原にしたことを兄貴は根に持っているらしい。
まあ、確かにガイドは変人だと思うけど、この町には変人が多いから今更って気もする。
それにやっぱり、ガイドの部屋の“未来感”は暇つぶしには丁度いい。
「で、今日は何の道具を見せてくれるんだ?」
だけど俺みたいなガキや、シロクロみたいに頭のユルい人間ではリスクが高すぎるらしく、その使命が何なのかは教えてくれない。
基準はよく分からないが、適性のある人間が協力してくれないとダメだという。
その人たちに未来のアイテムを使ってみせて信頼を得ようとしているけど、上手くいった試しがない。
「今回はこの『罪罰メーター』でいこうかと」
≪ 前 そう言って、ガイドが俺たちにアイテムを見せた。 「ええー? それが未来のアイテム?」 見た目はスマホに似ていて、あまり未知の未来っぽさがない。 俺たちはこれ見よが...
≪ 前 「シロクロ、マスダくんを殴ってみて」 「あぁん? なして?」 さすがのシロクロも困惑している。 というか、ガイド以外も皆そうだ。 たぶん罪罰メーターの効果を実証した...
≪ 前 こうしてガイドは罪罰メーターを片手に、当初の目的である協力者探しを始めた。 なぜか俺たちもついてくるよう頼まれた。 暇なので、断る理由はないけど。 「キミたち、邪...
≪ 前 こうしてガイドによる第○回、未来のプレゼンが始まった。 ガイドが罪罰メーターの説明をしている間、兄貴は何も言わず話を聞いている。 時おり何かを言いたそうに口がもご...
≪ 前 この時点で俺たちは、ガイドが家から追い出される未来を予見した。 キトゥンもそれを察したのか、兄貴の膝上からそそくさと降りる。 だけど、兄貴は木刀をまだ手に取らない...
≪ 前 「理解に苦しむよ。どうしてこの機械よりも、自分たちの方が罪の重さを正しく推し量れると思えるんだ」 ガイドのその言葉に、兄貴は深い溜め息を吐いた。 その溜め息は呆れ...