2018-06-29

[] #58-1「罪罰メーター」

俺たちの住む街の外れにある、通称貧困街」。

その隣には、「低所得者エリア」と呼ばれている地域がある。

これといった名所がなく、交通は不便。

その割に電車飛行機が近くを通ってうるさい。

治安貧困街ほど悪くないけど、市政の実験台によくされる。

実際に低所得者ばかりが住んでいるかは知らないけど、そこの人たちは「物価が高いだけ」とよく言っている。

その呼び名を不服に思っているのは間違いないようだ。

そんな低所得者エリアの、更に奥深く。

人通りの少ない場所に、ポツリとある一軒家。

そこに歳の離れた友達が住んでいる。

白黒のツートンカラーの服を好んで着ているから、俺や仲間たちはシロクロと呼んでいる。

俺や仲間たちは、学校の帰りにシロクロの家に集まって時間を潰している。

「ウェルカム、ようこそヨーコ」

シロクロはユルい奴だから、俺たちがいきなり来ても快く受け入れてくれるんだ。

「なんだキミたち、また着たのか。友達からといって、そんなに頻繁に訪ねてくるのはどうかと思うよ」

それに対して、いつも眉をひそめているのが同居人ガイドかいう奴だ。

「一理あるけど、居候あなたが言うのは説得力に欠けると思うの」

仲間のタオナケがそう返すと、ガイドはあっさりと黙ってしまった。


ガイドは、最近この町にやってきた。

自分未来からやってきたと言って、変なアイテムをよく見せびらかす。

実際、どれもすごいアイテムなんだけど、周りの反応は冷たかった。

俺の兄貴はこう語る。

「変な格好して、変な道具を持っていれば未来人ってことにはならない。仮に未来人だとしても、あいつを信頼に足る人物だって誰が保証できるんだ。あれはソシオパス、ソシオだ、ソシオ」

未来から来た証明だと言って、俺たちの家の庭を焼け野原したこと兄貴は根に持っているらしい。

まあ、確かにガイド変人だと思うけど、この町には変人が多いから今更って気もする。

それにやっぱり、ガイドの部屋の“未来感”は暇つぶしには丁度いい。

「で、今日は何の道具を見せてくれるんだ?」

「キミたちに見せてもあまり意味がないんだけどなあ……」

ガイドは“とある使命”によってこの時代に来たと言っていた。

そのためには理解ある協力者がいたほうが捗るとか。

だけど俺みたいなガキや、シロクロみたいに頭のユルい人間ではリスクが高すぎるらしく、その使命が何なのかは教えてくれない。

基準はよく分からないが、適性のある人間が協力してくれないとダメだという。

その人たちに未来アイテムを使ってみせて信頼を得ようとしているけど、上手くいった試しがない。

「今回はこの『罪罰メーター』でいこうかと」

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